
シリーズ最初の作品『マトリックス』が公開されたのは1999年。現実の世界と“マトリックス”と呼ばれる仮想世界、2つの世界を舞台に、平和に暮らしていた主人公・ネオ(キアヌ)が「この世界はコンピューターによって作られた仮想現実」だと告げられることから物語が始まった。現実か仮想か分からなくなるような世界観は、世界中の人たちを引き付け、2003年に続編『マトリックス リローデッド』『マトリックス レボリューションズ』が公開。人類の命運を懸けた壮絶な戦いに終止符を打った…と思われたが、18年の時を経て、“レザレクションズ(復活)”という言葉を掲げて派手に復活を遂げた。
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ネオ役のキアヌの他、トリニティー役のキャリー=アン・モスが続投。キャストは変わったが、モーフィアス、宿敵のエージェント・スミスといったおなじみのキャラクターも登場しており、前3部作の映像も使われたり、重要なポイントとなる部分がリンクしていたりと、“シリーズの集大成”として見応えのある作品に仕上がっている。
この最新作の中に、『マトリックス』トリロジーが存在しているところ(ただし、映画ではなく人気ゲームとして)も現実と仮想の世界を描くこのシリーズらしいところでもある。ストーリーもさることながら、アクションなどの映像表現や描写にも注目して見てもらいたい。
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23年前に1作目が公開された時、ワイヤーアクションや東洋的なカンフースタイル、さらには120台ものカメラを駆使した“バレットタイム”によるVFX(視覚効果)で、映像における革命を起こした。
バレットタイムは、静止していたり、スローモーションで動いていたりする対象(人物など)をカメラがグルリと回り込むように見せる技術で、ネオがエージェント・スミスと戦った時の弾丸を避けるシーンは『マトリックス』の代名詞的なものとなり、観客に強烈な印象を与えた。
目に見えないほどの高速な動きを伝えるためにも有効な手段で、スローで見せると戦いの迫力が薄れるのではないかと思われがちだが、実際にはスローだからこそギリギリで弾丸を避けたり、相手の攻撃を防御したりする瞬間の迫力を増しているのが分かる。
1作目では仮想世界と現実世界の行き来に公衆電話を使っていたのが、最新作ではモバイルフォンを使うなど、技術の進化が反映されている。実際にわれわれが住む現実世界でも2000年前後と現在では映像技術も飛躍的に進化しており、VRゴーグルやヘッドセットを使ったメタバース(コンピュータネットワークの中に構築された3次元の仮想空間)の注目度が高まっているタイミングでの公開というのもいいタイミングだったのではないだろうか。
期待通り、“バレットタイム”やワイヤーアクションを使ったシーンも多く、より大人数を相手にしていてスケールもアップ。ネオが波動のようなもので敵を吹き飛ばすシーンなどは迫力が増している。映像の美しさも進化しているので、細部の細かな描写まで堪能することができる。ストーリーも技術もシリーズの集大成と言える今作をぜひ高画質の映像で楽しんでもらいたい。
(文・田中隆信)
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