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『君、花海棠の紅にあらず』歐陽(オウヤン)ママの注目作品紹介

『君、花海棠の紅にあらず』歐陽(オウヤン)ママの注目作品紹介
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今月ご紹介するのは民初(中華民国初期)を舞台にする「君、花海棠の紅にあらず」。タイトルからして雅だわ。清末民初(清朝末期から中華民国初期)を舞台にした映画やドラマが好物のあたし、このドラマの感想はズバリ、「美しさをめでる」です。

作品紹介

君、花海棠の紅にあらず

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中国でメガヒットしたドラマのスタッフが再集結して作られた歴史ドラマ

時は1930年代、北平。稀代の辣腕で台頭した豪商、程鳳台(チョン・フォンタイ)は、伝統に縛られない大胆な手法が地元の商人たちの反感を買っていた。しかし、彼の勢いを無視できない北平の商会の会長は、そんな程鳳台の機嫌をとろうと、彼を北平一の人気役者、商細蕊(シャン・シールイ)の舞台に招待する。
確かな実力と妖艶な魅力を持った商細蕊に惹かれる程鳳台。芸は逸品だが、その強すぎるこだわりと荒い気性が仇となり商細蕊は、対立する地元の京劇界が仕込んだ客に難癖をつけられる。そこに居合わせた程鳳台が商細蕊を救ったことをきっかけに2人は心を通わせ、程鳳台は商細蕊の共に支え合い、程鳳台は商細蕊の一座を全面的に支援するようになる。
共に支え合い、歩み始めた程鳳台と商細蕊だったが、程鳳台の妻は役者に入れ込む夫を快く思ってはいなかった。そんな中、戦争の影が色濃くなると、自由に舞台を上演することができなくなり…。

出演:ホァン・シャオミン、イン・ジョン、タン・ジェンツー、カーメイン・シェー
監督:フイ・カイドン
脚本:シュイルーティエンアル

とにかく一つひとつの画面が美しい

京劇の舞台にいる商細蕊は息を呑む美しさ

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京劇がテーマの一つっていうと、あの伝説的作品「霸王別姬」は外せないわけなんだけど、いまだにあの作品が好きだっていう人も多いはず。あたしはいままで京劇そのものを見る機会がなくて、いつか見たいと思っていたんだけど、本作での商細蕊の姿は必見よ。第一話から舞台での衣装にこだわる姿が描かれているけど、その強いこだわりが映像からも伝わってくるよう。そして「霸王別姬」のレスリー・チャンも、手の動き一つひとつが実にさまざまな情感を雄弁に語るものだった。本作の商細蕊、負けてません。これも第一話で妓楼の女の子が動かす手を見てこんなふうに言う。「風情がない」って。手の動きに風情を求める気持ちなんか、考えたこともないわよ!

キャストは実力派揃い

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そして本作のキャスト、まずは何と言っても黃曉明よ。あたしが彼を初めて見たのは2008年の作品「鹿鼎記」。DVD借りてきて見る時代だったけど顏值(顔のよさのレベル)のよさにそりゃ驚いてさ、ほれぼれしましたよ。今黃曉明は44歳ということで、当時は30歳、中国での俳優としての地位もそこまで確固としたものではなかった。コミカルな役どころを上手に演じるイケメン、ってくらいの記憶でその後は特に追ってなかったんだよね。ところがその後の活躍は言うまでもない。アンジェラ・ベイビーと結婚(その後離婚)もして順風満帆だった彼、本作での演技にも驚いた。シリアスさもコミカルさも兼ね揃える、まさに百戦錬磨の豪商を地で行く演戯だと思ったわ。そして商細蕊を演じる尹正。一座の座長としての、男性のときの彼と、女形を演じる役者としての彼と、そのギャップはまるで別人。あたしも女装することあるけどさ、ほんと、いつかあんなふうなのしてみたいわ。

1930年代の中国という舞台

歴史の背景を知るとドラマがもっと面白くなる

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1930年代といえば、国民党蒋介石の中華民国が大陸で権力を握っていたころ。ちなみにこのころの中国の首都は南京で、だから今の北京が「北平(ほくへい)」と呼ばれていたのよね。今でも台湾じゃ「北平」の呼称を見ることができるけれども。31年には毛沢東が中国南部で共産党政府を成立させるし、その年には満州事変も起こって日本の侵略が本格化する。国民党の中央政府は、共産党を撃退することに主力を置いていた。35年には共産党が内戦停止を宣言するものの、国民党は共産党への攻撃を緩めない。後ろにはアメリカとイギリスの後ろ盾があったし、中国の共産化を恐れていたからね。37年に盧溝橋事件が起きて日本との抗戦が始まると、ようやく内戦を一時中断して国共合作(「国民党と共産党の協力」という意味)を経てともに日本に抗戦する。本作の舞台はこんな時代よ!すごい時代だよね。あたしたち日本人にしても無関係でない舞台背景、こういう背景があると、その時々の人物の採る行動の意味が見えてくるかも!

清末民初の文化が生きていた時代

一番はじめに書いた「清末民初」っていう時代、なにがどう魅力的なのかっていうと、中国の長い歴史の中で最後の伝統的な文化が「生きていた」というところだと思うの。男性のスタイルで言えば、清朝が強制していた辮髪(後頭部だけ残して後は剃り、残った髪は長く伸ばして編む)がなくなる。服は西洋文化の影響もあって洋服も着るようになっていくんだけど、大多数の市民は未だ長袍馬褂(清朝スタイルの服にベストを合わせたもの)を着ている。「エイラク」のスタッフだもの、そりゃ衣装にはこだわりあるわよね。色彩豊かなのに落ち着いた色使いで、細部に一切手を抜いていない。衣装は是非注目して見てもらいたいわ。そして、想像力を働かせてみればテレビもなかった時代だもの、どんな娯楽があったんだろう、世界中のものを好きに食べられるようなレストランなんかない時代、どんな食事をとっていたんだろう。好きな人の画像を保存しておけば24時間いつだって見られ、かつすぐにメッセージを送れるスマートフォンのない時代、どうやって恋をして人を思ったんだろう、本作はそういうことが文化とともに丁寧に描かれている。そういう本筋とはすこしずれた部分も、想像力を働かせると見え方が変わってくるはずよ。

京劇の魅力

京劇はさっきも書いたけど、本物を見たことないし詳しくないんだけど、すこしお話ししたい。ドラマの中で北京が北平と呼ばれているということは書いたわね。だけど清朝のことには「京師」とか「京城」と呼ばれることもあったの。皇帝陛下がいまします場所だからね、そりゃ都よ。その「京」の劇ということで「京劇」と呼ばれているわけ。発祥は安徽省ということなんだけど、歴代皇帝の愛好を受けて北京で発展した。演目は「三国志演義」や「西遊記」なんかの武侠ものもあればもちろん「霸王別姬」もあって、歴史的なものが主ね。これって日本の歌舞伎にその構造というか、現代での位置づけが似ている気がするのよね。あまり縁のない人たちにとっては多分意味がさっぱり分からないものになっちゃってるでしょうね。中国人にしたって京劇の歌の部分である「唱」がそのまま分かる人なんて少ないんじゃないかな。歌舞伎だって予習しておかないと見たことのない演目は理解がキツいはずだし。コロナさえなければ時々日本でも見られるチャンスがあるはずなんだけどねえ。もちろん字幕付きよ。見てみたいなあ。

歴史と文化と美しさと

「1930年代」というのが今日のテーマだったみたいね。今が2022年でしょ? だから大体90年くらい前の話なわけだ。もう当時を知る人はなかなか直接会う機会がないかもしれないけれど、でもそんなに遠い過去の話じゃない。数年に亘って世界で疫病が蔓延し、ある国が別の国に侵攻するなんていうことも起きてしまっている今、こういう過去に思いを馳せるのも悪くないんじゃないかな。過去の人々が、たとえそれがドラマの中の話であっても眼前の問題にどう向き合っていったのか。そういうポイントに注目することができれば、ドラマの中の人物は生き生きしだすはず。だって、過去の人々にしたってあたしらと同じあたたかい肉体を持った「人」なんですもの。ドラマは人のドラマなのよね。

執筆者情報

歐陽(オウヤン)ママ

早稲田大学大学院修了。論文のテーマは台湾の文化。
2012年から2013年にかけて台湾で生活、日本語の先生などしてふらふらする。
新宿二丁目では2021年10月から新しいお店「美麗島」をオープン予定。

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歐陽ママ 中国ドラマ
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