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『君、花海棠の紅にあらず』歐陽ママとお勉強ちゅう♡ #38

 『君、花海棠の紅にあらず』歐陽ママとお勉強ちゅう♡ #38
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中国語映画・ドラマの翻訳や、日本で開催されたアジアBLドラマイベントMCなどに携わり、アジアドラマをこよなく愛する歐陽ママが、注目するドラマの台詞をきりとり、読者の皆様に中国語の表現の面白さなどをお伝えする「歐陽ママとお勉強ちゅう♡」。
目次

1930年代を舞台に、京劇の美しいシーンもたくさん見られる本作。中国の文化の雅な部分が存分に表現されている良作よ。見ていて息を吞むような、うっとりさせられるシーンの連続に思わず「あたしもこういうのやってみたい」と変な気持ちが湧いてきちゃう。紹介の記事でも書いたけど、衣装が圧巻。1930年代の人たちはとにかくみんなおしゃれだし、京劇の衣装はこれでもかと詰め込んでいるのに絶妙なバランスで人物の美しさが引き立つように設計されている。ぜひ見てみてほしいわ。

『君、花海棠の紅にあらず』× 作品タイトル

本作のタイトルは正直言ってみただけじゃ分かりません。中国人だって一見して十全に意味を理解できる人少ないんじゃないかな。まるで古い漢詩を味わうような、背景の意味が分からないとなかなかその象徴するところが見えてこない。そこで今日はタイトルの意味を、一つの単語がどれだけのことを象徴するのかを紹介しながら、じっくり丁寧に見てみることにしましょう。よく出てくる故事成語とは一味違った、古典の雰囲気が漂うタイトルよ。

作品紹介

君、花海棠の紅にあらず

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人の世は、美しい――。

時は1930年代、北平(ほくへい:現在の北京)。稀代の辣腕で台頭した豪商、程鳳台(チョン・フォンタイ)は、伝統に縛られない大胆な手法が地元の商人たちの反感を買っていた。しかし、彼の勢いを無視できない北平の商会の会長は、そんな程鳳台の機嫌をとろうと、彼を北平一の人気役者、商細蕊(シャン・シールイ)の舞台に招待する。確かな実力と妖艶な魅力を持った商細蕊に惹かれる程鳳台。芸は逸品だが、その強すぎるこだわりと荒い気性が仇となり商細蕊は、対立する地元の京劇界が仕込んだ客に難癖をつけられる。そこに居合わせた程鳳台が商細蕊を救ったことをきっかけに2人は心を通わせ、程鳳台は商細蕊の一座を全面的に支援するようになる。共に支え合い、歩み始めた程鳳台と商細蕊だったが、程鳳台の妻は役者に入れ込む夫を快く思ってはいなかった。そんな中、戦争の影が色濃くなると、自由に舞台を上演することができなくなり…。

タイトルに込められた意味 古典ってコワい!

“鬢邊不是海棠紅” 訳:君、花海棠の紅にあらず

まずはいつものようにタイトルの話から。“鬢(ㄅㄧㄣˋ|bìn)”って見慣れない字でしょう? 日本語の漢字も「ビン」と読んで、日本髪の両こめかみのあたりを指すんだけど、その指す場所は中国語でも同じ。“邊(ㄅㄧㄢ|biān)”がつくことで「鬢のあたり」ということ。“不(ㄅㄨˊ|bù)是(ㄕˋ|shì)”は「〇〇でない」だから直訳すると「鬢のあたりは海棠の紅ではない」ってことになるんだけど、これじゃさっぱりよね。これにどんな意味が込められているのか、きょうはじっくり見てみましょう。
“海(ㄏㄞˇ|hǎi)棠(ㄊㄤˊ|táng)”は「ハナカイドウ」という花の名前で、中国原産の奇麗な花よ。“紅(ㄏㄨㄥˊ|hóng)”は「赤い、赤」。でもね、この“海棠”には隠された意味があるの。程鳳台と商細蕊が初めて顔を合わせるのは、商細蕊が舞台で楊貴妃を演じていたとき。昔唐の時代、玄宗の寵愛を受けたのは他でもない楊貴妃なのは日本でも知られているわよね。その二人にはさまざまなエピソードがあるんだけど、こんな話もあるそう。時間になっても起きてこない楊貴妃を、玄宗は「よいよい、海棠は眠り足らないのだ」と、楊貴妃を花に例えて呼んで笑って許した。ここから後に人は楊貴妃のことを“海棠”とも呼んだそうよ。

“鬢邊”は誰の“鬢邊”なのか?

“海棠”が楊貴妃の象徴であることは分かった。そして劇中の楊貴妃は……商細蕊でしょう? だから楊貴妃と商細蕊と海棠がそれぞれにリンクしているっていうことになるわよね。それから無視できない“海棠”の他の意味もあるので紹介するわ。この“海棠”、又の名を“斷(ㄉㄨㄢˋ|duàn)腸(ㄔㄤˊ|cháng)花(ㄏㄨㄚ|huā)”と言うんですって。おっかない字面に圧倒されそうだけど「断腸の思い」って言い方にも現れているように、「はらわたがちぎれるほど『悲しい』」ということで、「別れ、辛い恋」を象徴するんだという。“海棠”は辞書を引けば「花の名」と書いてあるわけだけど、中国の古典の恐ろしいのはその言及されるモノの歴史的背景に乗せて意味が新たに付与されるというところ。古詩なんかはそれのオンパレードね。その世界のあまりの深さにおぼれて窒息してしまいそうよ。
さて、タイトルの話に戻って、“海棠”は楊貴妃であり商細蕊であることは分かった。んじゃ“鬢邊”と何の関係があるのか? あたしはタイトルの意味は「鬢にささっているいるのは赤いハナカイドウではない」ということなんだろうと思う。京劇のあの美しい衣装によく合うはずなのに赤いハナカイドウがさされていないのか、はたまた男らしい程鳳台のその鬢にハナカイドウの花がさされていないのか、見る者の想像をかきたてる美しいタイトルね。

最後の文人

「文人」っていうと、あたしの憧れだけど、「文を重んじ風雅を好み、詩文などに秀でる人」と辞書にはある。中国では文人は書道ができて詩が作れて音楽ができて絵が描けるっていうスーパーな才能が要求されるんだよね。あたしにゃ無理だ。でもそんなあたしにも憧れの人物がいるの。1920年代に亡くなっているからドラマのちょっと前の人だけど、吳昌碩という人。この人、まさに清末民初の人で「最後の文人」とも呼ばれたわ。絵も書も篆刻もみんな好き。あんなのあたしかけねえもん。

執筆者情報

歐陽(オウヤン)ママ

早稲田大学大学院修了。論文のテーマは台湾の文化。
2012年から2013年にかけて台湾で生活、日本語の先生などしてふらふらする。
新宿二丁目では2021年10月から新しいお店「美麗島」をオープン予定。

Rakuten TVで視聴する

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