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韓国BL界の神、女性監督ファン・ダスルが紡ぐ名作シリーズ『To My Star』

韓国BL界の神、女性監督ファン・ダスルが紡ぐ名作シリーズ『To My Star』
To My Star2:僕たちの言えなかった話』がRakutenTVで配信スタート。同作の監督を務めるのは、ファン・ダスル。韓国初のBLドラマとして知られる『君の視線が止まる先に』(2020年)の監督をスタートに、『To My Star』シリーズ、『Blueming~君に染まる』などBL作品を多く手掛けている。

BLを撮るようになったのは制作会社のすすめだったそうだが、その繊細な作品世界は韓国BLファンから「神スル(神のようなダスル)」というあだ名をつけられるほどの人気を得た。韓国BLを語る上では外すことのできない人物だ。

彼女の作品は単なる「男性同士の恋愛」をドラマティックに描くのではなく、「愛する人がこの人だった」という点に重きをおいている。人物の感情や交感にスポットをあて、スキンシップをシルエットで表現するなど抒情性あふれる作風はどこか文学的で、見ている者の胸を締め付ける。

341989 『君の視線が止まる先に』(C)2020 W-STORY & ENERGDEIC COMPANY All rights reserved

また、彼女の作品には印象的な女性キャラクターが登場するのも特色だ。『君の視線が止まる先に』では転校生のヘミという少女が登場することで、主人公カップルが関係性を改めて考えるきっかとなる。そして本作『To My Star2』では、ジウの地元の幼なじみハン・タギョン(チャン・ヒウォン)とユハ(イ・ジユン)母娘、ジウの元カノ、チョン・ソンユン(ペク・ソンハ)という女性キャラクターがキーマンになっている。

369651 『To My Star』(C) H&Co Co., Ltd. &ENERGEDIC COMPANY Inc. Allrights reserved.

To My Star2』は、映画化もされた『To My Star』の2年後の物語を描いている。誰もが知るスター俳優のカン・ソジュン(ソン・ウヒョン)は、濡れ衣スキャンダルを回避するために事務所代表の所有するマンションに身をひそめることに。そこにはイタリアンシェフのハン・ジウ(キム・ガンミン)が住んでいた。正反対な性格のふたりだったが、一緒にいるうちに惹かれあって――というのが『To My Star』の物語。

幸せな時間を過ごしていたがふたりだったが、『To My Star2』では付き合い始めて1年経ったソジュンの誕生日に、ジウが『もう終わりにしよう』という1枚のメモだけを残して消えてしまう。失意のソジュンは別れの理由を知りたくて、ジウを探し回る。

ようやく見つけたジウは、故郷で小さなイタリアンレストラン<Ti Aspetto>を開いていた。ソジュンは人懐っこさを武器に彼のまわりの人々を懐柔し、ジウのテリトリーに入って行くが、ジウの拒絶は続く。別れの理由がわからないまま、ジウの元カノでソジュンのクライアントでもあるソンユンが登場し、複雑な関係に!?

辛い記憶のある故郷に帰ったジウが、「店名がわかりにくい」と言われながらなぜ<Ti Aspetto>という店を開いたのかなど、ハン・ダスル監督らしいテンポ感と抒情性で、登場人物たちのさまざまな事情を丁寧に描きあげてゆく。

面白いのは、ソジュンの所属する事務所代表のキム・ピルヒョン(チョン・ジェヨン)の存在だ。『君の視線が止まる先に』の主人公、財閥2世のテジュに彼女を立て続けに奪われながらも親友になってしまった人物と同姓同名。『To My Star』にソジュンとジウのキスを目撃し、「これで2度目だよ」とボヤくシーンがあるが、ピルヒョンは『君の視線が止まる先に』でも主人公カップルのキスシーンを目撃しているので、同一人物であることがわかる。『君の視線が止まる先に』と『To My Star』が同じ世界線にあるなんて、ファン・ダスル作品ファンにはたまらない仕掛けがあるところも見逃せない。

(文・坂本ゆかり)

Rakuten TVで視聴する

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