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分厚いドラマで魅せる「ガンダム」解き放たれるアクション

分厚いドラマで魅せる「ガンダム」解き放たれるアクション
(C)創通・サンライズ
ガンダムの生みの親・富野由悠季が1989年に執筆した小説「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」は、2021年6月に32年越しの映像化を果たし、公開から約3カ月で興収21億円を超える話題作となった。同作は、1987年公開の映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』から地続きになるもので、舞台はそこから12年後、宇宙世紀0105年の世界。腐敗した地球連邦政府に対し、ハサウェイ・ノアが反地球連邦政府運動マフティーを率いて戦いを挑む。

ガンダムの生みの親・富野由悠季が1989年に執筆した小説「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」は、2021年6月に32年越しの映像化を果たし、公開から約3カ月で興収21億円を超える話題作となった。同作は、1987年公開の映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』から地続きになるもので、舞台はそこから12年後、宇宙世紀0105年の世界。腐敗した地球連邦政府に対し、ハサウェイ・ノアが反地球連邦政府運動マフティーを率いて戦いを挑む。

もし『逆襲のシャア』を記憶しているのであれば、あのとき連邦側にいたハサウェイがなぜ今、反体制側に身を置いているのか。そこに触れる彼の内面描写は興味深く見られるポイントになるだろう。
一方で「ガンダム」を知らない、ロボットジャンルに興味がないという方も安心してほしい。富野監督はヒューマンドラマを重視した作品作りこそが真骨頂で、メカアクションの取り入れはあくまでアニメというメディアを意識してのもの。小説では重厚なドラマが展開され、担当監督・村瀬修功がそれをリスペクトしてアニメ化した今作は、「ガンダム」初見でも深く没入して見てもらえる作品になっている。

物語はハサウェイと、彼が出会うミステリアスな美少女ギギ・アンダルシア、連邦軍士官のケネス・スレッグ、この3人の人間模様が中心となって描かれる。マフティーのリーダーであるハサウェイは当然その正体を隠しているが、ハイジャック犯を制圧したことから皮肉にもケネスの興味を買ってしまう。そのケネスは、対マフティー部隊の指揮官。ハサウェイにとっては危険過ぎる相手だが、裏の顔を知らないケネスは好意を持ち近づいてくる。そんな2人の間に立ち、ドラマのキーマンになるのがギギという謎の少女だ。

ギギはとにかく小悪魔だ。少女の可憐さを持ちながら、聡明で誘惑的な大人な雰囲気も持ち合わせる。ギギに振り回されがちになるハサウェイと、ギギにも興味を持つプレイボーイなケネス。勘が鋭いギギにハサウェイは深入りの危険を感じるが、過去のある記憶(ここが『逆襲のシャア』を予習しておくと理解が高まるポイントだ)から心を向けてしまうことになる。そんな男女の事情も絡む奇妙な三角関係がどう動いていくのか。ドラマの見どころはまずここになり、緊迫した展開には目を離せず食い入るように見てしまうだろう。

閃光のハサウェイ』の画面は恐ろしくリアリスティックだ。これは何よりの材料として冒頭15分の映像を見てもらいたいのだが、単に映像美というのとはワケが違う。緻密な絵とカメラワークが実に“実写的”で、それがドラマの臨場感、人物の心理描写を引き立てている。特に複雑な立場に置かれているハサウェイと、彼に絡んでくる人物たちとの人間模様はこの徹底したリアリスティックがあるからこそ浮き彫りになってくるところだ。

このリアル志向な映像は、メカアクションでも特異なシーンを作り出している。「ガンダム」に限らずメカと言えば派手な激突やミリタリーな演出が花形になるところだが、今作で描写されるのは巨大な人型兵器モビルスーツが“そこにいる”という怖さ。劇場公開時に話題をさらった市街戦がまさにそれだ。逃げ惑う市民を無視して続く戦闘では、ミサイルが飛び交い、瓦礫が降り落ち、モビルスーツではなく人を追う映像は、さながら実際の戦争フィルムを見ているかのようにもなる。

ドラマ重視の今作では、メカアクションのパートは決して多くはない。だからこそ解き放たれるように始まる戦闘シーンのすさまじさは圧巻だ。ラスト、映画ならではのスペクタクルなガンダム対ガンダムの激突には誰もがくぎ付けになることは間違いない。

(文・鈴木康道)

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ガンダム 閃光のハサウェイ コラム
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