時は15世紀、ヨーロッパは多くの公国や国家が乱立し、互いに土地を奪い合う戦乱の世だった。中でもフランスのルイ11世は、ヨーロッパの征服をもくろみ、精力的に戦争を仕掛けている。その戦いの中で、毛織物産業を中心とした貿易で栄えていたブルゴーニュ公国のシャルル突進公が、命を落とした。そのため、美しい一人娘のマリーが公女となり、公国を継ぐことになる。
一方、オーストリアを統治するハプスブルク家の神聖ローマ皇帝・フリードリヒ3世の子であるマクシミリアンは、眉目秀麗で武芸に長け、話術が巧みで魅力的な青年に育っていた。そんなある日、隣国のハンガリーの刺客に命を狙われる。そこでフリードリヒ3世は裕福なブルゴーニュのマリーとマクシミリアンを結婚させ、妹のクニグンデをハンガリーの王と結婚させることで、国を存続させようとする。当時のヨーロッパで政略結婚は日常茶飯事のことだったが、マクシミリアンは怒りを覚える。
ブルゴーニュのマリーも同じだった。結婚せずに自分が女公として国を統治しようするが、女であることから苦しい立場に追いやられる。そんな中、自分とマクシミリアンの結婚の約束が両家の間で交わされていたことを知る。もちろん反発するが、商人にも権力者にも見放されたマリーは、マクシミリアンとの結婚を進めることに。だが、何としてもブルゴーニュを手に入れたいフランスは強硬手段でマリーを城に閉じ込め、八方塞がりになったマリーはマクシミリアンに助けを求めるのだった。
ブルゴーニュにたどり着くまでに疫病に侵され、生死をさまようマクシミリアンと、側近たちを目の前で殺され、自国で窮地に追いやられるマリー。会うことすらままならない2人だが、驚くべき方法で結婚を成立させる。だが、戦況が不利なのは変わらない。四面楚歌の中、聡明で美しいマリーに心を奪われたマクシミリアンはブルゴーニュを守るため、知力と腕力で大国フランスに挑む。そして、2人はハプスブルク家の繁栄の礎を築くほどの固い絆で結ばれていくのだった。
完璧過ぎる美術セットと作り込まれた衣装、壮大な戦闘シーンによる圧巻の世界観。しかし、何よりも人々を引き込むのは、貴族から庶民までリアルに描かれた当時の人々の生活と、その中で生きるマクシミリアンたちの感情だ。戦乱の世にオーストリアの神聖ローマ皇帝の息子として生まれ、政略結婚を余儀なくされるマクシミリアン。だが、彼はその運命に飲み込まれず、自らの手で道を切り開き、愛を掴んでいく。その様が全6話に詰め込まれた秀逸の歴史スペクタルドラマだ。
(文・及川静)
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