
高校卒業後は医学部への進学を考えているナットと、大好きなギターばかり弾いているポップ。二人はナットがプラチュアップに引っ越してきた子供の頃からの親友で、何をするのも一緒。卒業後も一緒にいたいと願うナットは、ポップに一緒に医学部を受験することを提案し、二人は一緒に勉学に励んだ。しかし、試験当日、ポップは現れなかった。怒ったナットは理由を聞くがポップはおどけるばかり。それ以来、二人の仲はぎくしゃくしてしまうが、卒業アルバムの撮影日になんとか和解する。実は、ポップがバンコクに引っ越すことになっていたことを知ったナットは彼を許すが、ポップは別れも告げずに去ってしまった。
それから4年――。ポップがプラチュアップに戻ってくる。突然現れたポップを見たナットは知らん顔をするが、会いたい思いが募り、彼を追いかけて、二人は本当の再会を果たす。ここから、あの時、何が起こっていたのか。そして4年の間に何があったのか。ポップとナットは、失われた時間のピースを埋め合っていく。
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海の美しい田舎の純朴な高校生であるナットとポップを演じるのは、二人ともミーンが所属するUltimate Troopの新人俳優。ナットは2001年生まれのタイトル/リトル(テーシン・アヌサーサナナン)。ポップは1999年生まれのメン(スパグリット・ジャルーンメーター)で、二人とも初々しさがまぶしい。だが、クランクイン前のワークショップがしっかり行われたせいか、ミーンも絶賛するほどのナチュラルな演技で見る者を作品世界に引き込んでいく。特に再会してからは互いを見る眼差しに思いが溢れているので、一つ一つの表情をじっくりとご堪能いただきたい。
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そんな二人を見守るナットの兄のノート(『WHY R U?』のトンナム)と、その友人のター(Ultimate Troopの新人のゲット)のやさしさにも注目。見えない部分で二人が取った行動を知った時には、兄弟愛に胸が熱くなるはずだ。また、医学部に進学したナットの先輩・サルット役でミーンが、医学部の友人・プーン役で『Until We Meet Again〜運命の赤い糸』のプレームも物語の後半に登場。この二人もナットたちの関係に微妙に影響を与えてくるので、お見逃しなく。
この作品の素晴らしさは精密に組み立てられた脚本はもちろん、見る物を酔わす色合いと音楽、そして小道具にもある。2002年の高校時代にはポータブルCDプレイヤーや当時のCD、雑誌などが登場。高校生のポップが弾き語りする「愛してると言うだけ」も、劇中に登場する2002年リリースのCDに収録されている曲という徹底ぶりだ。
全てを知った上で第1話からリピートすると二人の思いが染み込んでくるだけでなく、こういった製作陣の細かいこだわりを確かめることもできるだろう。コロナ禍の厳しい状況に翻弄されながらも、情熱を注ぎ、丁寧に作られたことが伝わってくる一作だ。また、各話エンドクレジット後には監督のミーンを始め、キャスト陣が明かす制作秘話も聞けるので、毎話、最後までしっかりとご覧ください。
(文・及川静)
https://news.tv.rakuten.co.jp/2024/04/bl-list.html BL関連記事一覧
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