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歌舞伎は400年の歴史の中で、落語や人形浄瑠璃(文楽)の歌舞伎化など、原作ものを歌舞伎化する「アニメの実写化」のようなことを当たり前にやってきた。人気のキャラクター、誰もが知っているストーリーだから、大当たり間違いなしというわけだ。とはいえ原作以上の評判をとるには、工夫と独自性が欠かせない。オリジナルを超えるほど成功したものだけが、現代に残り、古典として受け継がれていく。
『らくだ』は落語が原作だ。独り語りの芸能を、複数の役者と舞台装置、扮装で物語を立体化する。見るからにならず者の半次、小心者の久六、ごうつくばりの家主など、俳優一人一人がこれでもか!と性格をデフォルメして見せ、大爆笑を誘う。歌舞伎の中には、腹を抱えて笑うような演目もあるのだ。そこに社会風刺も入っているところが人気の秘密だろう。言葉もわかりやすいので、歌舞伎ビギナーにはうってつけだ。
『阿古屋』では、主人公の阿古屋が三曲(箏・三味線・胡弓)を弾き、その音色に皆が魅了されるところが大きな見どころである。『阿古屋』は人形浄瑠璃(文楽)の台本を使って歌舞伎化している演目で、原作の人形浄瑠璃では人形の動きに合わせ、三曲それぞれを演奏家が弾く。人形は「演奏のフリをする」だけだ。しかし歌舞伎では、阿古屋役の俳優が舞台上で演奏する。プロの演奏家でないのに超絶技巧を習得することで、人形を超えて見せる!という気概と挑戦が、歌舞伎の『阿古屋』なのだ。
『日高川入相花王(ひだかがわ・いりあいざくら)』『日本振袖始(にほん・ふりそではじめ)』も原作は人形浄瑠璃だ。『日高川入相花王』では生身の人間が “人形”として登場し、ロボットダンスよろしく、敢えて人形のような動きをする。これを“人形振(ぶ)り”と言う。愛する安珍を追って日高川についた清姫は、やがて人間として滑らかに動くようになる。が、観客はそれを不思議とは思わない。役の魂が続いているからだ。クライマックス、川を泳いで渡る清姫が、波間に見え隠れしながら次第に蛇体に変貌する舞台構成のダイナミックさは、心を奪われるほど見事だ。
『日本振袖始』でも、妖しの女性(イワナガヒメ)がヤマタノオロチに変化(へんげ)する。どうやって恐ろしい怪物を表現するのか。隈取りなど、歌舞伎ならでは舞台手法を駆使しての演出が光る。
「歌舞伎といえばこれ」というほど有名な『連獅子』は、紅白の獅子の豪快な毛振りが見どころだ。能の『石橋(しゃっきょう)』を三味線音楽で華やかにアレンジしつつ、前半は端正な舞で師弟の厳しい愛と親子の情を表す。静から動へ、スター役者の異なる姿を一度に楽しめるところが、人気につながっている。
『鷺娘』『二人藤娘』も、鳥や花の精が人間の娘の姿となり、恋心を踊りで見せる変化(へんげ)舞踊。俳優が踊りながら一瞬で異なる衣裳となる「引き抜き」「ぶっ返り」は、まさにイリュージョン。見ているだけで幸せな気持ちになる。詞章(歌詞)などが分からなくても、舞踊は次々と現れる豪華な衣裳や色鮮やかな舞台装置、音楽との融合を楽しめばよい。 まず「浴びる」、そして美しさを「感じる」。それが伝統芸能に親しむ一番の近道なのである。
各回の詳細なライブ日程は下記を参照。視聴チケットは1,900円(税込)にて販売。
配信日時
3月14日(土) 18:30 配信開始 / 19:00 開演予定
見逃し配信
見逃し配信準備完了 〜 3月24日(火) 23:59
視聴チケット販売期間
3月6日(金) 12:00 ~ 3月24日(火) 20:00
(文・仲野マリ)
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