この加熱ぶりはひとえに、名門大学に入り一流企業に就職するためだ。加熱する受験戦争の裏側を描き、高視聴率をたたきだしたドラマ『SKYキャッスル～上流階級の妻たち～』を見ればその内情がよくわかる。ドラマタイトルの「SKY」とは、ドラマの舞台となる高級住宅街の名前だが、ソウル大、高麗(コリョ)大、延世(ヨンセ)大という最難関大学の頭文字でもある。SKYに入学し、サムスン、カカオなど一流企業に就職するのが「アガリ」コース。良い大学に入る＝良い会社に入るための競争なのだ。
せっかく一流大学に入学しても、韓国男子には兵役義務があり、就活前に兵役を終えておかないと就職に不利になる。だから大学在学中に休学して兵役に付く学生も多い。大学浪人、兵役、大学院進学や就職浪人というコースになると、新入社員なのに30歳近い年齢になってしまう。そんな韓国の新入社員事情や、お仕事への向き合いがわかるドラマを紹介しよう。
新入社員
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大ブームの韓国BLドラマにも、就職事情がわかる作品が。大学院卒のスンヒョン（ムン・ジヨン）は29歳。就職活動中で、広告会社AR企画にようやくインターンとして採用され、配属になった部署のパート長ジョンチャン（クォン・ヒョク）のイケメンぶりに一目ぼれ。初めて社会に出たスンヒョンには、わからないことばかり。やり手の完璧主義者で、言葉は厳しいがさり気なくフォローしてくれるジョンチャンにドキドキする日々。ツンデレ上司とキュートな新入社員の恋の行方は？
ウェブ小説からウェブマンガとなり、ついにはドラマ化された人気作品。主人公たちの仕事と恋愛が「リアル！」と話題に。
インターンは元上司！？
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インターンの立場の弱さがうかがえるドラマが、「インターンは元上司！？」。イライラしていた朝、自分よりも遅く出勤してきたインターンのヨルチャン(パク･ヘジン)に目を付け、執拗なパワハラでいびり倒すようになった部長のイ･マンシク(キム･ウンス)。優秀なヨルチャンだが仕事をさせてもらえず、ある事件をきっかけにライバル会社に転職することに。そこで大ヒット商品を開発し最年少営業部長に大出世。前職を反面教師に良い上司と慕われていたヨルチャンの下に、今度はシニアインターンとしてかつてのパワハラ上司がやってきた。立場が逆転した2人のバトルが始まる。
パワハラ加害者への復讐劇ではあるが、立場が変わると見えるものも変わってくるもの。前半のヨルチャンに対するイジメはかなり壮絶だが、基本はコメディなのでいやな気分にはならずに楽しめる。また、韓国の食品会社のお仕事ぶりも覗き見ることができる。
いずれのドラマもインターンからの入社が描かれているが、実社会ではインターンになれたからといって、採用されるとは限らない。また、一流企業は、出身大学やTOEICのスコアに加えて、どんな企業でインターンをした経験があるのかも重要視するために、インターン経験を積むために休学する学生も多い。そのために、就業年齢がどんどん上っているという状況も。韓国の過酷な就職事情を感じてほしい。
（文・坂本ゆかり)
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