海外でリメイクされたJホラー3選
呪怨 劇場版
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ジャパニーズホラーをけん引する清水崇監督。その代表作が「呪怨」シリーズだ。2000年にビデオ版『呪怨』と『呪怨2』が相次いで発売され、その怖さが口コミで広がり映画化が決定。2003年1月に『呪怨 劇場版』、続いて8月に続編『呪怨2 劇場版』が公開となった。これが海外でも大ヒットし、『死霊のはらわた』などのサム・ライミがプロデュース、清水監督がメガホンを取って2004年と2006年に『The Grudge』(日本版タイトル『THE JUON/呪怨』)、『The Grudge2』(日本版タイトル『呪怨 パンデミック』)が公開された。
呪怨(じゅおん)は、この作品の造語。冒頭で、「強い怨念を抱いたまま死んだモノの呪い。それは死んだモノが生前に接していた場所に蓄積され、『業』となる。その呪いに触れたモノは命を失い、新たな呪いが生まれる」という説明が映し出される。その“業”の恐ろしさに震え上がることになる。
恐怖の舞台となるのは、郊外にある一軒家。嫉妬に狂った夫が、妻の伽耶子に暴力を振るい、息子の俊雄にも波及。やがて伽耶子は惨殺されてしまい、後にこの家に関わることになった人物たちが次々と呪われていく。
伽耶子のものと思われる呻き声が本当に不気味だ。登場人物と同じように、見ているこちらも空耳かと思っていると、低く響いてきてゾッとする。目に見えないもの、何かがいると感じる演出の効果が巧みだ。また、伽耶子と同じように別の世界に行ってしまったと思われる俊雄の白塗り姿のインパクトもかなりのもの。伽耶子はJホラーを代表するキャラクターの1人となっているが、俊雄も海外で評判となっている。
オムニバス形式のストーリー展開で、ビデオ版から劇場版へとつながっているが、設定が分かっていれば、劇場版から見ても問題なく(?)恐怖がやってくる。ただ、通して見ると、理不尽ながら伽耶子の呪いに接した人々のさらなる呪いが増幅していくような恐ろしさを感じる。Rakuten TVではビデオ版『呪怨』『呪怨2』も配信中なので、どっぷりとその恐怖の世界に浸ってもらえればと思う。
リング
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『呪怨』とともにJホラーブームの火付け役になったといわれる中田秀夫監督の『リング』。本作では貞子というキャラクターが生み出された。
テレビ局に勤める浅川玲子(松嶋菜々子)は、見たら一週間後に死ぬというビデオテープのうわさを知る。信じられない玲子だったが、姪の女子高校生が犠牲になったことに気付き、調査を始めたところ、自身も不審なビデオを見てしまう。霊能力がある元夫の高山竜二(真田広之)に相談し、ビデオに映っていた謎を追うことに。
現代ではすっかりノスタルジックなものとなったビデオテープだが、それゆえの画像の粗さが恐怖心を刺激する。そして1週間という期限と貞子という存在。静けさのなかに、超常現象が忍び寄るジャパニーズホラーの真髄を味わえる。超有名になったラストシーンも、時代を感じるものの、やはり怖いことこの上ないのだ。物語の構成もうまく、95分の上映時間中、ぐっと引き付けられる。
ハリウッドリメイク作のナオミ・ワッツ主演『ザ・リング』と見比べてみるのも面白い。
着信アリ
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秋元康の小説を三池崇史監督、柴咲コウ主演で映画化した『着信アリ』。アメリカで『ワン・ミス・コール』というタイトルでリメイクされた。
こちらも2004年の作品なので、鍵となる携帯電話に時代を感じるが、それはとっかかりなので、その後の展開におびえること間違いなし。
携帯電話に自分の番号から着信があり、留守番電話に残されていたのは自分の声の悲鳴。着信日として記録された日に、その人物は録音と同様の悲鳴をあげて死ぬ…。その背景にあるのは、呪い。Jホラーの原点だ。友人が不審死した主人公の由美(柴咲)は、妹が同じような着信&留守番電話があって亡くなった葬儀屋に勤める山下(堤真一)と謎を追うのだが、思わず「ヒィ」と声を上げてしまう描写が続く。ジメッとしたJホラーならではの空気感、なすすべなく追い詰められていく恐怖感が漂い、ラストではまさかの展開が待ち構えている。
(文・神野栄子)
Rakuten TVで視聴する
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