人気CPジャー&ファースト主演作『Be Mine. Superstar』での新たな恋模様を解説

『Don’t Say No −』では幼なじみから恋人になり、過去の出来事も全て受け入れ合う濃密な関係のレオとフィアットを演じ、『Remember Me』では90年代を舞台に、高校の出席番号が同じであることをきっかけに文通で知り合ったゴルフとガンを演じたジャーとファースト。もともと同じ事務所だったことから多くの作品で共演することになったジャーとファーストは、甘めと辛めの外見の違いなどビジュアル面での相性が良い上に、２人とも芝居がうまいため、既視感を取っ払ってくれる技巧派CP。『Be Mine. Superstar』でも新鮮味を持って、新たなかわいいCPを見せてくれている。

今回２人が演じるのは、人気俳優のアチ（ファースト）と彼の９年来のファンであるパン（ジャー）。パンは部屋にアチのポスターを飾り、毎日アチの抱き枕を抱えて寝ているほどアチの大ファンだ。そのことは家族も大学の友達もみんなが知っている承知の事実だった。そんなある日、２人は現実で出会う。パンが研修先として大学の先輩が勤めるドラマの制作会社を選んだことで、インターンとして、毎日会うことになるのだ。

ドラマで主役を演じる人気スターのアチは、芝居以外ではどこか冷静な青年。所属事務所の重役たちがけんか別れした後も恩義のあるスタッフに付いて、俳優業を続けてきた。そんな中、新ドラマ「愛の貴公子」で元々いた事務所の社長や所属俳優たちと一緒に働くことになる。だが、常に冷静なアチは気にする様子もなく、芝居に集中。その現場で、純粋にアチを想うパンがインターンとして働くことになる。

パンはテイクアウトもできるコーヒーショップを営む母の店のおすすめ商品を現場に差し入れするなどして、アチやその他の俳優陣、事務所社長と親しくなり、社長が忙しい時には愛車のスクーターバイクでアチを自宅へ送るほど、距離を縮めていく。パンのアチへの思いはダダ漏れで、同じ事務所に所属するムアン（ボストンことスパデート・ウィライラット）はすぐに彼の気持ちに気付く。するとムアンは不思議とパンの味方になり、アチとパンの２人が仲良くなれるように画策してくれるのだった。

だが、当のアチとパンの関係性は、ぎこちないものだった。パンは9年もの間、アチへの思いを募らせてきたため、彼との距離を縮めることは容易ではなかった。仕事でパンを自宅まで送り届けてもそうそう仲良くはなれない。ふとした瞬間に、いい気になって私生活に踏み込み過ぎてしまったのではないかと頭に血が上り、慌ててアチの家を飛び出してしまうのだった。すると今度はアチがパンの母親がやっている店までわざわざ彼のことを追って来るが、冷静なアチゆえにその真意は読みきれない。

アチは両親と確執があるらしく、演技をしているとき以外は表情が分かりにくく、中盤まで話が進んでも感情が読めない。一体、パンのことをどう思っているのかが、無性に気になってくる。どうやらパンとアチは高校生のころに会ったことがあるらしく、それをきっかけにパンはアチのファンになったようだが、アチはそのことを覚えているのだろうか？そして、自分の家に招き入れるなど、一見好意的に見えるアチの行動の真意を知ることはできるのか？　

まるで自然児のように伸びやかなパンはうそが付けず、感情が全て行動に出てしまうタイプのため、アチとの距離が近付き過ぎると様々危険を招く恐れも…。今の幸せな俳優とインターンという関係をいつまで続けることができるのか？　おそらく、リミットは近いはずだ。２人の幸福と、穏やかな日が１日でも長く続くことを願って、毎週火曜の更新を楽しみにしたい。

（文・及川静）