『両不疑〜入れ替わり夫婦の宮廷生存記〜』は、編集者の夫と離婚の危機に陥った漫画家の妻が、2人の共同作品「恩愛」の主人公である皇帝と皇后の体を入れ替えることから始まる“宮廷入れ替わりラブコメディ” だ。主人公の1人の蕭錦昀(シャオ・ジンユン)は頭脳派で思慮深いが、即決力に欠けるところがある皇帝。一方、武将の父と2人の兄を持つ皇后の徐鈺(シュー・ユー)は剣術に長け、行動力のある人物だ。しかし、皇后としての細やかさに欠け、内廷(後宮のこと)で浮いた存在となっていた。
幼い頃から旧知の仲である皇帝と皇后は結婚当初こそ仲睦まじかったが、慣例に従って側室が増えていくうちに次第に距離ができ、皇帝は皇后の寝所から足が遠のくばかり。数カ月、顔を見ないことも珍しくないほどに関係性は冷え切っていた。そんな矢先の日食の日、2人はひょんなことから池に落ち、体が入れ替わってしまうことで、それまで理解が届かなかった互いの立場や苦労、周囲の人間の本音に触れ、理解を深めていくことになる。
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まず、皇后・徐鈺の体に入った皇帝は、内廷で自分の母親である太后や従妹でもある側室の裴心竹(ペイ・シンジュ)が皇后に対して嫌味を言う姿を目の当たりにし、彼女が受けてきた仕打ちを知ることに。加えて、他の側室も心竹の腰巾着状態であることを知り、考えを改めていく。
一方、朝廷でも不穏な空気が流れていた。北境を狙う敵部族が現れ、徐鈺の父親である徐鼎(シュー・ディン)将軍が防衛に当たっていた。ところが戦いは長引き、軍の財政は逼迫。仕方なく、朝廷で皇帝に兵糧の追加を依頼するも、武将らと不仲だった文官たちに猛反発され、皇帝は厳しい状況に立たされる。こうして、蕭錦昀の体の中に入った皇后もまた、臣下に恵まれない皇帝の苦労を知るのだった。
そんな中、皇帝の叔父であり、武将である衡山(コウザン)公から徐将軍が軍費を横領していると密告する文書が届く。衡山公は若くして即位した蕭錦昀は軍務に疎いと決めつけている食えないヤツで、地位を狙って徐将軍を陥れようとしているらしい。ところが体が入れ替わり、皇帝の中身が武将の娘である徐鈺になったことで衡山公の企みは一筋縄ではいかず、朝廷の体制も変化していくことになる。それは内廷で奮闘する徐鈺も同じで、中身が太后をよく知る蕭錦昀になったことから、皇后のポジションも大きく変化していく。
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そうして、相手の役割を果たしていくことで、理解を深めた皇帝と皇后は愛情を取り戻し、さらに政に対しての知識も深めていくことになるのだが、常に二役を演じる主演2人の演技が見事で、そこも見応え十分。皇帝役のチャン・ハオウェイは、目元の表情が全く異なるので、ご注目を。また、弟の蕭錦明(シャオ・ジンミン)の前で必死に取り繕う際の表情も見ものだ。
また、皇后役のソン・イェンフェイの演技も見事。特に皇帝を演じる際のキリリとした表情や威風堂々とした佇まいは、ため息もの。第三者が現れると途端に皇帝は皇后を、皇后は皇帝に早着替えをするように表情が変化する。その見事な演技の“入れ替わり”も見どころの一つだ。
(文・及川静)
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