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祝・日本アカデミー賞最優秀主演女優賞!河合優実の目が離せなくなる存在感 (※ネタバレあり)

祝・日本アカデミー賞最優秀主演女優賞!河合優実の目が離せなくなる存在感 (※ネタバレあり)
『あんのこと』(C)2023『あんのこと』製作委員会
2025年3月14日に開催された第48回日本アカデミー賞の授賞式で、映画『あんのこと』(2024年)に主演した河合優実(かわい ゆうみ)が最優秀主演女優賞に輝いた。2000年12月19日生まれの24歳。2019年にデビューし、広く顔が知られた作品の一つが2024年のドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)だろう。2024年は、映画5本(声優含む)、ドラマ3本に出演し、間違いなくブレークした年であり、その実力が認められた年ともいえる。そんな河合優実の魅力を、独断で選出した映画6作品から探ってみたい。
目次

あんのこと(2024年)

499156 (C) 2023『あんのこと』製作委員会

入江悠監督が、1人の少女の壮絶な人生を取り上げた新聞記事を基に脚本を書き上げた本作。河合が演じるのは、幼いころから母親に暴力を振るわれ、10代半ばからは売春を強いられ、その中で覚せい剤も使用するようになっていた21歳の杏だ。杏を更生させようとするベテラン刑事・多々羅(佐藤二朗)や、多々羅が携わる更生施設を取材する週刊誌記者・桐野(稲垣吾郎)と出会い、就職して新たな道を歩み始める。母によって多くを奪われながらも、ようやく手にした人とのつながりと温もり。悲しみを悲しみとさえ捉えられずに生きるしかなかった姿から、光の中に導かれたような、河合が見せるほんのわずかな変化に安堵する。しかし、ある出来事と新型コロナウイルス感染症の拡大が杏の人生に再び影を落とす。社会のひずみに追い詰められた杏という女性を、河合が全身全霊で演じる姿が胸に迫る。

『あんのこと』を観る


ナミビアの砂漠(2024年)

499028 (C)2024『ナミビアの砂漠』製作委員会

本作は、第77回カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞に選ばれたほか、河合が第79回毎日映画コンクールで主演俳優賞を、第67回ブルーリボン賞で主演女優賞を受賞するなど、数々の賞に輝いている。俳優になる前の河合は、山中瑶子監督が初監督した『あみこ』(2017年)を見てファンになり、手紙を渡したこともあったという。念願のタッグが実現し、山中監督は河合を想定して主人公・カナというキャラクターを生み出した。しかし、河合自身を描いたのではなく、彼女が体現する“今という時代を生きる女性”だ。物語の冒頭、街を歩くカナは、その風景に溶け込んでいる。私たちの隣にいるであろう21歳の女性は、どこか不機嫌で、嘘をつき、そして暴力的でもある。自由で自分に正直な日々は葛藤も生み、次第に自分自身に追い詰められていくことに。そんなカナという人生を作品はつぶさに見せている。

『ナミビアの砂漠』を観る


少女は卒業しない(2023年)

466472 (C) 朝井リョウ/集英社・2023映画「少女は卒業しない」製作委員会

青春小説の名手、朝井リョウの原作を映画化した、河合の映画初主演作。恋する少女たちの卒業式までの2日間を描く物語で、河合は卒業生代表の答辞を任された山城まなみを演じる。取り壊しを控えた校舎についても答辞で触れてほしいと言われたまなみは、校内を歩く。その中の調理実習室は、料理部部長だったまなみが彼氏である駿(窪塚愛流)のために作った弁当を持って会っていた場所だ。卒業を迎える寂しさと、未来に心が弾んだり不安を感じたりする生徒たちの青春の1ページ。まなみが卒業式で迎える“さよなら”は思いがけないものだった。その驚きを、河合の繊細な演技が一層印象的にする。「何を思っているのだろう」「何があるのだろう」「何を抱えているのだろう」…、そんな想像をかき立てる演技に引き込まれていく。

『少女は卒業しない』を観る


PLAN 75(2022年)

450712 (C)2022『PLAN 75』製作委員会/Urban Factory/Fusee

倍賞千恵子主演で、75歳以上が自らの生死を選択できる制度「プラン75」ができた架空の世界を描く。河合が登場するのは上映時間の半分過ぎたあたり。彼女が演じるのは、死を選んだお年寄りに“その日”が来る直前までサポートするコールセンタースタッフの瑶子。ミチ(倍賞)と毎日電話でやり取りをするうちに、規則を破って直接会うことに。
ミチとの交流で制度に疑問を抱くようになった瑶子が、カメラをまっすぐ見つめるシーンがあり、画面に大きく映し出された瑶子の顔に観る者はハッとさせられる。その視線は、物語の枠を超えて観る者に問い掛け、深く考えさせる役割を果たしている。

『PLAN 75』を観る


愛なのに(2022年)

446774 (C)2021「愛なのに」フィルムパートナーズ

今泉力哉監督と城定秀夫監督がお互いの脚本を提供し合い、R15+(15歳未満の鑑賞禁止)のラブストーリーを製作するコラボ企画「L/R15」の1本で、城定監督&今泉脚本版となる。登場人物たちは、みんな片思いをしており、その思いが交錯していくラブコメディーだ。河合は、瀬戸康史演じる古本屋の店主に恋する女子高生役。14歳年上の店主に思いを寄せ、気を引くために万引きをして、彼が追いかけてきてくれるのを待つ——そんなかわいらしさと、思わず求婚してしまう大胆さを併せ持つキャラクターだ。R15+指定ではあるが、女子高生と店主はあくまで純粋な関係。年上の男性に憧れ、翻弄される一方で、時には翻弄する側にも回る…そんな思春期ならではのピュアさを、河合が魅力的に表現している。

『愛なのに』を観る


冬薔薇(2022年)

436125 (C)2022「冬薔薇(ふゆそうび)」FILM PARTNERS

阪本順治監督が自ら手掛けたオリジナル脚本で作り上げた本作は、主演を伊藤健太郎が務め、坂東龍汰毎熊克哉ら注目の若手俳優と、小林薫余貴美子伊武雅刀石橋蓮司といったベテランが脇を固める。名監督、名俳優たちに囲まれて河合が演じるのは、堕落した生活を送る主人公・渡口淳が所属する不良グループのリーダー・美崎輝(永山絢斗)の妹・智花。鬱々とした男たちの中で、ある事件に巻き込まれても失わない強さを、その表情やたたずまいでしっかりと表現している。

『冬薔薇』を観る


主役でも、出演シーンはそれほど多くない脇役でも、自然と目で追ってしまう存在感。河合が演じるキャラクターが、物語の中でちゃんと生きているからこそ、その存在に引き寄せられるのだろう。特に“目”が素晴らしい。物憂げだったり、悲しみだったり、かわいさだったり。スクリーンや画面を通してもドキッとさせられる視線を生み出し、物語へと誘ってくれる。

(文・神野栄子)

https://news.tv.rakuten.co.jp/2025/02/97th-academy-awards-nominations.html 第97回アカデミー賞® ノミネート一覧・結果速報

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