人気カプも登場！タイBL『Only Friends』の本音の見えない男たち（※ネタバレあり）

本作の主なカップルを演じるのは、すでにお馴染みの面々だ。『The Eclipse』、『Moonlight Chicken』、『The Heart Killers』のファースト&カオタンと、『Enchanté』、『A Boss and A Babe』のフォース&ブック。この二組に今回初カップリングとなる、『Fish Upon the Sky』のニオと『Bad Buddy』『Moonlight Chicken』のマークが加わり、複雑な人間模様を見せていく。

事の発端は、経営学部４年のミュー（ブック）、レイ（カオタン）、ボストン（ニオ）、そしてレズビアンのチュアム（ルークジャン）が、卒業課題のために始めたコンドミニアムのホステル化企画だった。そこにボストンが内装デザインに詳しいトップ（フォース）を連れてきたことから、最初のもつれが生じる。トップはホテルグループの御曹司であることに加えて、イケメンの一軍男子。その彼が、バーでは常に席取り係だった地味なミューを気に入ったことで、トップと一度だけ関係を持ったことのあるボストンが嫉妬心を膨らませていく。

一方、ミューの親友で実は彼のことを愛しているレイも、トップとミューの接近を面白く思っていなかった。トップが接近するのを友達として阻止しようとするが、連戦連勝男を食い止めるのは無理な話で、バーで公開告白され、二人は付き合うことに。これをきっかけに、あるトラウマから酒や薬に溺れていたレイの素行はさらに悪化してしまうのだが、そんな彼に救いの手を差し伸べる存在が現れる。バーで歌う歌手のサンド（ファースト）だ。彼は見て見ぬふりをすることができない男らしく、ベロベロなのに車で帰ろうとするレイをなだめ、徐々に互いの家を行き来する仲になっていく。

ミューとトップ、レイとサンドがそれぞれに仲を深めていく一方で、ボストンもまた新たな“相手”を見つけていた。スマートフォンが壊れた際に店員のニック（マーク）と視線だけで熱い会話を交わしたボストンは、一瞬で彼と深い仲に。しかし、友達のミューやレイ、はたまた元同類だったトップにさえも「クズ男」と言われるボストンは、ニックを恋人と認めず、この言動がニックに盗聴という手段を使わせてしまう。

その結果、ニックはある重大な音声を手に入れてしまい、ホステルに関わる仲間たちの関係は崩壊していく。だが、元はと言えば、それぞれが本音をぶつけることなく、ひた隠しにしていたことが原因と言えよう。特にレイのミューへの思いはダダ漏れだったのに、友達関係を壊したくないからと飲み込んでいた。だが、これは現実でもよくあることではないだろうか。また、傷付くのが怖いからと、ボストンのように決まった恋人を作らない人物像など、今作にはこういったリアリティが散りばめられており、後半にはゾクっとする瞬間も。

特に第6、７話での大暴露からの本音のぶつかり合いは、見応え十分だ。なかなか本音を言わないメンバーの中で唯一、本音しか言わなかったミューさえも混乱をきたす。だが、徐々に自分を取り戻していくと、もともと頭の切れるタイプだったミューは、トップと付き合ったことで大胆さを手に入れたのか、思わぬ行動に出る。彼がどんな手段を選び、どんな道を選ぶのかは、大きな見どころの一つだ。

2025年１月に同性婚が合法化されたタイにおいて、BLドラマのポジションはますます不動のものとなっていくことだろう。そんな中で、リアリティにあふれた本作は2023年制作のものだが、現代を映し出す一作と言えよう。

（文・及川静）

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