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人気海外ドラマ『S.W.A.T. シーズン7』――俳優とファンが打ち切りを撤回させた奇跡のシーズン。そしてファイナルへ導く「現在」と「未来」を提示

人気海外ドラマ『S.W.A.T. シーズン7』――俳優とファンが打ち切りを撤回させた奇跡のシーズン。そしてファイナルへ導く「現在」と「未来」を提示
『S.W.A.T. シーズン7』(C) 2024 Sony Pictures Television Inc. and CBS Studios Inc. All Rights Reserved.
海外ドラマ「S.W.A.T.」シリーズは、アメリカ・ロサンゼルスを舞台に、特殊武装戦術部隊S.W.A.T.の活躍を描く人気アクションドラマ。黒人警官ホンドー(シェマー・ムーア)率いるチームが銃撃戦や人質救出などの危険任務に挑みながら差別や社会問題にも直面する、スリリングな展開とリアルな人間ドラマが魅力の社会派ポリスアクションだ。

2017年にスタートした「S.W.A.T.」シリーズ。視聴率は安定し、国際的な人気も高く、アクション警察ドラマの中ではトップレベルのブランド力を持っていた。しかし製作費の高騰などから、シーズン6の最終回をもって打ち切られることがふいに発表された。

その発表と同時に、ホンドー役の主演俳優シェマー・ムーアが自身のSNSでドラマ継続への強い思いを発信。俳優としては踏み込みすぎるほどの彼の勇気ある「異例の姿勢」にファンも反応。彼らの熱い思いがSNSで大きなムーブメントとなり、発表からわずか72時間で打ち切りが撤回され、シーズン7が最終シーズンとして制作された。しかしシーズン7放送終了直後にこれも覆され、シーズン8が「ファイナル・シーズン」となることに決定した。

ファンと共に復活を勝ち取った『S.W.A.T. シーズン7』に制作陣が盛り込んだのが、「ファンへの恩返し」と「集大成」の意志だ。

まずは、ファンの声に応える形で、これまでの人気キャラの「見せ場」を丁寧に作った。シーズン6でレギュラーを降板した、ジム・ストリート(アレックス・ラッセル)とドミニク・ルカ(ケニー・ジョンソン)をゲスト出演させ、「S.W.A.T.」におけるフィナーレをしっかり描いた。シーズン1からその歴史を支えてきた中核メンバー2人に一区切りをつけることは、シリーズをずっと見てきたファンに重厚な「人生の節目」を感じさせた。
一方でシーズン7は、新しい風を全力で受け入れる姿勢も見せた。その象徴が、ゾーイ・パウエル(アンナ・エンガー・リッチ)のチームへの正式加入だ。シーズン5でS.W.A.T.アカデミーの候補生として登場し、シーズン6からS.W.A.T.隊員に採用された彼女は「新しい時代のS.W.A.T.」を象徴する人物として、「チームは変わっていくものだ」という作品全体のテーマを鮮明に浮かび上がらせた。

そして、S.W.A.T.の象徴であり続けるホンドーは、シーズン7で「2つの役目」を負った。ひとつはもちろん、これまでと変わらずチームの指揮官として最前線に立ち続けること。そしてもうひとつは、「世代をつなぐ存在」としての役割だ。新世代の力を引き出しつつ、長年戦ってきた仲間たちの最後の歩みに寄り添う。ホンドーは、ただ現場を指揮するだけのリーダーではなく、「チームの変化を見守り、導く存在」へと成熟したのだ。それはキャラクターの進化であると同時に、ファンと共に番組を守った俳優シェマー・ムーア自身が作品全体を支える立場にあることを象徴している。

「S.W.A.T.」は決して派手なアクションだけのドラマではない。「仲間がいることで力が発揮される」というテーマを根底に置きつつ、その「仲間」という概念自体が変化していくことを誠実に描いている人間ドラマでもある。シーズン7は、その変化を「現実の時間と共に進む物語」として描いている。
つまりシーズン7は、「チームの関係性が再構築されるシーズン」ともいえる。これは新規の視聴者にとって「今からでも見られる」という入口となる。これから「S.W.A.T.」を観てみようという方には、このシーズン7から見ることをおすすめしたい。

視聴者自身が、チームの歴史を傍で見守り続ける「目撃者」になったかのような感覚を味わえるのが、シーズン7の最大の魅力かもしれない。そして本作シーズン7に続くのが、『ファイナル・シーズン』。つまりシーズン7は単なる続編ではなく、シリーズの「節目」であり、「未来への予告」となる作品なのだ。

(文・坂本ゆかり)

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