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朝海ひかるさんインタビュー!舞台『サロメ奇譚』出演

朝海ひかるさんインタビュー!舞台『サロメ奇譚』出演
芸能生活30周年を迎えた朝海ひかるが、節目の作品に選んだのは『サロメ奇譚』。時代を超えて上演され続けるオスカー・ワイルドの不朽の名作『サロメ』を、現代に置き換え描いた、とある一家での一晩の出来事だ。登場人物たちの哀しさ、可笑しさ、愚かしさを交え、コミカルに時にドラマティックに表現される新感覚悲喜劇。サロメはなぜヨカナーンの首を求めたのか。現代の私たちにも通ずるサロメ像を目指す。サロメを演じたいと思った理由や、サロメについて今考えていること、「踊ること」「演じること」についての想いを聞いた。
そして、Rakuten TVで配信している宝塚歌劇団の作品から、おすすめ3作品をセレクトしてもらい、それぞれのおすすめポイントや思い出を語ってもらった。
(写真・文:岩村美佳)

――『サロメ(奇譚)』は、どんな思いでご出演を決めましたか?

演出の稲葉賀恵さんに、「私がやるならどんな作品が良いですか」と逆質問をしたんです。自分がやりたいものというよりも、幅を広げていきたいので、演出家の目線から作品を選んで頂きたいと思いました。稲葉さんに何作か候補を挙げていただき、一番上に挙がっていた演目が『サロメ』でした。確か若い少女のお話だったような気がするので、「いいんでしょうか!?」と驚きましたが、人生を経験したからこそ、サロメという人物の心の襞(ひだ)、環境から受ける感情、人間形成などを、より繊細に演じることができれば、私が今サロメをやる意味もあるのかなと思いました。そして、『サロメ』のなかには有名なダンスシーンがあります。最後に布を1枚ずつ脱ぎながら踊る官能的な踊りなのですが、私が30年舞台をやってきたなかでは、やはり踊りは切っても切れないものなので、その両方の視点から見て、『サロメ』という作品が、芸能生活30周年を経て挑戦するにはふさわしいと。お客様も喜んでくださるかもしれませんし、私自身もやってみたい作品でしたので、選ばせていただきました。

――『サロメ』関連で、何かご覧になったものはありますか?

以前、新国立劇場で、多部未華子さんがサロメをなさった舞台を拝見していました(’12年『サロメ』)。ヨカナーンを成河さん、お母様(ヘロディア)を麻実れいさん、お父様(ヘロデ王)を奥田瑛二さんがなさっていましたが、印象深い作品でした。その時に抱いた印象ですが、サロメという役が、自分の意のままにならない相手の首を切ったというイメージが皆さんもあると思いますが、そこに至るまでの人物の心の襞みたいなものが表現できればいいかなと思っています。脚本のペヤンヌマキさん、演出の稲葉さん、プロデューサーさんと一緒に、何度もお話させていただきましたが、現代の私たちのどこの腑に落ちる『サロメ』にするかですね。そこを意識した作品作りになると思います。できあがった脚本を読ませていただきましたが、ペヤンヌさんのすごく素敵なエッセンスが盛り込まれた脚本になっていて、これは面白いことになりそうだなと思っています。

――脚本を読ませていただきましたが、ちょっと不思議でした。

不思議ですよね。ユダヤの世界と、今回の設定の現代との、世界が通じるんだみたいな。どこでもドアか何かで、時空が歪んでいる感覚があって不思議です。舞台に上がったらどうなるんだろうと、今は本当に楽しみでしかないです。

――演じるサロメ像については、これから考えていく段階ですか?

そうですね。先ほどもお話したサロメの心の襞(ひだ)は表現していきたいと、皆さんの意見が合いました。私もそう思いますし、首を切るまでの、そこが一番大事だと思うので。細かい表現の仕方は、稽古に入ってから、キャストの皆さん、演出家、脚本家とで、一つひとつ積み上げていきたいと思います。

――サロメとしての踊りは、どんな風に考えていますか?

変な癖が出なければいいなと。サロメは30歳前後の設定ですが、理想は純真無垢というか、少女のような心の女性がだんだん終盤になるにつれて、大人の女性に変化していく様を表現できればいいなと思います。

――30年のキャリアのなかで、踊ることと演じることはどんな風に変化しましたか?

宝塚の下級生時代は、みんなと一緒に踊っているだけで楽しかったです。ソロをいただくと、その1曲で、自分で役柄などを表現しなければいけなくなります。そこからだんだん本当のダンスの楽しさがわかってきました。やはり演じることと、ダンス、体を使って表現することは同じなので、両方がひとつになっていきました。ただ踊るだけならば体操っぽくなってしまいますが、舞台で踊ること、表現することは、芝居をすることとイコールの部分があるかと。場数を踏んで、色んな作品に出させていただき、色んな踊りを踊らせていただいて、変化していったと思います。

――もし踊りだけを続けていたら、今とは違っていましたか?

全然違うと思います。多分、ここまで続いていなかったと思います。

――宝塚に出会って、演じることを得たことは、すごく大きい転換なのですね。

そうですね。結果的に、宝塚に入れたから本当に良かったと思います。もし入っていなければ、別の人生が待っていたわけなので、それはそれでどうだったんだろうと興味はありますが、今の人生が本当に良かったなと思います。30年、この舞台という場を与えていただいたことに感謝しています。


朝海さんおすすめの作品はこれだ!

『エリザベート-愛と死の輪舞-(’98年宙組・宝塚)』
『ベルサイユのばら-オスカル編-(’06年雪組・宝塚))』
『タランテラ!(’06年雪組・東京・千秋楽)』


――Rakuten TVで配信している宝塚歌劇団の作品から、おすすめ作品をセレクトしていただきました。どんな想いで選びましたか?

何を選べばいいんだろうと悩みましたが、自分の人生においての節目というか、大事な作品で、この作品がなかったら今の自分はいないという観点で選ばせていただきました。

エリザベート-愛と死の輪舞-(’98年宙組・宝塚)

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――まずは、『エリザベート-愛と死の輪舞-(’98年宙組・宝塚)』です。朝海さんは、宙組から雪組への組替えがあり、大劇場のみのご出演でした。個人的なことで恐縮ですが、朝海さんのルドルフが観たくて、宝塚大劇場に行って、立ち見したことを思い出しました。

大劇場に来てくださってありがとうございます。

――『エリザベート』を選ばれた想いをお聞かせください。

私の宝塚でのキャリアのなかで、『エリザベート』の前までは、ソロを歌うことがあまりなく、歌ったとしても4小節や8小節などで、丸々1曲を歌うことはなかなかありませんでした。大劇場で15分間も、自分が演じる役を中心に物語が繰り広げられる経験がありませんでしたから、ルドルフを演じるにあたって、初めてのことばかりでした。ひとりの人物の死ぬまでを演じることも初めてでしたから、ルドルフという役でお芝居の楽しさを教わり、歌うことの楽しさ、難しさもわかりました。
あとは、大劇場の空間というものを初めて体験したというか。拍手ってこんなにすごいんだと、力をもらえました。
初日に忘れられない思い出があります。宝塚には銀橋というエプロンステージがあり、そこで「闇が広がる」というナンバーの最後に拍手をしていただいたのですが、割れんばかりのというか、今まで聞いたことがない拍手だったんです。鳥肌がぶわーっと立って……、それから自分の役にさらに集中して入りこむ事ができました。大劇場というものを改めて感じられた瞬間でもありました。

――雪組、星組と上演されてきた『エリザベート』が、宙組で、姿月(あさと)さんのトートで上演されることへの期待というか、独特な熱があったと思います。そういう客席の違いは何か感じましたか?

やはり『エリザベート』の初日は本当にすごかったですね。『エリザベート』の初日と、『ベルサイユのばら』の初日は、お客様の“待ってました”感がすごかったです。

――そんなに伝わるんですね!

客席の皆様のお顔が見えますから。もちろん前のほうのお席の方の表情はリアルに見えますし、客席全体が何かすごいんですよ。視線が全然違うんです。今回、この2つの作品をセレクトさせていただきましたが、お客様の熱を一番感じた作品でもありましたね。

――改めて、『エリザベート』はどこを見てほしいなどありますか?

私の出番は2幕の15分しかないので、そこはもちろん見ていただきたいです。あとは、本編が終わった後のフィナーレナンバーで、男役だけで大階段で踊る場面があります。私が階段を上から降りて来ると、前にいた人がよけてくれるのですが、スターっぽいというか(笑)。そんな扱いをされたのが初めてでしたから、「どうしたらいいんだろう……」とものすごくドキドキしていました。

――階段を下りていくと、大階段にいた方々が、左右に開いていく振付ですね。和央ようかさんと、湖月わたるさんと、朝海さんが、3人で並んで下りてきます。

3人で下りてくることがありませんでしたので、本当に平気な顔でやっていますが、実は心のなかではドキドキが止まらないんです。改めて見てくださるならば、「この人、こんなにすましているけど、すごくドキドキしているんだな」と思って見てください(笑)。

ベルサイユのばら-オスカル編-
<アンドレ役替わり:瀬奈じゅん>(’06年雪組・宝塚)
<アンドレ役替わり:水夏希>(’06年雪組・宝塚)

――次は、『ベルサイユのばら-オスカル編-』です。朝海さんがトップスターの時の作品で、オスカルを演じられました。他組トップスターを含めた6人のアンドレが入れ代わり立ち代わり演じられて、スペシャル感もある公演でしたが、今どんなことが甦りますか?

『ベルサイユのばら』=宝塚、宝塚=『ベルサイユのばら』というイメージがありましたので、宝塚を代表する作品に、自分が主役の時に巡り合えたことですね。宝塚の生徒全員が『ベルサイユのばら』に出会えるわけではないので、私の時期にたまたま出会うことができたタイミングであり、本当に貴重だなと思いました。私が宝塚に入った証であり、勲章をここで頂いた気がしています。
『ベルサイユのばら』は、小さい頃から漫画が大好きで崇拝していたので、「人間がやるなんて何を言っているの?」みたいな、どちらかというと反対派でしたが(笑)、私が予科生、本科生の時に、日向薫さん、大浦みずきさん、杜けあきさんが再演されていた時期で、その時に人間がやっている『ベルサイユのばら』を初めて観たんです。もう、感動して、号泣してしまいました。今でも忘れられませんが、音楽学校は、1作品に1回観劇日があって、見学させていただけるのですが、チケットが全くなくて、立ち見をしたんです。立ちながら号泣して、「ウワァー!(涙)」って。その時に「ああ、これか! 素晴らしい!」と大感激しました。それから日曜日ごとに、朝6時ぐらいに並んで、当日券を買いました。その時から、どっぷりと宝塚の『ベルサイユのばら』のファンになってしまいました。いざ自分がやるとなった時も、先輩方が歌われていた主題歌の数々を、自分が歌うのも何かおこがましいような気持ちで、「私、今、この歌を歌っている……この台詞を言っている……」みたいな、ただのミーハーでしかありませんでしたね(笑)。

――トップスターですのに!

最初はミーハーな感じでやっていたのですが、だんだんやっていると、本当にオスカルという人物の魅力に魅せられていって、自分なりのオスカルを作っていきたいという思いが、稽古中に芽生えてきました。できたのかどうかわかりませんが、公演中はとても幸せな時間でしたね。自分が宝塚に入ったんだと、やっと実感したというか。

――RakutenTVでは、瀬奈じゅんさんバージョン(『ベルサイユのばら-オスカル編-<アンドレ役替わり:瀬奈じゅん>(’06年雪組・宝塚)』)と、水夏希さんバージョン(『ベルサイユのばら-オスカル編-<アンドレ役替わり:水夏希>(’06年雪組・宝塚)』)がご覧いただけます。

そうなんですか! ありがとうございます!

――6人の中の、ふたりのアンドレを見られるんです。

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わぁ~! 何てこと! 素晴らしいですね! 瀬奈さんは1学年下なので、私が花組だった時にご一緒していて、仲良くしていたんですよ。ずっと一緒に遊んでいました。オスカルとアンドレが幼い頃からずっと一緒にいたところと重なっていたことが、すごく記憶にありますね。冒頭のフェンシングのシーンなどは、私たちが花組で、何も知らないできゃっきゃと遊んでいた頃のことを思い出すというか。その頃と重ねて演じていたので、自然にオスカルとアンドレをできていたのではないかと思います。逆に、ラブシーンが恥ずかしくて(笑)。

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水はすごくしっかりした人なので、すべてを預けられる感じで、本当にオスカルとアンドレのようでしたね。楽屋もいろいろ手伝ってくれたりしていたので、本当に陰になり日向になり、私を助けてくれました。


タランテラ!(’06年雪組・東京・千秋楽)

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――最後に選んでくださったのは、『タランテラ!(’06年雪組・東京・千秋楽)』です。東京千秋楽の映像なので、サヨナラショー直前の最後のステージですね。

私が激やせしているときですね(笑)。この時に、人間の骨格ってこういう形をしているんだって、自分を鏡で見ながら思ったんですよね(笑)。

――見ていただきたいところや、この作品の思い出はいかがでしょうか?

このショーを作る時に、演出家の荻田浩一先生に「どういうのをやりたい?」と聞いていただいて、「私のサヨナラ(退団公演)ではなくて、ショーとしてクオリティの高いものを作ってください」とお願いしました。宝塚のショー作品のなかでは、このショーがすごく好きだと思えたので、最後に出合えて良かったなと思っています。

――本当に素晴らしい作品ですよね。

ありがとうございます。音楽も、踊りの振りも、やはり全部好きですね。

――今拝見すると、出演者がものすごく豪華で、その後のトップスターが勢揃いされています。

そうですね。ぜひ、後ろまで見逃さないでください。千秋楽の日は、ひとつひとつのシーンが終わった後の拍手を聞くだけで涙が出そうでした。多分音声で入っていると思うのですが、拍手を聞いていただきたいです。ファンの方の思いが全部そこに詰まっていますから。同時上演の『堕天使の涙』は、最初の登場がせり上がりでしたが、その時の拍手も忘れられないベスト3に入っています。あの日の東京宝塚劇場のお客様の思いは、今も大切に胸の中にあります。

――『堕天使の涙(’06年雪組・東京・千秋楽)』もご覧いただけます。

ありがとうございます。ぜひこちらもご覧いただいて、拍手を聞いていただきたいです。


朝海ひかるプロフィール
1月24日生まれ。宮城県出身。1991年、宝塚歌劇団に入団。入団当初より透明感ある爽やかな個性とダンスの実力が注目され、2002年雪組男役トップスターに就任。06年宝塚歌劇団を退団。近年の主な出演作品としては、2021年『INTO THE WOODS』『近松心中物語』等

作品情報

舞台『サロメ奇譚』

サロメ(朝海ひかる)は両親に心底うんざりしていた。血の繋がりのない義父ヘロデ(ベンガル)は常に自分を性的な目で見ており、下品な言動を繰り返す。実の母であるはずのヘロディア(松永玲子)も、サロメに過度な「女らしさ」を求め、一方で彼女の美しさに嫉妬していた。ある晩、実業家で資産家でもあるヘロデの還暦祝いが彼の豪奢な邸宅で開かれた。地元の名士たちが集う中、突然現れた預言者ヨカナーン(牧島 輝)。彼は「権威ある者の破滅」を予言する。ヘロデはすぐにヨカナーンを捕らえるが、一方でサロメは彼に急速に惹かれてしまう。誰もが知る「悲劇」への歯車が、ゆっくりと回り出してゆく。

●原案:
オスカー・ワイルド『サロメ』
●脚本:
ぺヤンヌマキ
●演出:
稲葉賀恵
●出演:
朝海ひかる、松永玲子(ナイロン100°C)、牧島 輝、ベンガル
東谷英人(DULL-COLORED POP)、伊藤壮太郎、萩原亮介

【東京公演】
2022年3月21日(月・祝)~3月31日(木)東京芸術劇場シアターイースト
【大阪公演】
2022年4月9日(土)~10日(日)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

Rakuten TVで視聴する

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インタビュー 宝塚歌劇団 OG 朝海ひかる

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