ついたウソが見抜きやすく、簡単に許されるかわいいものであれば大ごとにはならなかっただろうが、「実はゲイ」というタチが悪い上に、本人が否定しても「最初はみんなそう言うのよね」と誰も信じてくれないものだったため、ウソまみれのゲイタレントという深みにハマっていく主人公のサッタヤー。
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しかも落ちこぼれだがイケメンだったサッタヤーは、ラジオDJの枠を超えてイベントにも呼ばれるなど、あっという間にタレント並みの人気者になる。そのため、闇金から借りた借金と実家の住宅ローンを返したいサッタヤーは、どんどん引き返せなくなっていくのだ。
右肩下がりだったラジオ局の社長は、サッタヤーの躍進に大喜び。あまりに多忙になったため、女性マネジャーを付けることになるのだが、それがサッタヤーのずっと気になっていた女性スタッフ・チンチャイだったことから、彼は苦しい状況に追い込まれていく。なぜなら、彼女はサッタヤーを“お姉さん”だと思い込んでいるので、サッタヤー宅に気軽に出入りし、誰にも言えない悩みを打ち明け、朝が早い時は平気で泊まっていくからだ。
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だが、サッタヤーは本当は“ノンケ”(ストレート)のため、あまりの距離の近さに爆発寸前。ゲイタレントと女性マネジャーという禁断すぎるカップルの恋愛は、この後、思いもよらぬ波乱を生み出していく。
そして、今作にはもう1組、禁断のカップルが登場する。当初、サッタヤーのマネジャーをしていたゲームと、売れないタレントのマジックだ。ラジオ局の社長のアイデアで、サッタヤーとマジックがカップルになるBLドラマを制作することになるのだが、チンチャイのような女の子が好きなマジックは、何度チャレンジしても男性とのキスができない。
そこでゲイであるゲームが演技指導をするのだが、男性とのキスに不慣れなマジックはどうしても笑ってしまう。そんな彼に年上のゲームが真剣に向き合い、何度もキスシーンを試しているうちに真摯な気持ちが届いたのか、気持ちが昂って…。
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サッタヤーとチンチャイ、ゲームとマジック。どちらもマネジャーとタレントという禁断のカップルゆえにもちろん他言無用だが、秘密であればあるほど盛り上がるのが人の常。2人きりになるとキュートなラブタイムを見せてくれるので、お楽しみに。
さらに、もう1つ注目ポイントが。主人公のサッタヤーを演じているのは、22年度、注目のBLドラマ『The Miracle of Teddy Bear(原題)』にメーンキャストとして出演している、ジョブことタッチャポン・クーウォンバンディット。『LOVE LIE HIDE FAKE』は、そんなジョブのゲイタレントとしてのかわいい仕草と、チンチャイに恋する男らしい表情、どちらも楽しめる欲張りな一作になっている。
(文・及川静)