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『正負之間~Plus & Minus』歐陽ママとお勉強ちゅう♡ #47

『正負之間~Plus & Minus』歐陽ママとお勉強ちゅう♡ #47
中国語映画・ドラマの翻訳や、日本で開催されたアジアBLドラマイベントMCなどに携わり、アジアドラマをこよなく愛する歐陽ママが、注目するドラマの台詞をきりとり、読者の皆様に中国語の表現の面白さなどをお伝えする「歐陽ママとお勉強ちゅう♡」。第47回は『正負之間~Plus & Minus』でお勉強!

好評配信中の『正負之間~Plus & Minus』、配信も佳境を迎えていよいよクライマックス! 皆さんご覧いただいているわよね? イケメン弁護士二人のメインCPと、くっつきそうもないクリーニング屋さん店長とバーテンダーのサブCPの物語。プラスとマイナス、それぞれの名前に隠された意味、もうCPになる運命だったとしか言いようのない四人なんだよね。BLらしいシーンも盛りだくさんだし、やっぱり向き合うことになる家族のトピックなんかも本作では重要な位置を占めてる。今月は『正負之間~Plus & Minus』を題材にお勉強よ!

https://news.tv.rakuten.co.jp/2022/06/10ouyangmama.html 『正負之間~Plus & Minus』歐陽(オウヤン)ママの注目作品紹介

正負之間~Plus & Minus×主人公四人の名前とタイトル

中国語って日本語と似ているところもあるんだよね。そりゃ漢字だし、その漢字にしたって同じ意味のことも多いから当たり前っちゃ当たり前なんだけど、決定的に違うのは音よね。日本語にも同音異義語っていう外国人学習者を悩ませている(イライラさせている)ものがあって、面白い誤解を生んだりしてるよね。中国語の音には発音そのものと声調(トーン)があるわけで、完全に一致することは少ないけどそれでもある。今日はそんな、中国語の音の話。

正負之間?鄭傅之間?加減の法則?加簡の法則?

“正負鄭傅,加減加簡” 
訳:プラスとマイナス・鄭と傅、加減・加藤と簡

中国語の音の話をするって言ったんだけど、やっぱりこれ、読めないと面白くないんだよね。まずは発音記号を書いてみるから、よく見比べてみてほしい。

“正(ㄓㄥˋ|zhèng)負(ㄈㄨˋ|fù)之(ㄓ|zhī)間(ㄐㄧㄢ|jiān)”

“鄭(ㄓㄥˋ|zhèng)傅(ㄈㄨˋ|fù)之間”

どう? 完全に一致でしょう? 鄭傅のように、二人の苗字を組み合わせてペアにするのはよくあることで、台湾だと総統選挙のときにも正副総統の候補二人がこういうふうに苗字をくっつける形で呼ばれたりする。今の正副総統ペアは“蔡賴配”。
それから、「加減の法則」って算数で習ったでしょ? あれも動詞のプラスとマイナスよね。こっちも見比べてみてね。

“加(ㄐㄧㄚ|jiā )減(ㄐㄧㄢˇ|jiǎn)”
“加(ㄐㄧㄚ|jiā)簡(ㄐㄧㄢˇ|jiǎn)”


ほーれ、一緒だべ。こんなふうに音に加えて声調まで一緒なのは珍しいと思うんだけど、これも音が掛かっているっていうこと中国語話者だったらすぐに分かるんだよね。

“我會一直陪在你身邊” 
訳:ずっと…そばにいるよ

そして、第一話の印象的なシーンから一言。学校の屋上で誕生祝をした鄭則守と傅理躬の二人(12月21日と12月22日、一日違い)、台湾は18歳でお酒も飲めるようになるので、屋上でちょっと飲む。初めてのお酒を口にして鄭則守は酔っちゃうのね。酔った鄭則守が傅理躬と逃げ込んだ夜の教室で傅理躬に言う。

“我(ㄨㄛˇ|wǒ)會(ㄏㄨㄟˋ|huì)一(ㄧˋ|yī)直(ㄓˊ|zhí)陪(ㄆㄟˊ|péi)在(ㄗㄞˋ|zài)你(ㄋㄧˇ|nǐ)身(ㄕㄣ|shēn)邊(ㄅㄧㄢ|biān)”

“一直”はこれまで何度も出てきた「ずっと」、“陪”は「付きそう、相手をする」だけど“在你身邊”で「あなたの傍に付きそう」つまり「そばにいる」っていうことで、一つも難しくない。難しくないんだけどここの“會”にはちょっと注意が必要ね。“會”は英語の“can”に似ていると説明したことがあったと思うんだけど、ここを“I can”の始まりで訳しちゃうとちょっと違うわね。ここは意志を持った“will”の使い方だと理解するのが早いと思う。だから「ずっとそばにいるつもりだ」なんだけど普通そんなふうには言わないから「ずっとそばにいる『よ』」なわけ。この「よ」一文字の大きさよ、ほんと日本語も難しいじゃんね。

台湾の誕生日祝い

本作第一話の始まりは鄭傅二人の高校時代。18歳でタバコも酒もオッケーになる台湾、あたしも始め制服着てタバコ吸ってるの見たときにはたまげたわ。あれも18歳は越えてるってことなんでしょうね。そういえば台湾の誕生祝い、だいたいご飯食べに行くことが多いかなあ。その日の主役を“壽(ㄕㄡˋ|shòu)星(ㄒㄧㄥ|xīng)”というんだけど、壽星はご馳走になるパターンがほとんどだったような。あと特徴的なのはケーキね、ケーキ屋さんも誕生祝のケーキだと分かるとろうそくはくれるけど、使い捨てのお皿にケーキを切る用の使い捨てナイフまでくれる。持ちこまれるレストラン側も何も言わずに協力してくれるんだよね。これも日本じゃなかなか考えられないことよね。

執筆者情報

歐陽(オウヤン)ママ

早稲田大学大学院修了。論文のテーマは台湾の文化。
2012年から2013年にかけて台湾で生活、日本語の先生などしてふらふらする。
新宿二丁目では2021年10月15日に新しいお店「美麗島」をオープン!

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