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――お稽古はどんな感じで進んでいますか?
今は歌稽古を中心にしています。ミュージカルの中でもかなり曲数が多いほうだと思います。それぞれの役のナンバーがあるのですが、私が演じるリチャードの曲もたくさんあります。リチャードとヘンリーのふたりで歌う曲もあるのですが、時系列で曲が変わっていくので、そこも楽しんでいただけるんじゃないかと思います。
――おふたりで歌う曲も変わっていくんですね。
そうなんです。1曲だけじゃなくて、出会った時、2度目に会った時、最後と何曲もあって、最終的には歌で人を泣かせられる力を持った楽曲を用意してくださったので、泣かせられるように歌いたいなと思います。
――楽曲のテイストはいかがでしょうか。
『薔薇王の葬列』という世界観が、中世イングランドの歴史に基づいているんですが、ダークファンタジーでもあるので、ゴシックだったり、パイプオルガンなど、厳かな感じの楽曲です。リチャードが途中で覚醒するシーンなどは、かなり疾走感のある音楽になっています。本当に泣かせるような、静かなピアノだけで歌うようなシーンもあったりするので、ジャンルで分けるのは難しいですね。ジャズでも、ロックでも、ポップスでもなく、ミュージカルという感じの曲ですね。『レ・ミゼラブル』とか『エリザベート』とか、そういうジャンルだと思います。
――ミュージカルらしい、大曲という感じでしょうか。
そうですね。台詞や心情が歌になっているところが多く、本当にミュージカルでしかできない感じです。
――結構な曲数歌われるということですが、歌っていていかがですか?
歌っていて自分で泣いてしまったりするくらい素敵な曲ばかりで、歌の練習をしていても楽しいです。今はまだ立ち稽古をしていないので、歌だけでキャラクター像やシーンの情景が見えてくるのは、今後がすごく楽しみだなと思います。そして、お客さまからすすり泣くような声が聞こえてくるんじゃないかなとか、そうできるようにしたいと思っています。
――演出の児玉明子さんや、総合演出・振付の良知真次さんとは、どんなお話をされていますか?
ミュージカル「Neo Doll」という作品で、今作と同じ、児玉さん×良知さん、作曲の鎌田雅人さんというタッグでご一緒させていただきました。本当に「Neo Doll」という作品が大好きで、魅力をひと言で語るのは難しいんですが、お芝居として胸が熱くなったり、ぐっと感動的な、応援したくなるようなシーンもあったり、最後にはショーアップした役として出演できるライブパートがあったり、あの華やかな感じも含めて大好きなんです。
私は舞台の中でも特にミュージカルが好きなんですが、ミュージカルのよさを最大限、そして出演されるキャストさんたちのそれぞれの個性などを最大限に活かすのが、本当に優れたお二方だと感じています。「Neo Doll」はガールズミュージカルということで出演者は全員女性でしたが、得意分野が様々に分かれていて、ダンスが得意な子、歌が得意な子など、バラバラの個性でした。そんな女の子たちの一番魅力的な姿を、お二人が引き出されているのを見て、すごく勉強にもなりましたし、素敵だなと思っていましたので絶大な信頼があります。
今回はガールズミュージカルではありませんが、そういった根底の部分は変わらないと思いますので、とても楽しみです。児玉さんはライブ・スペクタクル「NARUTO -ナルト-」や「ROCK MUSICAL BLEACH」を始め2.5次元ミュージカルを数多く作られていて、私はほんとんどの舞台を拝見しているのですが、いつもすごいなと思って感動しています。そして、自分が演出してもらえる側にいられることが幸せです。
――児玉さんの演出を観ていてすごいなと思うところは、具体的にどんなところですか?
2.5次元のものですと、特に映像を使って、時に原作漫画のイラストを出したりとか、攻撃の技などを出したりするギミックの融合に、人間というアナログな存在と、デジタルな映像のかけ合わせがおしゃれというか、見やすくて素敵です。お客さまに親切で分かりやすいなといつも思っています。直近で拝見した「ROCK MUSICAL BLEACH」でも感じて、素晴らしかったです。
――台本のト書きを読みながら、どう表現するのだろうと思う場面がたくさんありました。
楽しみですよね。技を繰り出したりなどはありませんけど、戦いのシーンはたくさんありますし、雨が降るシーンもあったりするので。原作の菅野文先生が描かれている漫画の美しい世界が大好きなので、それが児玉さんの手によってどう3D化されるのか、とても楽しみですし、私も命を賭けて挑みたいなと思っています。
――児玉さんや良知さんと、今回の作品について何かお話されていることはありますか?
良知さんとは、今回男女両方の性を持つというお役なので、私が宝塚時代に男役として培ってきたものを存分に生かせるチャンスだというお話はしていただいていて、だからこそ私にしかできないリチャード像だったり、歌も男性として歌う部分と女性として歌う部分を、そういう意味で挑戦してほしいとおっしゃっていただいています。
私は宝塚を卒業してからも、ありがたいことに男役をさせていただいていて。だから漫画を読んでいて、リチャードの気持ちも分かると言ったらおこがましいんですが、共感できるというか、すごくイメージが湧きやすかったので、自分が男なのか女なのかという存在のリチャードのお役をいただけたことは、とても幸運だったなと思います。そういった意味で私自身も、ずっと見てきてくださったお客さまに対しても、新しい姿をお見せできると思います。
ミュージカル『薔薇王の葬列』
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