最終回を迎えた本作、最終話、どうだった？　びっくりしたでしょう？　あまりの展開の速さにあたしなんか目を白黒させたけど、まあ甘さにやられたって感じかな。いろんな人がどんどん出てきて一種の同窓会みたいな雰囲気もあったわね。いろんな思いを、いろんな場面で感じられたんじゃないかしら。もうちょっと感情の揺れ動きみたいなものを見たかった気もするけど、でも何はともあれハッピーエンドは最高よ！

“一輩子”＋「｜」＝“十輩子”　

“十輩子”　
訳：何度生まれ変わっても

最終話、すれ違った二人が野球場で再会するシーン。

“一（ㄧˊ|yī ）輩（ㄅㄟˋ|bèi）子（˙ㄗ|zi）”

（「一生」）と書かれた野球ボールに縦に一本書き加える傅理躬。すると「一」（マイナス）の字は「十」（プラス）に変わるの。“十（ㄕˊ|shí）輩子”という言い方があるのかというと、まあ普通は言わないわね。ただこの二人の間では何も言わずとも伝わるわけよ。だってマイナスの傅理躬とプラスの鄭則守だもの、マイナスとプラスも出てきて、かつ「十生」、「十回生まれ変わっても」つまり「何度生まれ変わっても」という意味になるんだね。ちなみにこの“一輩子”、“一”の部分は時に“上”（ㄕㄤˋ|shàng）や“下”（ㄒㄧㄚˋ|xià）に変わることがある。“上輩子”で「前世」、ということは“下輩子”だと「来世」の意味になるわよ。

“我們不是生下來就會當爸爸的”　
訳：子供が生まれればそれで父親になるってわけじゃない　

もう一つのセリフはあたしが心からうなずいた鄭則守のお父さんのセリフから。二人の仲たがいの原因をつくってしまったお父さん。だけどこのセリフはお父さんの深い思いが込められてるように感じたわ。だって本気で考えないとこんなことなかなか出てこないよ。

“我（ㄨㄛˇ|wǒ）們（˙ㄇㄣ|men）不（ㄅㄨˊ|bù）是（ㄕˋ|shì）生（ㄕㄥ|shēng）下（ㄒㄧㄚˋ|xià）來（ㄌㄞˊ|lái）就（ㄐㄧㄡˋ|jiù ）會（ㄏㄨㄟˋ|huì）當（ㄉㄤ|dāng）爸（ㄅㄚˋ|bà ）爸（˙ㄅㄚ|ba）的（˙ㄉㄜ|de）”

ここの“我們”は「われわれ父親は」というくらいの意味でしょう。“不是”は「～でない」、“生下來”は「生まれ出る」だけどここでは「子供を産めば」、でも中国語は「子供を産む」のに父親と母親の役割が変わらないの。お父さんでも「子供を産む」。この“就”は前後をつなげる役割で、“會”はおなじみの「できる」。“當”も前に出てきたことがあるけど「何かの役割を担う」とかそういう前提で「〇〇になる」という意味。だから「父親になれる」。字幕では拾い切れていない部分だけど、「子供が生まれればそれで父親になれるってわけじゃない」。よく考えてみれば、子供が一才だったらお父さんもお父さんになって一才なんだよね。

有始有終

“有（ㄧㄡˇ|yǒu ）始（ㄕˇ|shǐ）有終（ㄓㄨㄥ|zhōng）”

始まりがあれば終わりもある。
当たり前の話なんだけどね、これで楽しかった本作もおしまい。終わりがあれば次のはじまりがある、とは限らないけどその「次」を期待することにしてまた楽しみに待つ時間を味わいましょう。
なんだか6月だっていうのに梅雨明けしちゃったし、ほんとに暑くなってきたわね。あたしも体調崩しちゃったけど、みんな身体だけは大事にね！

執筆者情報

歐陽(オウヤン)ママ

早稲田大学大学院修了。論文のテーマは台湾の文化。
2012年から2013年にかけて台湾で生活、日本語の先生などしてふらふらする。
新宿二丁目では2021年10月15日に新しいお店「美麗島」をオープン！