男装ヒロインと美形男子の禁断の恋にドキドキ『烈火士官学校～ステキ男子とイケメン女子』

本作は、バイ・ルーが男装ヒロイン、シュー・カイが問題児の御曹司として出会うことから始まる。中国ドラマ界では、男装ヒロインが登場する作品は人気ジャンルとなっていて、『トキメキ☆雲上 学堂スキャンダル～漂亮書生～』『皇帝陛下の恋わずらい～The King Is in Love』『尚芸館の五つ星』『女世子 愛を継ぐ花』など数多くある。

舞台となるのは、女子禁制の軍の学校。時代背景は、辛亥革命により清朝が滅び、近代国家として歩み出しつつ、国を挙げて軍事力強化が進められていたとき。謝襄(シエ・シアン)は尊敬する兄・謝良辰(シエ・リアンチェン)の遺志を継いで、兄の名前で烈火士官学校に入学。宿舎では、高官の息子である顧燕幀(グー・イエンジェン)と同室になる。

実は、入学審査の夜に親友に誘われて出かけたキャバレーで顧燕幀が起こしたトラブルに巻き込まれていた謝襄。名家出身ながら超問題児の顧燕幀との共同生活は前途多難だ。入学初日に突然行われた私物検査で、女性ものの下着を持っていた謝襄をかばってくれた顧燕幀だったが、その後はケンカばかりだった。

ケンカといえど、朝、なかなか起きない顧燕幀に謝襄が水をかけると、翌日に顧燕幀がやり返したり、訓練中に小競り合いをしたりと、同級生たちも「またやってるよ」とあきれるようなクスっと笑えるもので、時に助けたり、助けられたりもする。

ラブロマンスであれば、そんな2人が惹かれていくのは王道的展開。そこにさまざまな人間模様が絡むのも面白い。顧燕幀が早い段階で「女性では？」と感じる一方で、謝襄は男装がバレないように気を張っていることに加え、体力差もあって学校では落ちこぼれとなり、生真面目なほどに訓練と向き合う一生懸命さもあってなかなか恋には発展しない。と思いきや、同級生で顧燕幀がライバル視する沈君山(シェン・ジュンシャン)に亡き兄の面影を見出して惹かれ始めたり、その沈君山も謝襄がだんだん気になり始めたり。それに顧燕幀がやきもきする。

また、入学初日に出会って親友となった黄松(ホアン・ソン)は素直な性格で謝襄が男だと信じて疑わないが、謝襄であるはずの“妹”に会いたいという場面で謝襄が焦ったり、謝襄の秘密にうすうす勘づいている意地悪な李文忠(リー・ウェンジョン)や、顧燕幀に恋する歌手＆女優の曲曼婷(チュー・マンティン)の存在があったり。

秘密がバレないようにするドキドキ、気持ちの高まりやとまどいのドキドキ、ライバルや周囲の恋のドキドキと、さまざまなときめきが迫ってくる。

謝襄を演じるバイ・ルーは、凛々しさと美しさが同居する男装と、女性の姿に戻ったときにはかわいさも醸し出しながら、正義感のあるキャラクターを体現。顧燕幀を演じるシュー・カイは、“神級”と言われるビジュアルが話題だが、そんな彼のウインクや色気に心をわしづかみされるのはもちろん、なかなか素直になれない性格とやきもちも加わった謝襄への抑えきれない気持ちが露わになる幾多の場面のかわいさから目が離せなくなる。バイ・ルーもシュー・カイも、『招揺』のときとは違った魅力を放っている。

全48話で、後半になるにつれ少しずつ重い展開に。謝襄たちが危険な任務を遂行することになり、悲しみやつらい描写も。だが、仲間たちと友情を育みながら成長していく姿、そして謝襄や顧燕幀の心の動きを追いながら恋の行方をしっかりと見届けてほしい。

（文・神野栄子）