『Tharn Type』の原作者が贈る、最新BLドラマ『Love in The Air』

嵐の夜、車が故障し、路上で困惑していた時に助けてくれたイケメンライダー。大学１年生のレインは一瞬で彼のファンになるが、気になる彼女がうわさしているパーユ先輩だと知って、好きになりそうな気持ちに急ブレーキ。しかし、知れば知るほど、どんどん好きになってしまうというザ・MAMEらしいBL作品だ。

2018年に放送された『ラブ・バイ・チャンス/Love By Chance』、2019年に『TharnType/ターン×タイプ』、2020年『TharnType2 -7Years of Love-』、2021年『Don’t Say No -心が近づくとき-』、そして2022年『Love in The Air』と連年、小説がドラマ化されているMAME（オーラワン・ウィチャヤワナクン）。彼女がこれまでに発表しているBL小説は50冊を軽く超え、その作品は中国でも大人気で、本国タイでは”BLの女王”と呼ばれているそう。最初の『Love By Chance』以降は、彼女が思い描くドラマを制作したいと制作会社「ME MIND Y」を立ち上げ、『TharnType』以降の作品は自分たちでドラマ化している。

そのため、ドラマの細かいディテールがリンクしていることもしばしば。例えば、MAMEにとって２作目となる『TharnType/ターン×タイプ』は『ラブ・バイ・チャンス/Love By Chance』の数年前の話なのだが制作年が前後しているため、『TharnType/ターン×タイプ』には別のキャストが演じる同名の人物が多数登場している。しかも『TharnType/ターン×タイプ』の主人公は『Love By Chance』の脇役である先輩格のターンで、『love〜』では描かれなかった部分が明確になっているので、未見の人はぜひご覧になることをおすすめする。ある事件の犯人がわかるので、すっきりするはずだ。

また、全てにおいて同じ大学が舞台になっており、『TharnType2 -7Years of Love-』で新たに出てきたサブカップルのレオ×フィアットが、『Don’t Say No -心が近づくとき-』のメーンカップルになるという大胆な新展開もあった。さらに、新作の『Love in The Air』にも『Don’t Say No〜』のレオの弟のリオン、主人公カップルの同級生の双子の友人エーク＆トー、そしてバスケ部のマネージャーのナッスがカメオ出演しているので、どんな場面で出てくるのか、楽しみにしたい。

今回の『Love in The Air』は、「Love Strom」と「Love Sky」という小説２作が基になっており、１〜７話が「Love Strom」、８〜13話が「Love Sky」となっており、２組のカップルが楽しめる構成になっている。前半のカップルは、大学の卒業生でイケメンバイカーのパーユ（Boss）と大学１年生のレイン（Noeul）。二人は校外で偶然出会い、最初は好印象だったものの、恋敵と知った途端にレインがパーユに生意気に食ってかかるという関係性。しかし、イケメンなだけでなく、新進気鋭の建築家で実力がある上に、高級車や高級バイクばかり扱う整備会社の御曹司で整備の腕も一流というパーユは、どんな時も余裕しゃくしゃくで、レインを手のひらで転がしている状態。レイン自身もそれが分かっているため、悔し紛れに「１カ月で落としてやる！」とパーユに宣言。どれだけの頑張りを見せてくれるのか期待したいところだ。

そして、８話以降のメーンカップルとなるのは、レイン同級生のスカイ（Peat）と、パーユの友人のプラパーイ（Fort）の二人。一夜の関係から始まり、プラパーイがスカイに惚れこんでしまうらしい。この二人はレインがパーユに会いたいがために忍び込んだ真夜中の違法レース場で出会うらしいが、どんな展開になるのかはまだ謎。なんだかんだ、わがままなレインとパーユに付き合ってあげる人のいい二人が、どんなカップルになるのか、楽しみにしたい。

2組のカップルを演じるのは、Boss×Noeulと、Fort×Peat。
Boss×Noeulは二人ともME MIND Y所属の新人で、1999年生まれの23歳。今作がドラマデビューだ。
もう一組のカップルを演じるFort×Peatもまだデビュー間もない。2000年生まれのFortは、『F4 Thailand／BOYS OVER FLOWERS』とBLドラマ『Love Stage（原題）』にゲスト出演。1997年生まれのPeatは、OhmFluk主演BLドラマの『Oh! My Sunshine Night』にトイ役で出演したぐらいで、まだまだフレッシュな４人だ。

しかし、MAME作品には必ず苦しい心情のシーンが出てくるため、この４人も厳しい芝居に挑戦させられたはずだ。例えば、『TharnType』では主人公のターンに執着する親友による裏切りが発生したり、『Don’t Say No〜』ではフィアットが実母へのトラウマに向き合う姿が描かれた。『Love in The Air』ではどんな問題が２カップルに降りかかるのかまだ謎だが、ごく普通のラブラブドラマでは済まされないのがMAME作品。どんな試練が訪れるのか、覚悟して、続きをご覧あれ。

（文・及川静）

（3/24　記事内容を一部修正いたしました。）