シッチェス映画祭は、1968年に創設され、SF、ホラー、スリラー、サスペンスなどファンタジー系とされる作品を中心に扱うスペシャライズド映画祭として世界的に権威ある国際映画祭の一つ。日本とも縁が深く、1999年に『リング』が最優秀作品賞に輝いているほか、2014年に『渇き。』で役所広司が最優秀男優賞、2000年に『秘密』で広末涼子が最優秀女優賞を受賞。また、アニメーション部門にも力を入れており、2016年に『君の名は。』、2020年に『ぼくらの7日間戦争』などが最優秀長編作品賞に選ばれている。
そんななか日本のホラー映画ファンが楽しみにしているのが「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション」。世界中から集結する“最先端”の作品群から、話題になったものが紹介されるのだ。
今回配信される「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2022」の作品は、カニバリズム(人肉を食べること)からエイリアン、ゾンビ、ヴァンパイア…と多彩。不安や恐怖心を掻き立てられるという点での“ホラー”を多角的に楽しめるラインナップになっている。
ヴィ―ガンズ・ハム
444586 (C) 2021 – Cinéfrance Studios – TF1 Studio – Apollo Films Distribution – TF1 Films Production – Chez Félix Cinéfrance SAS – Cinéfrance Plus – Cinéfrance 1888 https://tv.rakuten.co.jp/content/444586/
肉屋夫婦がヴィーガンの活動家を殺してしまい、その死体処理に困ってハムに加工。ところがそれが人気商品となり、経営難から抜け出したい思いもあって次々とヴィーガンを襲うように。風刺と毒気漂う人間狩り&カニバリズムと、倦怠期夫婦の愛を組み合わせたブラックコメディーだ。
ゾンビ・サステナブル
444589 (C) 2021 WYRMWOOD PRODUCTION HOLDINGS PTY LTD. ALL RIGHTS RESERVED. https://tv.rakuten.co.jp/content/444589/
キア・ローチ=ターナー監督が2014年のデビュー作『ゾンビマックス!怒りのデス・ゾンビ』と同じ世界観で新章を描くアクションホラー。ゾンビを再利用(?)するなど、設定の面白さを満喫できる。
パラミドロ
444587 (C) 2021 Person´s Films/la Dalia Films https://tv.rakuten.co.jp/content/444587/
寄生生物(エイリアン)×ロードムービーで心理バトルが展開し、現在のジェンダー問題を見せる社会派な面も。『呪われた息子の母 ローラ』は、カルト集団から逃げ出した過去を持つ母と息子を描きながら、見ているこちらを揺さぶり続ける構成も巧みな一作。『ビハインド・ザ・ドア』は、突然拉致された2人の少年を主人公に、ジュブナイル(少年期)ものと絶叫ホラーを掛け合わせた。
ぼくのデコ 23歳のヴァンパイア兄貴
444591 (C) 2021 Workshed Films Ltd. https://tv.rakuten.co.jp/content/444591/
そして、『ぼくのデコ 23歳のヴァンパイア兄貴』。このタイトルにどこか聞き覚えがある人がいるかもしれない。2010年に日本公開されたスウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』の英語タイトルを原題がもじっているため、日本語タイトルもこうつけられたのだ。メガホンをとったのは、2012年のシッチェス映画祭で反響を呼んだ『道化死てるぜ!』のコナー・マクマホン監督。ヴァンパイアになった兄を生かすか殺すかの究極の二択を迫られるホラーコメディとなる。
また、この配信を記念して、シッチェス映画祭で上映された他の過去作のレンタル100円(税抜)キャンペーンを4月30日(日)14:59まで実施中。日本でもリメイクされた台湾映画『あの頃、君を追いかけた』のギデンズ・コー監督が手掛けたモンスター映画『怪怪怪怪物!』や、『グレムリン』のジョー・ダンテ監督による『ゾンビ・ガール』、「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2021」で評判を呼んだ『BECKY/ベッキー』など、全32作品がズラリ。知らなかった才能、面白さに出会えるはずだ。
(文・神野栄子)
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