主人公のイーサン・ハントは、CIAの極秘任務を担当する組織「IMF(Impossible Missions Force)」に所属する凄腕のエージェントで、得意分野を持つ仲間たちとチームを結成して“不可能”と思われるほど難易度の高い作戦・任務を遂行してきた。変装が得意で、これまでにいろいろな人物に成りすまし、それも作戦に大いに役立ててきている。
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1作目『ミッション:インポッシブル』では、若手エージェントのイーサンはジム・フェルプス(ジョン・ヴォイト)が率いるチームで作戦に挑むが、内通者の罠によってチームがいきなり壊滅し、任務は失敗に終わった。そして、唯一生き残ったイーサンが裏切り者の疑いをかけられ、追われる立場となってしまう。身内の組織に追われながら、信頼できる仲間と戦いに挑むというのは「ミッション:インポッシブル」シリーズの一つの形と言えるが、第1作からそれが形成されているのが分かる。アクションも同様、ワイヤーで吊り下げられ床スレスレの状態をキープするシーンが有名だが、ワイヤーでのアクションは後のシリーズ作品にもよく登場する。もちろん、どんどんとスケールアップしていっているが。
2000年公開の第2作『ミッション:インポッシブル2 M:I-2』は、30時間で死に至らしめる強力なウイルスが題材になっている。香港からハリウッドに進出したジョン・ウーが監督を務め、バイクでのアクションシーン、二丁拳銃を派手にぶっ放すなど、エンターテインメント性が前作よりも増していて、恋仲になる“盗みのプロ”ナイア・ホール(タンディ・ニュートン)との関係性もロマンチックに表現されている。
2006年公開の『ミッション:インポッシブル3 M:i:III』では、イーサンは現場の第一線を退き、訓練教官を務めていた。そんな任務の傍ら、本業を秘密にしてジュリア・ミード(ミシェル・モナハン)と婚約し、幸せな生活を送っている。1作目から10年、イーサンが婚約・結婚というところに時間の流れを感じた。結婚式の当日、任務中に拉致された元教え子である女性エージェントの捜索班に加わってほしいという依頼を受けて参加することに。世界平和のために、というだけでなく、ジュリアのためにという気持ちも大きく、大切な人・守るべき人がいる強さを感じさせた。
2011年公開の『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』は、核弾頭ミサイルの発射コードの奪還がミッションとなっている。その任務遂行のために潜入したロシア・クレムリンで米露間の核戦争を企む戦略家に先を越され、クレムリン爆破事件の濡れ衣を着せられてしまう羽目に。1作目からの相棒的存在であるルーサー・スティッケル(ヴィング・レイムス)に加えて、前作でイーサンの行動を内部でサポートしていたメカに強いベンジー・ダン(サイモン・ペッグ)が現場での任務に参加。さらに、IMFの分析官ウィリアム・ブラント(ジェレミー・レナー)も、イーサンの過去に自身が関係していることを知って、信頼関係を築くことが出来、次の作品にもつながる強い絆が生まれた。2015年に『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』、2018年に『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』とシリーズが続き、アクションシーンを含め、どんどんスケールアップしている。
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そして、5年ぶりに公開された最新作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』。タイトルからも分かるように二部作になっており『PART TWO』は2025年に公開が予定されている。伝説的ハッカーのルーサーは今作でもハッキングを使ってイーサンをしっかりとサポート。天才技術者のベンジーもすっかり現場のエージェントとして活躍しており、命の危険を晒す場面も多々出てくる。『ローグ・ネイション』が初登場だった戦友のイルサ・ファウスト(レベッカ・ファーガソン)、第1作でイーサンを裏切り者だと誤解して告発したCIAエージェントのユージーン・キトリッジ(ヘンリー・ツェニー)が27年ぶりに再登場するなど、イーサンの歴史が垣間見えるものになっている。IMF所属前のイーサンとの因縁の持ち主で初登場の敵役・ガブリエル(イーサイ・モラレス)、IMF所属前のイーサンやガブリエルに関係している謎の女性・マリー(マリエラ・ガリガ)なども登場し、これまで描かれてこなかったさらに“過去のイーサン”も知ることができる。
時の流れ、時間の経過とともに人は変化し、成長するがイーサンもそれは同じ。任務のためと言いながら、仲間を大切にしているからこそ、相棒的存在がサポートしてくれる。それがイーサンの大きな魅力と言えるだろう。新作、そして2024年公開の次作に向けて、これまでのシリーズ作を観て“イーサン・ハント”がどういう人物なのかに焦点を当てて見直してみるのもおすすめする。
(文・田中隆信)
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