“悪魔の子”誕生
第1作ではローマにある産院で外交官のロバート(グレゴリー・ペック)と妻のキャサリン(リー・レミック)の子が死産するところが描かれている。死産を知り、悲しむロバートは産院で出会った神父から、同時刻に生まれたが母親を亡くした孤児を引き取ってほしいと頼まれる。妻には内緒で、孤児の男の子を実子と偽り迎え入れることになった。そうして名付けられたのがダミアンだ。その後、5歳の誕生日を皮切りに彼の周囲では、次々と不気味な出来事や不可解な死を遂げる人たちが続出。やがて“悪魔の子”と恐れられるようになる。
“666”が意味するもの
海外では「13」という数字が不吉な認識があったり、日本では「4」という数字が死を意味すると言われていたりと不吉な数字は世界各国で存在。映画界での不吉な数字といえば「666」を思い浮かべる人も多いだろう。この数字は「6月6日午前6時」を意味しており、ダミアンはこの時刻に誕生した。またキリスト教圏においても「666」という数字の並びは獣の数字と呼ばれ、不吉なものと捉えられている。ダミアンは頭皮に「666」のアザが刻まれており、このアザの登場で多くの人の心にも深く刻まれる数字の並びになった。
“残虐”な悪行の数々
ダミアンを語る上で欠かせないのが、その残虐さ。彼の誕生以来、多くの悲劇が生まれたが、中でも印象的な残虐シーンを振り返ってみよう。第1作に登場するダミアンはまだ幼く、自分が“悪魔の子”だという自覚もない。ロバートにダミアンの恐ろしさを忠告するブレナン神父(パトリック・トラフトン)に対し、無自覚ながらも、暴風雨から逃れようとする神父に避雷針を串刺しするシーンはインパクト大だ。また、物語の後半で彼の謎を追う記者のジェニングス(デイビッド・ワーナー)相手にはトラックから滑り落ちてきたガラス板で首を切り落とすという痛ましい悪行を。
第2作で13歳に成長したダミアンは自分が悪魔の子だと気付き、正体に迫る者を次々と容赦なく殺す姿が描かれた。カラスに攻撃された後にトラックに轢かれる描写やエレベーターの中で胴体が真っ二つにされるなど、悲惨な最期を迎える人が激増した。そして大人になったダミアンを描いた第3作でも魔力を駆使し続け、しまいには新生児を皆殺しするショッキングなシーンも登場するなど、数々の残虐な行為で世界中を震撼させた。
「オーメン」第1作の前日譚を描いた最新作では、ついに悪魔の子・ダミアンの誕生秘話が明らかに。修道女になるためアメリカからローマの教会へやって来た主人公・マーガレット(ネル・タイガー・フリー)は、孤児院で暮らす少女の中で問題児扱いされているカルリータとの交流をきっかけに、修道院やカトリック教会に隠された秘密、そしてダミアンにまつわる恐ろしい真実を知ることになる――。
第1作公開からもうすぐ半世紀。ダミアンの誕生秘話、悪魔として覚醒していく姿を体感してほしい。
(文・suzuki)
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