シャオ・ジャン、愛されキャラからクールなキャラまで魅力的に表現する巧みさ

陳情令

『陳情令』（2019年）でシャオ・ジャンが演じたのは、魏無羨（ウェイ・ウーシエン）。温氏、藍氏、江氏、聶氏、金氏という五大世家によって治められていた時代、幼い頃に両親を亡くし、江氏当主の養子として育てられた魏無羨は、藍氏当主の弟である藍忘機（ラン・ワンジー）と出会う。藍氏が代々守ってきた秘密を知った2人は、正義のため力を尽くすことを誓うが、数奇な運命をたどることになる。

ワン・イーボーが演じた藍忘機の冷静沈着で戒律を重んじ、自分にも厳しい性格に対し、魏無羨は快活で、何ものにも縛られずに自由に振る舞う。そんな対照的なキャラクターが熱い絆を紡いでいく様子が多くのファンを沼落ちさせ、“ブロマンス”（※男同士の深い友情や絆を意味する）という言葉を広く知らしめた。

シャオ・ジャンが体現した魏無羨は、クールな藍忘機もほっておけないとなってしまうほどの愛されキャラ。自由奔放さの中に見える情と優しさ、キュンとさせるかわいらしい笑顔。しかし、過酷な運命に見舞われるとはかなさをたたえ、奥行きのあるキャラクターに仕上げた。

なお『陳情令スペシャルドキュメンタリー』ではその役作りの裏側を、2019年9月に開催されたファンミーティングと11月に中国で開催されたコンサートを日本限定で編集した『陳情令コンサート～Japan Special Mix Edition～』では歌声も聞けるので、あわせて楽しんでほしい。

『陳情令』では主題歌をワン・イーボーと共に担当したシャオ・ジャン。実は、芸能界には2016年に9人組アイドルグループ・X NINEのメンバーとしてデビューし、美しい歌声は彼の魅力の1つでもある。

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華麗なる皇帝陛下（エンペラー）

そのX NINEメンバーと共に出演したのが、『華麗なる皇帝陛下（エンペラー）』と『蒼穹の剣』（共に2018年）。X NINEメンバー総出演のタイムスリップ時代劇『華麗なる皇帝陛下（エンペラー）』は、現在若手トップ女優となったチャオ・ルースーがヒロインを務め、彼女を巡る恋のバトルが繰り広げられるのだが、シャオ・ジャンはいわゆる“二番手男子”の位置づけ。しかし、皇帝の叔父役で落ち着いた雰囲気を醸し出しながら、好きな女性を思う健気さにグッと心をつかまれる。その後の役にも感じる、そこはかとない色っぽさも漂う。

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蒼穹の剣

『蒼穹の剣』はすべてを失った青年が英雄へと成長していくファンタジーアクション時代劇。シャオ・ジャンは、子役から活躍するウー・レイが演じる主人公が一流の闘者となることを夢見て通う学校で出会う若者の役。主人公の母が原因で両親が亡くなったと思い、恨んでいたのだが、誤解と分かると友情を築いていく。出番は多くなくとも存在感があるのはさすがだ。

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ジェイド・ダイナスティ 破壊王、降臨。

そして『陳情令』の直後に公開された映画『ジェイド・ダイナスティ 破壊王、降臨。』（2019年）では、両親を殺された主人公役で華麗なアクションを披露。復讐を誓い、武術の名門に弟子入りして成長していくという、『蒼穹の剣』もそうだが、少年漫画的な役どころを生き生きと見せる。

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慶余年～麒麟児、現る～

2019年はチャン・ルオユン主演の時代劇ドラマ『慶余年～麒麟児、現る～』も話題に。なんと全46話のうち、シャオ・ジャンが登場するのは終盤の第38話から。愛されキャラの主人公と対照的ともいえるクールでストイック、かつストーリーの鍵を握るキャラクターで、鮮烈な印象を放った。本作は『陳情令』と同時期に撮影されていたという裏話を知ると、シャオ・ジャンのふり幅に驚く。

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狼殿下-Fate of Love-

ドラマ、映画が次々とヒットし、注目が高まる中、2020年に本国配信となった出演ドラマ『狼殿下-Fate of Love-』。本作は制作から3年を経ての公開といわれるので、『陳情令』より前の演技ということになる。ダレン・ワン演じる主人公と敵対し、しかも好意を寄せる女性がその相手に惹かれていく。主人公、ヒロインと共に大きな運命の歯車の一部となる役割を担い、謎めいた部分と凛々しさを見せつつ、ヒロインに一途な愛を向ける尊さで、2020電視劇大賞にて男性人気キャラクター1位に輝くほどだった。

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斗羅大陸

最後にご紹介するのは『斗羅大陸』（2021年）。原作小説の発行部数は1000万セットを超え、コミック、ゲーム、アニメ化とメディアミックスで成功してきた中のドラマ化。その期待を背負っての主演となったが、思いを伝える豊かな表現力とバトルシーンでの華麗なアクションで物語をけん引。仲間を率いて陰謀に立ち向かう強さと優しさは、応援したくなる魅力にあふれている。

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愛すべき正統派ヒーロー、あるいは陰のあるヒーロー、はたまたクールだったりワイルドだったりするサブキャラも、シャオ・ジャンは表現の幅の広さで見事に作り上げてきた。見る者を引き付ける求心力。端正な顔立ちに、にじみ出る色っぽさも魅惑的だ。現在Rakuten TVで配信中の作品は、シャオ・ジャンの俳優デビュー初期からの魅力がギュッと詰まっているので、ぜひ堪能してほしい。

（文・神野栄子）

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