しかし、MCUはここで終わらずフェーズ4に突入。ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』『ホークアイ』や公開中の映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』など、『エンドゲーム』後の世界を舞台にした作品が生み出されている。『エターナルズ』は、そのフェーズ4の1本として2021年に公開されたMCU26本目の作品だ。
監督は2021年に『ノマドランド』でアジア人として初めてゴールデングローブ賞監督賞を受賞し、他にもアカデミー賞をはじめ、さまざまな映画賞で多くの賞を受賞したクロエ・ジャオ。キャストも『キャプテン・マーベル』にも出演していたジェンマ・チャン、『ゲーム・オブ・スローンズ』のリチャード・マッデン、本作がハリウッド映画初出演となるマ・ドンソク(アメリカ名はドン・リー)、さらにアンジェリーナ・ジョリーといった豪華な布陣が抜群の存在感を放っている。
太古の昔、絶対的存在であるセレスティアルズによって生み出された不死の存在・エターナルズは邪悪な存在・ディヴィアンツから人類を守るために地球に派遣され全滅する。以後、エターナルズは7000年以上にわたり地球で生き、ディヴィアンツが出てきた時以外は介入することなく、人間の進化を見守っていた。そして現在、再びディヴィアンツが現れ、世界各地に散っていたエターナルズが集結する…というのが物語の導入。
エターナルズが太古から(アベンジャーズがサノスと戦っていた時も)存在していたという世界観はとにかく壮大。そんな彼らの特殊能力も、物質の組成変換、目からビーム、心に浮かべた武器を生み出す、創造した道具を作り出す、高速移動、変身能力など実に多彩。おのおのが能力を生かしつつチームで闘うという流れは『アベンジャーズ』のスタイルをしっかりと踏襲している。日本人の中にはその設定や世界観から石ノ森章太郎原作の『サイボーグ009』を想起する人もいるかもしれない。最新SFXを駆使した特殊能力の表現、戦闘シーンは見どころの1つだ。
ストーリー面では各キャラクターが抱えるドラマも描かれることでそれぞれへの思い入れも強くなっていき、中盤で衝撃の事実が判明して以降はより物語にのめり込んで、本編時間156分も決して苦にならないはず。もちろん、一連のMCU作品を見ていればより楽しめることは間違いないが、これが“初マーベル”という人も問題なく楽しめる1本だ。
新たなMCUのフェーズ、そしてエターナルズの序章を飾る本作。今後、彼らがどんな形で他のマーベル作品のキャラクターとつながり、物語を作り上げていくのか楽しみとなる作品だ。MCU作品ではおなじみとなったスタッフロール終了後(本作では途中にも!)に流れる、今後を想像させる映像もお見逃しなく。
(文・斉藤俊彦)
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