2018〜19年に期間限定で活躍したT-popグループ「９×９ NINE BY NINE」のメンバー７人が出演している、ラブ・ファンタジー『グレートメン・アカデミー』。元メンバーのジェームス、アイス、ジェイラー、キャプテン、ポルシェ、サード、ジャッキーに加えて、AKB48の姉妹グループBNK48のニューも出演。ファンタジックな設定なのにリアリティがあり、ミステリー感も楽しめる秀逸の作品だ。

ドラマの舞台は、紳士を育成する全寮制の男子校「グレートメン・アカデミー」。ここでは年に一度、“グレートメン”を選ぶコンテストが開かれており、その優勝者はユニコーンに願いを１つ叶えてもらうことができると言われている。この大会は毎年、全国に生中継され、出場者たちはアイドル並みに絶大な人気を誇っていた。

その大会に2年連続で優勝しているのが、３年生のウィヤ(アイス)だ。イケメンな上に成績優秀で、学校外にもファンが大勢いる。主人公のラヴ(ニュー)もその一人で、同じ学校に通う兄のグッド(ポルシェ)から彼の情報を引き出そうとするが、真面目過ぎるグッドは微塵も教えてくれない。そんなある日、ラヴは森の中でケガをしたユニコーンと助けたことで、願いを一つ叶えてもらえることになる。もちろんラヴはウィヤとカップルになることを願ったが、なぜか男子に変身できるようになってしまった。突然のことに動揺したラヴだったが、同級生のミーとユーに相談すると“もしかしてウィヤはゲイなのではないか”という話になり、その真相を突き止めるためにアカデミーに潜入することになる。

男の子になったラヴ(ジェームス)がまず仲良くなったのが、２年連続優勝者のウィヤに憧れる新入生のニュークリア(サード)。お調子者だが明るく行動的なニュークリアはウィヤにもすぐに話しかけ、一緒にいた３年のテンモー(ジェイラー)とも仲良くなってしまった。しかし、ウィヤはなぜかラヴを一瞥し、避けるような態度をとる。その視線に気付いたのか、イタズラ好きのテンモーは何かとラヴに絡み、笑わせようとしてくれるのだった。

そんなある日、１年生は紳士になるための“助言者”を自分で選び、課題に取り組むことになる。ラヴもニュークリアもウィヤに頼もうと競争するが、ラヴは断られてしまった。理由はわからないが嫌われていることは間違いないようだ。落ち込んでいるとテンモーが現れて助言者役を買って出てくれ、それ以来、何かと相談に乗ってくれるようになるのだった。

気遣ってくれるテンモーがいる一方、困ったことも起こる。ウィヤと仲良しの２年生のショーン(キャプテン)が、時折、鋭い眼差しでラヴを睨みつけてくるのだが、こちらも理由はわからない。さらにラヴのスマホで写真を見た同級生のメン(ジャッキー)が、女子の姿のラヴに恋をしてしまう。とっさの判断で妹だと嘘をついたラヴだったが、今度は紹介してくれとしつこく頼まれることに。ウィヤとの距離が縮まらないばかりか、悩みばかりが募っていき、ラヴの潜入高校生活は暗雲が漂っていく。

男の子版のラヴを演じるジェームスの演技が巧みで、ふとした動作もまるで女の子のため、奇想天外な設定も違和感なし。ラヴがウィヤに拒絶されるたびに本当は女の子なのに…と、思わせるほどに見事だ。また、第７話である驚きの事実が明らかになり、物語後半も全く飽きさせない。アイドルドラマと侮っていると驚かされる良作だ。加えて、９×９ NINE BY NINEが歌う主題歌「The Lucky One」にもご注目を！

（文・及川静）