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【後編】紅ゆずるさんインタビュー:『アンタッチャブル・ビューティー 〜浪花探偵狂騒曲〜』出演

【後編】紅ゆずるさんインタビュー:『アンタッチャブル・ビューティー 〜浪花探偵狂騒曲〜』出演
紅ゆずる主演『アンタッチャブル・ビューティー 〜浪花探偵狂騒曲〜』が、当初の上演予定だった2021年4月から1年半の月日を経て上演される。
インタビュー前編では大阪出身で、生粋のコメディエンヌである紅に、作品への想いや見どころを聞いた。幼少期からDNAに刻まれた“笑い”のエピソードを聞くと、まさに打ってつけの作品になりそうだ。
そして、後編ではRakuten TVで配信している宝塚歌劇団の作品から、おすすめ3作品をセレクトしてもらい、それぞれのおすすめポイントや思い出を語ってもらった。
(文:岩村美佳)

https://news.tv.rakuten.co.jp/2022/08/220826kurenaiyuzuru01.html 【前編】紅ゆずるさんインタビュー:『アンタッチャブル・ビューティー 〜浪花探偵狂騒曲〜』出演


紅さんのおすすめ作品はこれだ!

『風と共に去りぬ』(’14年星組・全国)
『うたかたの恋』(’18年星組・中日)
『ANOTHER WORLD』(’18年星組・東京・千秋楽)


――セレクトしていただいた作品のお話を伺いますが、どういう意図で選びましたか?

インスピレーションと、あとは「ここをこだわったな」みたいな記憶がすごく残っている作品だと思います。苦労したシリーズですね。全部苦労しましたが、これはしんどかったな、とか、落とし込むのが難しかった作品です。


風と共に去りぬ(’14年星組・全国)

212270 (c) 宝塚歌劇団

――では年代順に伺おうと思いますが、『風と共に去りぬ』が2014年の10月、11月の全国ツアーで、配信されているのが神奈川公演です。これはどういう思いで選んでくださいましたか?

初めての全国ツアーで、最初で最後の全国ツアー公演でした。
とにかくレット・バトラーの気持ちがわからなさすぎて、なんでこんなにスカーレットを好きなのかと。それなのに、やっとスカーレットが振り向いてくれた時には、「謝って済む問題じゃないんだよ、そうやって謝ってくれたからって、元の気持ちに戻るわけじゃないんだよ」と。作品から離れるとわかるのですが、演じているその時は、なんとなくはわかっても、その気持ちがわかって言っている台詞にならなくて、稽古中に大変でした。体調も崩してしまって、お稽古もあまりできなかったんです。

――その状況をどうやって乗り切ったんですか?

もう延々とやり続けるだけです。

――じゃあ、気持ちを肚に落とし込むところまではいかなかった?

ようやく舞台稽古で落ちました。髭をつけて、レット・バトラーの格好をして、みんな周りも衣装を着て、スカーレットもいて、という情景が私に足りなかったんだ。気持ちを理解するだけじゃなくて、どういう場面で、これは土なのか、温度はどれぐらいなのかとかをリアルに感じて、考えていたら、こういうことかもしれないって。ようやく何とか初日が開きましたね。

――それは、他の作品とは落とし込む感覚が違ったんですか?

いつもはもっと稽古できましたからね。でも、芝居とショーで1ヶ月稽古ですから、半分半分ですよね。通しを含めると、初日の1週間前にはできあがっていないと間に合わない。そう考えたら、短い稽古でもできないことはないのですが、自分の体調が最悪な状況下で、大作の、しかもレット・バトラーが回ってくるという。最高に名誉なことだと思うんです。トップスターしかやらない役ですから。どうしてそれが、当時二番手の私に回ってきたの?という気持ちがありました。嬉しいのですが、自分のタイミングが、今じゃないという、葛藤がすごくあった作品です。稽古期間中はすごくしんどかった。

――それでも全国ツアーは回られて、千秋楽まで行ったら、やり終えた達成感はあったんですか?

ありましたが、のりうち公演(注:公演当日に会場入りして公演終了後に退館する)が多かったんです。その前の全国ツアーまでは、1回上演したら移動して、休み、というスケジュールで、「めっちゃ楽しいで~」って聞いていたんですよ。香川で2回、広島で2回、岡山で2回を、3日間連続。次移動したところが、熊本。熊本は確か1日休みをもらえたと思いますが、「○○の温泉に行って~」とか、「○○のご飯がおいしかった」とか聞いていましたが、そんな暇がなくて「これはおかしい」と聞いたら、みんなが無言で首を横に振って「今回は特別です」と言ってました。その特別感いらないなと(笑)。

――全国ツアーといえば大変な思い出なんですね。

でも、その全国ツアーがすごく思い出深いのは、めちゃくちゃ良い出会いをしたんです。疲れ切って島根県に行った時に、乗車したタクシーのおっちゃんと出会ったんですが、今でも仲が良くて。

――ええ~!

そのおっちゃんのおかげで、神社にハマりました。だから、全国ツアーはしんどかったですが、楽しい楽しくないというよりも、すごく貴重な経験をさせていただけました。忙しいですが、各地に行って、いろんな方とちゃんと出会って、今でもそんな方と関係が続いているってすごくないですか? しかもそのおっちゃんと奥さんに「宝塚が来ているんやって」と言われたから、「実は私、そこ出ているから観にきて」って言って。化粧している私と幕間に会ったのですが、「やばくない? 主役やん」「そう」みたいな(笑)。そこから宝塚にハマって、応援してくださっています。だから、素晴らしいご縁がありました。


うたかたの恋(’18年星組・中日)

316157 (c) 宝塚歌劇団

――次は『うたかたの恋』を選んでくださいました。中日劇場公演です。

『うたかたの恋』は、THE宝塚です。『うたかたの恋』をやることが本当にプレッシャーでした。二枚目の王子様みたいな役は私のジャンルじゃないな、と思ってしまうんです。あの白い服を着た王子様の役、とよく言いますよね。なぜそれが私に来たんだろうと思っていたのですが、本当に王子様で、キラキラした宝塚像じゃないですか。でも、絶対そんなわけないと思ったんです。
ルドルフは、母エリザベートや父フランツ・ヨーゼフにも虐げられて、最終的にひとりで宮廷に残されて、最後は自殺するんです。心中など、いろいろな説がありますが、キラキラした王子様が、自分の部屋にしゃれこうべを置いたりしていないと思った時に、絶対に性格が曲がっていると思い、私に来た意味はこれだ、『うたかたの恋』のキラキラ王子様説を崩そうと。

――なるほど!

でも、すごく王子様ですし、服は白い軍服で、どこからどう見たって、宝塚の美しい二枚目の男役像なんです。だけど中身がすごくひねくれている、という役で作ろうと思い、演出家の先生たちに相談させていただきました。「今までの『うたかたの恋』と全然違って、紅(べに)っぽくていいんじゃないか」と言われたんです。それがすごく自信になって、いろんなことをやってみました。
言ってみれば、型が完全に決まっているんです。それを崩すのは、結構な勇気が要るものだと思いますが、私はどうしてもキラキラみたいな役には、したくなくて。だって、しゃれこうべを見て話すのっておかしくないですか?そんなこと絶対あるわけなくて、むしろ、しゃれこうべをそこに置いている意味を考えた。私はそれを友達という設定にしたんです。

――友達ですか!

作り物のレプリカじゃなくて、多分本物なんですよ。実際にしゃれこうべに向かって話しかけているのか知りませんが、ルドルフは多分精神は相当大変な状況だと思います。

――しゃれこうべが机にあったら、マリーも驚きますよね。

その彼が、マリー・ヴェッツェラを好きになったのは、多分ルドルフの一番純な部分が、何か琴線に触れるというか、ガッと急に惹かれたんだと思うんです。だって、すごく年下でしょう?宝塚でやるからいいですが、一般的にやったら、(その年齢差は)違和感がありますよね。でも、実際リアルに考えたらそういうことだから、すごくリアルに考えて作りました。王子様説を全然否定はしません。だって、私はそういう宝塚が好きですから。でも、自分がやっていて腑に落ちなかったんです。

――王子様な感じが腑に落ちない。

王子様だし、キラキラしていていいですが、実は性根の部分は相当な孤独と淋しさで、すごく危険な状態の人が、マリーという人に出会ったことで、「この人は好きかも」じゃなくて、一気に「好きー!この人がいないと生きていけない!」と急に変わる。そこに至るまでのルドルフ像を、最後にマリーを撃つ瞬間とか、普通の人が考えている考え方じゃない、そこを作るのが、すごく楽しかったです。


ANOTHER WORLD(’18年星組・東京・千秋楽)

306233 (c) 宝塚歌劇団

――最後の作品は『ANOTHER WORLD』です。 

谷(正純)先生の作品で、『ANOTHER WORLD』はすごく印象深いものがあります。全場出ていますし、台詞量もすごかったです。トップスターが全場出ている芝居、観たことがないですね。小柳(奈穂子)先生も相当多いですが、谷先生で全場出演はこれまで観たことがないです。私が下級生の時に、谷先生の『さくら(―妖しいまでに美しいおまえ―)』(’07年)というショーに出演しましたが、プロローグもフィナーレも入れなかったことが、当時すごく悔しかったんです。いつか谷先生に選んでもらえるように頑張ろうと思ってきました。そうしたら、「ぜひ紅ゆずるでやりたい」というオファーを頂いたんです。「なぜ私?」と思いましたが、台本を見てこういうことかと思いました。あの谷先生があんな面白い作品を、しかも40何年間も温めてきて、ずっと主演を探していた。その主演に抜擢されたことは大変ありがたかったです。40何年間考えていたってすごくないですか?

――すごいですね。演出家の皆さんはが、何十年温めた作品と聞きますよね。

私は先生方が温めてきたことを突然させられる人なんです。でもあんなに厳しい谷先生が、あんなに面白い作品を、しかもめっちゃ厳しく演出する。「そんなんちゃーう!」みたいな。

――そんなに緻密に作られているんですか?

いや、根性論です。

――根性論!?

谷正純先生という怖い先生が前に座っていて、やはり萎縮していると怒られますから。
役づくりは、上方の二枚目さんを誇張しました。(現星組トップスターの)礼が江戸の二枚目さんを意識して「べらんめえ」、私がなよなよの「つっころばし」で対比を見せました。大阪弁を喜んでいたのですが、船場だし、両替屋の息子だから品がある感じでやろうと思ってやったら、谷先生がそうじゃないと。私が怒られるんだから、みんななんてうちひしがれて当然です。でも、それぐらいにやってくださる、そんな厳しい先生が考えてくださったのが『ANOTHER WORLD』だということが、愛おしくてたまりません。谷先生が、初日に向けて奈良の御守を買ってきてくださいましたね。無言で私に渡してくださって。

――へえ~!

昭和の頑固親父、雷親父ですが、根はものすごくあったかくて、すごく谷先生が大好きという作品です。谷先生のためにやりました。谷先生が40何年も温めてきた作品を、選んでもらえたのなら、やらなければと思い、谷先生をがっかりさせたくない一心でやりました。

ーーたくさんのお話をありがとうございました。このお話を伺ってから、改めて拝見すると、いろんな新しいことが見えてきそうです!

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作品情報

アンタッチャブル・ビューティー ~浪花探偵狂騒曲~

大阪・ミナミのはずれにある小さなシャッター商店街。その片隅にある武智五郎(三田村邦彦)が営む探偵事務所に「探偵になりたい !」と、謎多き女性 本間カナ(紅ゆずる)がやってきた。見習いを始めたカナが出会ったのは、自らの仕事に誇りを持っている、この商店街の明るく愉快な人ばかり。
しかしカナは警察官から、平和そうに見えて物騒なこともあるので…と告げられる。カナが商店街の人たちと打ち解けてきた頃、あたりでは物騒な奴らがうろつき始め、何者かの仕業により商店街の悪い噂が世間に広まっていた。その頃、怪しい不動産会社が動き始めていることを耳にする。特技の七変化でカナは潜入調査を始めるが、「余計なことには首を突っ込むな。君を守らないといけないから・・・」と押しとどめようとする武智。その発言の意味とは。いったい、なぜ彼女は探偵事務所にやってきたのか…?

●脚本
東野ひろあき
●演出
竹園元 川浪ナミオ
●美術
横田あつみ
●照明
石井貴士
●音楽
甲斐正人
●音響
布目純
●振付
港ゆりか
●殺陣
清家三彦
●出演
紅ゆずる 三田村邦彦 内場勝則 松島庄汰 松永玲子 末成映薫 江口直彌

2022年9月17日(土)~25日(日) 大阪松竹座

Rakuten TVで視聴する

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インタビュー 宝塚歌劇団 OG 紅ゆずる

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