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【前編】紅ゆずるさんインタビュー:『アンタッチャブル・ビューティー 〜浪花探偵狂騒曲〜』出演

【前編】紅ゆずるさんインタビュー:『アンタッチャブル・ビューティー 〜浪花探偵狂騒曲〜』出演
紅ゆずる主演『アンタッチャブル・ビューティー 〜浪花探偵狂騒曲〜』が、当初の上演予定だった2021年4月から1年半の月日を経て上演される。
インタビュー前編では大阪出身で、生粋のコメディエンヌである紅に、作品への想いや見どころを聞いた。幼少期からDNAに刻まれた“笑い”のエピソードを聞くと、まさに打ってつけの作品になりそうだ。
そして、後編ではRakuten TVで配信している宝塚歌劇団の作品から、おすすめ3作品をセレクトしてもらい、それぞれのおすすめポイントや思い出を語ってもらった。
(文:岩村美佳)

https://news.tv.rakuten.co.jp/2022/08/220826kurenaiyuzuru02.html 【後編】紅ゆずるさんインタビュー:『アンタッチャブル・ビューティー 〜浪花探偵狂騒曲〜』出演

――ようやく上演できますが、今はどういう思いでいらっしゃいますか?

待ってくださっていた皆様に残念な思いをさせてしまい、とても心傷むところでしたので、やっと観れてよかったと思っていただける作品になるように、一致団結して頑張りたいなと思っております。

――この2年でいろいろなご経験が積み重なったと思いますが、あの当時やるのと、今やるのと、違うところは感じられていますか?

全然違います。まず、あの時は退団したばかりだったので「スカートを穿くぞ!」という意気込みからスタートだったんですよ。スカートを穿くだけで「これは大変だ」ってなっていましたが、今はそうじゃない。

――そこに構えはないということですね。

すごくそれが大きいです。男役を卒業してからもうすぐ3年で、本来の自分に近い所にいるなと思うんですよ。順調に一般社会に向かっているから良かったなと。今まで竜宮城の住人でしたから(笑)。

――地上に上がってきたんですね。

そうですね。世の中に出たぞという感じで、気持ちが全然違います。役以前の問題で「スカート穿くか穿かないか問題」ですから。

――なるほど(笑)。宣伝ビジュアルからスカートですもんね。

そうです。退団直後は男役だった人たちは、「あーはいはい、スカートね」と自然に穿く人は、多分誰もいないと思うので、すごいなって思います。

――今は、自然に?

むしろ「スカートをどうやって穿こうかな、綺麗に穿きたいな」と、スカートを穿いた時に、どういうラインを見せたいか、どういう居方でいたいか、みたいな意識があるから、全然違います。

――逆に今パンツを穿くと、それも違うんですか?

私は圧倒的にパンツが多いのですが、男役の時に穿いていたパンツはメンズライクなもので、腰から太い形ですが、レディースは、腰のラインが見えるようなパンツを選んでいます。スキニーを選ぶようにしたり、ラインが見えるものを着るようにしています。

――紅さんが演じる本間カナ役は、ポスタービジュアルでは華やかなタイトスカート姿ですが、こういう衣装なのですか?

このような衣裳を着る場面もありますが、全編こういう感じではなくて、一般の人が着ている服です。舞台で普通の服を着るのが初めてなんですよ。
『エニシング・ゴーズ』では、すごく豪華な衣装を着ていました。宝塚歌劇の有村(淳)先生がデザインですし、照明も演出も宝塚的だからというのもありました。熱海五郎一座の時は軍服で、あとは男役みたいな服を着た人だったから、女性らしい格好をして、舞台に立つことがなかったんです。

――お名前も本間カナって、わりと普通の名前というか。

大阪弁の「ほんまかな?」ということですよ。(笑)

――ちなみに、このビジュアルで持ってらっしゃるのは?

お好み焼きのコテです。劇中でこういうコテが本当に出てくるかは秘密です。

――どんな物語になるんでしょうか?

人情物語です。最後に正義は勝つ!悪は負ける!という明るい気持ちになる作品です。お客様が大阪松竹座に行くまでの、道頓堀界隈の空気を劇場に持って入ってくださったら、嬉しいです。

――劇場の外と地続きですね。

本当にそうです。ワンダーランドではなくて、普通の人々で、一般的によくある感じを誇張しすぎたメンバーがこのビジュアルです。誇張しすぎた空間ですね(笑)。

――それを演じるというのは、今はどんなお気持ちですか?

「ベテランさんから勉強させていただきます」だけではなく、「勉強させていただきますし、いろんなものをたくさん盗もうと思っていますが、絶対に輝くぞ」みたいな。ちょっと違ったオーラを放っていたいんですよ、このポスター通り。光っているでしょ?(笑) 「うわ、出てきた!」みたいな存在感を出したいなと思っています。

――これまでの経験が活かされますね。

そうですね。先日ある下級生に言われて「そうだったかも」ということがあるんです。私が主演をやっている時って、いつも舞台の真ん中から出てきていましたよね、と言われて、確かにそうだなと。
私は、ザ・真ん中しか通らない、真ん中から出てきて、そこを歩いているイメージがあると言われて、確かにそうだったなと思ったから、その“圧”みたいなものは学んだと思います。「観ろ~!オペラ(グラス)上げろ~!」みたいな(笑)。私はいつもド派手でしたね。そういうキャラだったんだなと、すごく思いました。今回も、バーン!って派手にやりたいなと思ってます。

――歌あり踊りありアクションあり、というのが見どころとのことですが。

要はなんでもありってことです。(笑)

――映像コメントで、アクションは持つ物が違うと仰っていましたよね。

商店街ですから、そこで刀とか剣とかは出てきませ
ん。何を持って戦うかは、今いろいろ考えているところですが、お楽しみです。

――なるほど。紅さんの意見が反映されている部分もあるんですね。

絶対こうやりたいというよりは、みんなでああじゃない?こうじゃない?と考えています。私は好きなことを言っただけで、それをまとめてくださって作っている感じですね。
でも、このポスターに関しては、ヒーロー戦隊みたいにやりたいと言いました。それぞれ〇〇レンジャーみたいな色があって、だから色が誰もかぶっていないんですよ。

――そういう意図だったんですね。三田村邦彦さんだけ、ちょっと雰囲気違いますよね。

三田村さんだけが大阪出身じゃないんです。それ以外は、全員大阪出身です。末成映薫さんが立っていらっしゃる後ろに、ビールのケースをひっくり返しているのが写っているんですが、見た時めっちゃ笑いました。これを敢えて見せるんだ!と思って。

――共演者の皆様とはどのくらいコミュニケーションをとられているんですか?

1年半前に4日間だけとりました。でも稽古をしているからといって、まだそんなにたくさん話せていないですし、あの時もコロナ禍でしたから、なるべく話さない状況でした。だから、皆さんのお顔を写真でしか見たことがなくて、マスクを取った顔を見たことがないんです(笑)。

――楽しみにしている方や、何かエピソードはありますか?

皆さん楽しみですが、吉本新喜劇の内場勝則さん、末成映薫さんと、松竹新喜劇の江口直彌さんがどういう感じで芝居をされるのかなと思っています。ジャンルがそれぞれ違うので、どうなるのかなって。
特に吉本新喜劇は、土曜の12時に必ず見ていたから、私のなかでヒーローなんですよね。

――じゃあその方たちとご一緒するのは。

嬉しすぎます。大阪人にとっては、これはすごいことですよ。

――幼少期から刷り込まれているんですね。

土曜日は12時からの放送に間に合うように学校から帰って、13時まで見て、そこから土曜日と日曜日に練習して、月曜日に学校で披露するみたいな。
見た後に友達を集めて、「私が〇〇役をやるから、みんな〇〇役をやってな」って言って、だいたい月曜日から水曜日くらいまでずっとみんなで演じていました。木曜と金曜は違うことをして、土曜になったらまた「早く帰るぞー!」と、12時には間に合うように帰って、見て、という繰り返し。

――へえ~! 週の半分以上は吉本新喜劇ですね!

高学年になってからは、吉本新喜劇と「(ダウンタウンの)ごっつええ感じ」を、ごちゃ混ぜにしてまた演じていて、ほぼ毎日が吉本尽くしでした。

――紅さんが、作・演出もするんですか?

私の好きなようにやってました。でも私がやりたい役をやる友達もいるわけですよ。「じゃ、やってみ?」と言ってやらせて、「ははーん」みたいな感じですね(笑)。

――自分のほうができると(笑)。すごいですね。DNAに刻まれているんですね。

めっちゃ大好きなんですよ。だから吉本新喜劇の方とご一緒するのが嬉しくてしょうがないです。

――終わってからも楽しみですね。皆さんを観に行ったりと、交流が深まりますね。

この方たちのファンだったんです。

――次の吉本新喜劇の舞台にも出演しているんじゃないですか?

在団中は「吉本に行きなさい、あんたは。面白いこと考えすぎでしょ。なんで宝塚にいるんだ」とよく言われていました。

――トップになっても言われるって、すごいですよね。

面白いことばっかり考えるから、言われてましたね。面白いタカラジェンヌになりたくて、やっていましたね。

――成し遂げましたね。

ありがたかったです。宝塚大劇場を笑いの渦に巻き込むのが夢だったので、本当に、「やった!」と思いました。

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作品情報

アンタッチャブル・ビューティー ~浪花探偵狂騒曲~

大阪・ミナミのはずれにある小さなシャッター商店街。その片隅にある武智五郎(三田村邦彦)が営む探偵事務所に「探偵になりたい !」と、謎多き女性 本間カナ(紅ゆずる)がやってきた。見習いを始めたカナが出会ったのは、自らの仕事に誇りを持っている、この商店街の明るく愉快な人ばかり。
しかしカナは警察官から、平和そうに見えて物騒なこともあるので…と告げられる。カナが商店街の人たちと打ち解けてきた頃、あたりでは物騒な奴らがうろつき始め、何者かの仕業により商店街の悪い噂が世間に広まっていた。その頃、怪しい不動産会社が動き始めていることを耳にする。特技の七変化でカナは潜入調査を始めるが、「余計なことには首を突っ込むな。君を守らないといけないから・・・」と押しとどめようとする武智。その発言の意味とは。いったい、なぜ彼女は探偵事務所にやってきたのか…?

●脚本
東野ひろあき
●演出
竹園元 川浪ナミオ
●美術
横田あつみ
●照明
石井貴士
●音楽
甲斐正人
●音響
布目純
●振付
港ゆりか
●殺陣
清家三彦
●出演
紅ゆずる 三田村邦彦 内場勝則 松島庄汰 松永玲子 末成映薫 江口直彌


2022年9月17日(土)~25日(日) 大阪松竹座

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