物語はある男子高校生が瀕死の人魚(男性)を助け、自宅の風呂に避難させることから始まる。しかし、(当たり前かもしれないが)人魚には人間界のルールが通用せず、男子高校生は人魚に翻弄されていく。この部分は原作漫画、台湾ドラマいずれも共通しているが、台湾版は人魚が海の王様的存在でかなり横暴。さらに原作漫画の風呂はごく普通の日本の家庭の風呂であるのに対して、台湾版はミニ銭湯といえるぐらい大きめ。しかし、文化が違えば住宅事情も異なるので、そこまで違和感なく受け入れることができるはずだ。
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そして、物語のキモである人魚自体も原作漫画と台湾版とでは、様変わりしている。原作漫画はロン毛の美形人魚だが、台湾版は真逆。黒髪の短髪に筋肉隆々で、一般的な人魚のイメージとはかけ離れているが、この全くイメージにない人魚が“オレ様的キャラクター”にピッタリでどんどんクセになること間違いなしだ。
台湾版の主人公は、気弱な高校生のロンジェと、オレ様的人魚のレンユー(名前がなかったため、ロンジェが命名)。レンユーは陸に打ち上げられたところをロンジェに助けられるわけだが、風呂では足が人魚に戻るのに、海では人間の足のままという状況に陥る。レンユーはロンジェの心の声が聞けるなど2人の出会いは必然らしいことから、その縁を探っていくと過去にロンジェの祖父がレンユーを救ったため、その恩返しを孫のロンジェにするために陸に上げられたらしいことがわかる。そして、海に戻るためには、レンユーがロンジェの心からの願いをかなえねばならないこともわかってくる。
そこで、レンユーはロンジェの心からの願いを見つけるため、ロンジェの高校の夏期講習についていくことに。すると、いろいろなレンユーの姿が見えてくるのだった。気弱でクラスメイトから面倒を押し付けられたり、あることが原因で親友との間に距離ができていたり、好意のある幼なじみに気持ちを打ち明けられずにいたり…。ロンジェの本音を読み取ったレンユーはロンジェの望みをかなえようと動き出すが、海の王様は人間界の暗黙の了解を知らないため、誤解を招くこともしばしば。しかし、相手をおもんぱかり過ぎて言えずにいることもあったため、レンユーのお節介が功を奏して、ロンジェの日常が好転することも。こうして、2人の間に大きな絆が築かれていくのだった。
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気弱なレンユーを演じるのは、台湾で注目の若手俳優ケント・ツァイ。学園ドラマからアクションホラー、ラブコメなど、さまざまなジャンルで活躍する現在25歳。表情一つで幼くもなれるので、高校生のロンジェ役も難なくこなしている。一方、マッチョな人魚のレンユーを演じているのは、ハー・ハオチェン、31歳。妻と両親の板挟みになる夫を演じた「未來媽媽(原題)」などのファミリードラマでも活躍する彼が、今回は異色の人魚役に挑戦。
タイトルにもある通り、2人の共同生活のリミットは“49日”。限りがあるとわかっているからこそ、より尊さを感じる2人の生活は意外な結末へと向かっていくが、その時、2人の助けとなるのはレンユーが繋いだ友情関係。果たして2人はどんな最後の日を迎えるのか、最終話の第14話までじっくりと味わっていただきたい。
(文・及川静香)