食ドキュメンター映画4選
ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやってきた
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イギリスの雑誌「レストラン」が毎年選出している「世界のベストレストラン50」で、5度1位に輝いているのが、デンマークにある「ノーマ」。2003年に25歳でヘッドシェフとして店を立ち上げたレネ・レゼピが本店を休業し、77人のスタッフと2015年に日本で期間限定出店した様子を追ったのが『ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやってきた』。本店と同様に土地の食材のみを使うコンセプトで、日本全国を探し回る姿もとらえる。プレッシャーや知っている野菜でも自国のものとは味が違うという衝撃を感じながらも、生み出した料理は創造性にあふれ、長野県産の“蟻”をエビにのせた驚きの一品も。“蟻”は本店でも使われており、それを見られるのが『ノーマ、世界を変える料理』。こちらは、2013年にノロウィルスによる食中毒事件が起きて世界一の座から転落し、そこから復活するまでを含む4年間に密着したもので、合わせてぜひ見てほしい。
エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン
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『エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン』は、2011年に閉店したスペインのレストランの舞台裏を見られる貴重なドキュメンタリー。オーナーシェフのフェラン・アドリアの料理は革新的だ。いまでは飲食業界ですっかり定着した、食材を泡状にする“エスプーマ”は彼が開発したものである。そんな斬新な調理法をも生み出すために、なんと、店は4月~10月の営業で、残りはメニュー開発にあてていた。ただ、本作で密着した2009年は、初めて7月から12月までの営業とし、秋冬食材に挑戦といういつもと違う面もあった年でもある。実験さながら、スタッフたちが1つの食材で何十通りもの調理法を試していく姿に、料理の可能性はまだまだあるのだと感じる。フェランは日本の柚子を世界に広めたともいわれ、本作でも柚子や柿、ミカンなどが登場。緻密な計算のもとに誕生したメニューは味が想像し難いものも多く、興味をそそられる。
アラン・デュカス 宮廷のレストラン
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『アラン・デュカス 宮廷のレストラン』は、フランス料理界の巨匠アラン・デュカスがヴェルサイユ宮殿内にレストランをオープンさせるまでを映し出す。アランは30代のときに野菜だけのコースを提案し、フランス料理に変革をもたらした。豪華絢爛な新レストランオープンを基軸にしつつ、メガホンをとったジル・ドゥ・メストル監督は彼の探求心、そして人となりを浮かび上がらせていく。発想の源は世界中にあると、食材や料理との出合いを求めて飛び回り、日本はトレンドを探索するために1年に4~5回訪れているという。世界各地で20店舗以上を運営しているが、自身は総指揮となって各店はシェフに任せて後進を育てていたり、恵まれない子どもたちのための料理学校を創設していたりという姿も。その情熱に感嘆するばかりだ。
二郎は鮨の夢を見る
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アメリカのデヴィッド・ゲルブ監督が日本を代表する鮨の名店・すきやばし次郎の店主・小野二郎に迫った『二郎は鮨の夢を見る』。2011年に製作されたもので、撮影当時85歳だった小野二郎は、今も現役だという。江戸前鮨の道を究め、世界中のセレブも虜にする技。仕入れや仕込みは、息子や弟子が継いでいるが、映し出される丁寧な仕事ぶりにその真髄が生きているようだ。長く食の世界にいても、「美味しい」とはどういうことなのか難しいと語る。「自分の仕事に惚れなきゃダメなんですよ」という言葉が印象的で、惚れたことでさらなる高みを目指して磨き続ける技で作り出される鮨の美しさは見事のひと言に尽きる。
(文・神野栄子)
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