この最新作でメインとなっているのは“ピッコロ”と“孫悟飯”の師弟コンビ。ブロリーの襲撃など、多くの危機を乗り越えて平和を取り戻した地球。しかし、孫悟空によって壊滅させられた世界最悪の軍隊“レッドリボン軍”だが、その“遺志”は密かに生き続けていて、新たな脅威として地球の平和を打ち破ろうとしていた。
今作の注目点はたくさんあり、映像(動画)のクオリティの高さはもちろんだが、強烈な個性を放つ新旧キャラクターが登場することもそうだと言える。
先ほど触れたが、今回のメインはピッコロと孫悟飯。ピッコロは“ピッコロ大魔王”の分身のナメック星人。かつては孫悟空の宿敵だったが、悟空の長男・孫悟飯の師匠であり、現在は悟飯の長女・パンに修業をつける先生的な存在となっている。孫悟飯は「ドラゴンボール」シリーズの主人公・孫悟空の長男。悟空やベジータにも負けないぐらいの潜在能力を持っているが、好戦的な性格ではなく、アリの研究など、学者として平穏な暮らしを送っている。
この2人に近い関係の登場人物で言うと、悟飯とビーデルに生まれた女の子・パン(現在3歳で修業中だが潜在能力の高さはかなりのもの)、ベジータの妻・ブルマ、現在は警察官として活躍中の悟空の親友・クリリン(現在は警察官として活躍中)、悟空の次男・悟天、ベジータとブルマの子・トランクスなども登場。さらに第7宇宙の破壊神・ビルスや前作のメインキャラだったブロリーも登場するなど、まさにオールスターキャストといえる。
そして、新しい個性が光る「レッドリボン軍」のキャラは、原作者・鳥山明が本作のために描き下ろしたもの。レッドリボン軍の遺志を継いで軍再建を企てるのが“マゼンタ”で、表向きの顔はレッド製薬の社長となっている。マゼンタの側近で運転手を務める“カーマイン”。いかついリーゼントが特徴的で任務遂行のためには手段を選ばない冷徹な性格。マゼンタに勧誘され、軍に雇われた天才科学者の“Dr.ヘド”。年齢は若いが“天才”というだけあって、卓越した技術を誇り、人造人間を生み出していく。Dr.ヘドが生み出した人造人間が“ガンマ1号”と“ガンマ2号”。赤いマントが目印の1号は冷静沈着な性格で、忠誠心が強い。青いマントの2号はちょっと大雑把なところがあったり、ノリが軽かったりして、1号にたしなめられる場面も多い。性格的なところは真逆だが、どちらも戦闘能力は非常に高い。
今回、敵である“レッドリボン軍”のキャラも魅力的に感じる理由として、Dr.ヘドもガンマ1号・2号も自身が思い描く「“スーパーヒーロー”でありたい」という気持ちを持っていることが挙げられる。敵・味方は違えどそれぞれの視点での“正義”を持っているので、真の正義とは、真のスーパーヒーローとは、ということを考えさせられる大きなテーマの作品に仕上がっている。
(文・田中隆信)
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