1. TOP
  2. 映画
  3. 洋画
  4. チャドウィック・ボーズマンの遺志を受け継ぎ、ワカンダの新たな歴史が動き出した『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』。前作から継承したものと新たに築いたものとは?

チャドウィック・ボーズマンの遺志を受け継ぎ、ワカンダの新たな歴史が動き出した『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』。前作から継承したものと新たに築いたものとは?

チャドウィック・ボーズマンの遺志を受け継ぎ、ワカンダの新たな歴史が動き出した『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』。前作から継承したものと新たに築いたものとは?
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(C)2023 MARVEL
2022年11月に公開され、大ヒットを記録した『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』。本作は2018年公開のチャドウィック・ボーズマン主演による『ブラックパンサー』の続編となる。前作『ブラックパンサー』は、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)初の黒人スーパーヒーローによる単独作品で、キャストや監督を含むスタッフの大半が黒人という、それまでのマーベル作品にはなかった体制で製作された。「第91回アカデミー賞」において“スーパーヒーロー映画”として初めて作品賞にノミネートされたことで、作品自体の芸術性の高さ、完成度の高さも証明されている。

物語の舞台はアフリカにある架空の国「ワカンダ」で、“ヴィブラニウム”と呼ばれる鉱石のおかげで世界のどの国よりも優れた科学技術を保有している。ボーズマンが演じたティ・チャラは、国王ティ・チャカと妻ラモンダの間に生まれ、幼い頃から次期国王、そしてブラックパンサーになるべく訓練を受けてきた。国王がスーパーヒーローという設定も珍しく、興味深いところ。ティ・チャラは黒ヒョウのような俊敏さと高い格闘スキルを持ちながらも、性格は穏やかで常に理性を失わず、感情のコントロールもしっかりとできている人格者。しかし、ひとたび危機が訪れるといち早く行動に移せる判断力もあり、指導者としての資質も備えている。

続編が期待される中、2020年8月にボーズマンが43歳の若さで亡くなった。世界中に衝撃と悲しみが広がったが、彼の遺志を受け継ぐべく続編は製作された。ボーズマンの代役を立てないことを決め、ブラックパンサーがいなくなったワカンダ王国に残された人たちが、新たな脅威となる敵との戦いに挑む物語として続編が完成した。

続編となる『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は、ティ・チャラの妹で天才的な頭脳の持ち主であるシュリが手を尽くしたにもかかわらず、ティ・チャラが息を引き取る場面から始まる。そして、国民たちが歌や踊りで亡き王を悼むが、その場面は『ブラックパンサー』のファンがボーズマンを悼む思いと重なり、強く印象に残る場面となった。

ティ・チャラの後、国王となったのは母親のラモンダ。ティ・チャラはヴィブラニウムを含めたワカンダの知識と資源を世界の他の国とも分かち合おうとしていたが、国王が亡くなり、その隙をついて資源を奪おうとする者が増えたことで、ラモンダは方針を変更。諸外国がヴィブラニウムを武器として使用しないよう、国連の議会でも国としての考えを毅然とした態度で示した。方針は変われど、“平和”のためというのはティ・チャラの考え方と同じだと言えるだろう。“継承”という意味で、一番大きいのは“新ブラックパンサー”が誕生すること。詳細は避けるが、簡単なことではなかったが、受け継ぐべき者が受け継いだという印象を受けた。

そして新たな展開を作ってくれたのは、続編から登場した2人のキャラクターたち。一人は海底王国タカロンの王ネイモア。もう一人は天才少女リリ・ウィリアムズがアイアンマンを模して作ったスーツで活躍するアイアンハート。ネイモアは水の中でも陸上でも戦えて、しかも足首についている羽根で空も飛べる。アイアンハートも飛行が可能ということで、前作は陸上での戦いがほとんどだったが、続編では陸上、水中(海中)、上空とバトルフィールドが一気に拡大。アクションシーンでの迫力はかなり進化したと言える。ブラックパンサーの“思い”の継承とフィールド拡大に伴う進化を楽しんでもらいたい。

(文・田中隆信)

Rakuten TVで視聴する

441557,262020

URLをコピー
ポスト
シェア
送る