監督は、『ラ・ラ・ランド』で「第89回アカデミー賞」6部門を受賞したデイミアン・チャゼル。サイレント映画界の頂点に立つ超一流の映画スター“ジャック・コンラッド”をブラッド・ピットが華麗で貫禄のある演技で魅せてくれる。
そしてもう一人の主役で、怖いもの知らずな新進気鋭の女優“ネリー・ラロイ”を演じるのがマーゴット・ロビー。呼ばれていないパーティーに乱入し、注目を集め、ハリウッドデビューの切符をつかむ。その後も才能に溢れた演技で大ブレイクし、一気にスターへ。
“今、この役を演じられるのはマーゴット・ロビーだけではないか”と思わせるくらい華があり、演技の面でもブラッド・ピットと対等に肩を並べることができる存在である。マーゴットはオーストラリア・クイーンズ州に生まれ、祖父母が所有する牧場で豚を追いかけたりして遊んでいた活発な子供だった。
その後、サマセット大学で演劇を学び、本格的に女優を目指そうと決意し、17歳の時にメルボルンへ移住。その翌年からテレビドラマにレギュラー出演するようになった。
一つ目の転機となったのが2011年から2012年にかけて放送されたドラマ『パンナム/PAN AM』。メインキャラクターの一人“ローラ”役に選ばれ、これを機にアメリカのロサンゼルスに拠点を移した。そして、レオナルド・ディカプリオが主演を務めた映画『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』(2013年)に出演したことで知名度が一気にアップ。演じたナオミは、主人公のジョーダン・ベルフォートの2番目の妻でセクシーさが際立つ元モデル。キャラが立っていて、目を引く美しさと存在感があった。
164386 『パンナム/PAN AM』(C) 2011, 2012 Sony Pictures Television Inc. All Rights Reserved. https://tv.rakuten.co.jp/content/164386/?scid=wi_tvn_babylon
2015年公開(日本では2018年公開)の『死の谷間』では、物語の舞台が“核戦争で文明が崩壊した後の世界”ということで、これまでの出演作とは違う一面を感じさせてくれた。主演作ということもあり、たっぷりとマーゴットの演技を見られるので、ぜひチェックしてもらいたい作品だ。
アクティブな演技が見たい場合は、『アニー・イン・ザ・ターミナル』(2018年)や『ドリームランド』(2019年)をお薦めする。『アニー・イン・ザ・ターミナル』はヴォーン・スタイン監督のデビュー作となるスリラー映画で、マーゴットが主演。手に汗握る展開でくせになる作品だ。
281571 『アニー・イン・ザ・ターミナル』(C)2017, Mr. Lively, LLC. All Rights Reserved. https://tv.rakuten.co.jp/content/281571/?scid=wi_tvn_babylon
『ドリームランド』は1930年代のテキサスが舞台で、強盗犯の役を演じている。業界内を描いたということでは、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が挙げられる。ディカプリオとブラッド・ピットの共演で話題となったが、マーゴットはカルト集団に殺害された女優シャロン・テートを演じ、その美しさが見る人を魅了した。
元気で明るい女の子から妖艶さを感じさせる女性へ、現代を舞台にした作品だけでなく、歴史的な背景の作品やエンタメ界の重要期・黄金期を描いた作品まで、どんどん幅広くなっている。『バビロン』はこれまでに培った演技経験を生かしており、彼女の進化も実感できる作品となっている。『バビロン』のネリーとはまた違うタイプだが、8月に公開を控えている実写版『バービー』のバービー役も楽しみだ。
(文・田中隆信)
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