2022年に公開され、ジェームズ・キャメロン監督が手掛けた『タイタニック』を抜いて歴代3位に。「第95回アカデミー賞」では作品賞を含む主要4部門にノミネートされ、「視覚効果賞」を受賞した。その奥行きと深みのある映像の美しさは、その賞に値するものと言えるだろう。
物語は、前作の10年後の世界が描かれている。タイトルからも分かるように、海中や水中でのシーンが多くなり、ストーリーはもちろん、表現される世界観もグンとスケールアップしている。前作から13年が経過しているということで、その間に映像技術・撮影技術も飛躍的に進歩しており、その進化もしっかりと今作に表れている。RakutenTVでの配信では、本編を購入するとさらに約180分に及ぶ特典映像も見ることができる。今作の“進化”を知るためにも、この特典映像に注目してみた。
https://im.akimg.tv.rakuten.co.jp/content/67/25/447652/chapter_l_0003.jpg (C) 2023 20th Century Studios. https://tv.rakuten.co.jp/content/447652/
本編を見ると目の前に美しい世界が広がっている。見ているだけだと、その世界にあるもの全てが“創造物”であることを忘れてしまうほど。「ロケ撮影は一切なく、全てが創り出されたもの。単なる続編ではなく、壮大な物語を紡ぎ上げた」と特典映像の冒頭で伝えているが、この作品の製作全てがチャレンジでもあったようだ。
ジェームズ・キャメロン監督がこだわったのは“リアリティー”。その意思と考えは、参加したすべてのクリエイターにもしっかりと伝わっている。“リアリティー”というのは表現において、もしかしたら一番難しいことかもしれない。キャラクターの表情や動きを含め、道具、衣装、海や空、草木などの自然の要素、自然界で生活する魚などの生物たち…。それらを“観客が疑問を抱かせない”ものにするための努力と試行錯誤が映像の中に収められている。
https://im.akimg.tv.rakuten.co.jp/content/67/25/447652/chapter_l_0004.jpg (C) 2023 20th Century Studios. https://tv.rakuten.co.jp/content/447652/
特に前作からの変化を感じたのは、キャラクターの表情。“パフォーマンスキャプチャー”によって俳優たちの動きを取り込むこと、さらに俳優の頭に装着して顔の動きを捉える“フェイシャル・キャプチャー”という技術が前作から引き続き使われているが、“フェイシャル・キャプチャー”に関してジェームズ・キャメロン監督は「前作から特に進歩した技術」と語っている。前作では1台のカメラを使っていたが、今作では2台のカメラを使用。もちろんカメラ自体の性能もアップしていて、表情をより正確に捉えられるようになった。それに、以前は表面のデータを読み込むだけだったが、新システムでは筋肉の動きもデータとして取り込むことが可能となり、俳優そのものを表現することが可能と言っても過言ではない。撮影の様子と実際の画面の比較映像で、どれだけ“リアリティー”があるのかも見せてくれている。
また、前作になかった新しい要素ということでは“水中撮影”も挙げられる。水中での動きや演技を、ワイヤーアクションを使って表現できないかと試してみるが、どうしてもリアリティーを得ることができない。結果、巨大な水槽を作り、その中で俳優たちが演技をすることとなった。CGに取り込むために水の反射などを防ぐ方法などを考え出すなど、その発想にも驚かされるばかり。本編をより楽しむためにも、特典映像にも目を凝らしてじっくりと見てもらいたい。
(文・田中隆信)
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