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前作から10年後の世界を描いた続編『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』。スケールアップした部分を180分に及ぶ特典映像から紐解き、解明する

前作から10年後の世界を描いた続編『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』。スケールアップした部分を180分に及ぶ特典映像から紐解き、解明する
(C) 2023 20th Century Studios.
2009年に公開された映画『アバター』は、世界歴代興行収入1位の記録を持っている。ジェームズ・キャメロン監督のこだわりが詰まった作品で、CGを駆使した美しい映像と世界観は大きな驚きと感動を与えてくれた。その名作の13年ぶりの続編が『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』。

2022年に公開され、ジェームズ・キャメロン監督が手掛けた『タイタニック』を抜いて歴代3位に。「第95回アカデミー賞」では作品賞を含む主要4部門にノミネートされ、「視覚効果賞」を受賞した。その奥行きと深みのある映像の美しさは、その賞に値するものと言えるだろう。

物語は、前作の10年後の世界が描かれている。タイトルからも分かるように、海中や水中でのシーンが多くなり、ストーリーはもちろん、表現される世界観もグンとスケールアップしている。前作から13年が経過しているということで、その間に映像技術・撮影技術も飛躍的に進歩しており、その進化もしっかりと今作に表れている。RakutenTVでの配信では、本編を購入するとさらに約180分に及ぶ特典映像も見ることができる。今作の“進化”を知るためにも、この特典映像に注目してみた。

https://im.akimg.tv.rakuten.co.jp/content/67/25/447652/chapter_l_0003.jpg (C) 2023 20th Century Studios. https://tv.rakuten.co.jp/content/447652/

本編を見ると目の前に美しい世界が広がっている。見ているだけだと、その世界にあるもの全てが“創造物”であることを忘れてしまうほど。「ロケ撮影は一切なく、全てが創り出されたもの。単なる続編ではなく、壮大な物語を紡ぎ上げた」と特典映像の冒頭で伝えているが、この作品の製作全てがチャレンジでもあったようだ。

ジェームズ・キャメロン監督がこだわったのは“リアリティー”。その意思と考えは、参加したすべてのクリエイターにもしっかりと伝わっている。“リアリティー”というのは表現において、もしかしたら一番難しいことかもしれない。キャラクターの表情や動きを含め、道具、衣装、海や空、草木などの自然の要素、自然界で生活する魚などの生物たち…。それらを“観客が疑問を抱かせない”ものにするための努力と試行錯誤が映像の中に収められている。

https://im.akimg.tv.rakuten.co.jp/content/67/25/447652/chapter_l_0004.jpg (C) 2023 20th Century Studios. https://tv.rakuten.co.jp/content/447652/

特に前作からの変化を感じたのは、キャラクターの表情。“パフォーマンスキャプチャー”によって俳優たちの動きを取り込むこと、さらに俳優の頭に装着して顔の動きを捉える“フェイシャル・キャプチャー”という技術が前作から引き続き使われているが、“フェイシャル・キャプチャー”に関してジェームズ・キャメロン監督は「前作から特に進歩した技術」と語っている。前作では1台のカメラを使っていたが、今作では2台のカメラを使用。もちろんカメラ自体の性能もアップしていて、表情をより正確に捉えられるようになった。それに、以前は表面のデータを読み込むだけだったが、新システムでは筋肉の動きもデータとして取り込むことが可能となり、俳優そのものを表現することが可能と言っても過言ではない。撮影の様子と実際の画面の比較映像で、どれだけ“リアリティー”があるのかも見せてくれている。

また、前作になかった新しい要素ということでは“水中撮影”も挙げられる。水中での動きや演技を、ワイヤーアクションを使って表現できないかと試してみるが、どうしてもリアリティーを得ることができない。結果、巨大な水槽を作り、その中で俳優たちが演技をすることとなった。CGに取り込むために水の反射などを防ぐ方法などを考え出すなど、その発想にも驚かされるばかり。本編をより楽しむためにも、特典映像にも目を凝らしてじっくりと見てもらいたい。

(文・田中隆信)

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