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『シャイロックの子供たち』ほか共感を呼ぶキャラクターが魅力の池井戸潤原作作品

『シャイロックの子供たち』ほか共感を呼ぶキャラクターが魅力の池井戸潤原作作品
『シャイロックの子供たち』(C)2023 映画「シャイロックの子供たち」製作委員会
9月8日から映画『シャイロックの子供たち』がRakutenTVにて配信スタートした。原作は、多数の作品が映像化されている大人気作家・池井戸潤の同名小説だ。そこで池井戸作品のうち同作を含む映画化された4作をピックアップ。登場人物たちの面からその面白さをひも解いてみたい。
目次

池井戸潤原作の映画4選

シャイロックの子供たち

456576 (C)2023 映画「シャイロックの子供たち」製作委員会 https://tv.rakuten.co.jp/content/456576/

2006年発行の原作は、池井戸氏が「ぼくの小説の書き方を決定づけた記念碑的な一冊」と明言している小説。連作短編で紡がれた世界を、映画版で大胆にも完全オリジナルストーリーとして構築し、その脚本には池井戸氏が太鼓判を押したという。

舞台となるのは、メガバンクの小さな支店。ある日、100万円もの現金紛失事件が発生するが、真相を突き止めていくと、その裏にはとてつもなく大きな秘密が潜んでいた。

登場する銀行員たちは、小さな支店でよくもこれだけそろったといえるくせ者ばかり。お金を扱う銀行員たちが、お金に惑わされ、人間の弱いところを露呈していく。主人公のベテランのお客様係・西木雅博(阿部サダヲ)は、部下の北川愛理(上戸彩)、その後輩の田端洋司(玉森裕太)と現金紛失事件の真相を探っていくことになるのだが、彼自身、正義感にあふれた清廉潔白な人物というわけではないのがポイントだ。

出世コースから外れた支店長・九条馨(柳葉敏郎)、家族と幸せに暮らすエースだが顧客とのやり取りに苦悩する滝野真(佐藤隆太)、現金紛失事件の調査に訪れる本部検査部・黒田道春(佐々木蔵之介)など、登場人物たちが繰り広げる“選択”。多彩な人物たちの多様な闇に、自分だったら…と不意に思う。そして、次なる“選択”をどうするか、分かれ道を考えさせられる。主演の阿部が醸し出すユーモラスさを交えつつ、ダークな面から共感力を呼び起こしていく。

出演:阿部サダヲ 上戸彩 玉森裕太 柳葉敏郎 杉本哲太 佐藤隆太 柄本明 橋爪功 佐々木蔵之介
監督:本木克英
脚本:ツバキミチオ
原作:池井戸潤


アキラとあきら

436142 (C)2022「アキラとあきら」製作委員会 https://tv.rakuten.co.jp/content/436142/

竹内涼真横浜流星がW主演を務めた本作。小学生のときに父親の経営する町工場が倒産し、過酷な運命をたどってきた山崎瑛(竹内涼)と、大企業の御曹司ながら血縁のしがらみにあらがい、次期社長のいすを拒絶する階堂彬(横浜流星)。対照的なバックボーンだが、共に幼い時に、つらく、醜い大人の世界を垣間見た者同士でもある。

2人はメガバンクに同期入社してすぐに頭角を現すが、瑛はたった1つの家族も見捨てない信念を貫いて左遷されてしまう。そして、瑛とは信念の異なる彬だったが、やがて階堂グループの倒産の危機が訪れることに。

運命が交錯する2人の姿が実に魅力的だ。苦境に立たされ、打ちのめされても立ち上がり進む芯の強さがある瑛、プライドと志を持ちながらも向き合うべきときの変化に対応するしなやかな強さを見せる彬。2人が強さと情熱で困難を乗り越えていくことのかっこよさが胸に迫る。

また、男性キャラクターが多い中、瑛の後輩となる水島カンナ(上白石萌歌)にも注目したい。時代が変わってきているとはいえ、女性ならではの不遇な場面にも遭遇するが、ちゃんと言い返したり、自分がすべき仕事を全うしようとしたりする強さに感じるものがあるはずだ。

出演:竹内涼真 横浜流星 高橋海人 上白石萌歌 児嶋一哉 満島真之介 塚地武雅 宇野祥平 戸田菜穂 野間口徹 杉本哲太 酒井美紀 山寺宏一 津田寛治 徳重聡 矢島健一 馬渕英里何 山内圭哉 山村紅葉 竹原慎二 アキラ100% 奥田瑛二 石丸幹二 ユースケ・サンタマリア 江口洋介
監督:三木孝浩
脚本:池田奈津子
原作:池井戸潤『アキラとあきら』(集英社文庫刊)


七つの会議

311826 (C)2019映画「七つの会議」製作委員会 https://tv.rakuten.co.jp/content/311826/

主人公の八角民夫(野村萬斎)は、中堅メーカー・東京建電の営業一課係長。いわゆる“ぐうたら社員”で、厳しいノルマを課されて周囲が寝る時間を惜しんで働くなか、ひょうひょうとした日々を送る人物だ。

そんな八角が課長の坂戸宣彦(片岡愛之助)をパワハラで訴えたことからストーリーが大きく動いていく。それは親会社をも揺るがすことになる。

なぜなのか、何があったのか。ストーリーを追ううち、明らかになっていく八角の秘めた思い。組織の中で働くことの苦悩が身につまされ、また働くことそのもの、仕事する責任、企業の責任に思いをはせることになる。

出演:野村萬斎 香川照之 及川光博 片岡愛之助 北大路欣也 音尾琢真 藤森慎吾 朝倉あき 岡田浩暉 木下ほうか 吉田羊 土屋太鳳 小泉孝太郎 溝端淳平 春風亭昇太 立川談春 勝村政信 世良公則 鹿賀丈史 橋爪功
監督:福澤克雄
脚本:丑尾健太郎 李正美


空飛ぶタイヤ

308728 (C)2018「空飛ぶタイヤ」製作委員会 https://tv.rakuten.co.jp/content/308728/

走行中のトラックからタイヤがはずれ、1人の主婦が亡くなった。整備不良を疑われ、バッシングを受ける運送会社社長・赤松徳郎(長瀬智也)は、トラックの構造自体の欠陥に気付き、製造元であるホープ自動車に再調査を要求する。

自身の家族はもちろん、家族のように愛する社員のために奔走する赤松の熱さ。その一方で、ホープ自動車のカスタマー戦略課課長・沢田悠太(ディーン・フジオカ)や、ホープ自動車のグループ企業であるホープ銀行の本店営業本部・井崎一亮(高橋一生)、そして事故が起きた所轄署の刑事・高幡真治(寺脇康文)が立ち上がる。

それぞれの立場と視点で、正義と守るべきもののために戦う男たちの勇気ある姿に心が震える。

登場人物たちには弱さもあり、必ずしも最初から大きなものに立ち向かう勇気があったわけではなかったりもする。主人公以外にも、悪と思っていたキャラクターに共感できるところも。だからこそ、その人間味のある姿に心を寄せることができる。さまざまなキャラクターに注目しながら、池井戸潤作品を楽しんでみてはいかがだろうか。

出演:長瀬智也 ディーン・フジオカ(DEAN FUJIOKA) 高橋一生 深田恭子 寺脇康文 小池栄子 阿部顕嵐 ムロツヨシ 中村蒼 柄本明 佐々木蔵之介 六角精児 大倉孝二 津田寛治 升毅 笹野高史 岸部一徳
監督:本木克英
脚本:林民夫

(文・神野栄子)

Rakuten TVで視聴する

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