例えば前世の記憶が研究されていると聞いたりもする。そんななか、エンターテインメント作品をたどってみると、前世が題材に使われているのはとりわけアジア圏が多いように感じる。
なぜかを考えてみると、輪廻転生の死生観が浸透しているからではないだろうか。生命の死後、新しい生命に生まれ変わるという輪廻転生は、仏教やヒンドゥー教などの教えの一つでもある。輪廻転生観はもとより世界各国にあるともいわれるが、アジア圏では信仰的背景もあって理解や認識がしやすく、より身近で、カルチャーにも自然と根差しているのかもしれない。
最近でいえば、2024年度アカデミー賞の作品賞と脚本賞にWノミネートされ、日本では4月に劇場公開となった大人のラブストーリー映画『パスト ライブス／再会』。同作は、ハリウッドで急成長する配給・製作会社、A24の作品となるが、監督は韓国にルーツを持つセリーヌ・ソンで、韓国で運命の意味で使われる“縁”をテーマにし、“Past Lives”＝前世から“縁”があったという概念のもとで運命の恋を描き出した。
前世に繋がりがあって、現世で巡り合うというシチュエーションは、ドラマティックかつロマンティックで、エンターテインメントの世界では心を沸き立たせる。そこでRakuten TVで配信されている韓国＆中国ドラマから“前世の繋がり”が描かれたものをみていこう。
あいつがそいつだ
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まずは韓国ドラマから。『あいつがそいつだ』は、ある事故でよみがえった前世の記憶に存在した“あいつ”のせいで非婚主義になったヒロインがイケメン社長と年下男子からアプローチされるラブコメ。非婚主義という現代らしさと、前世が絡んだ展開から目が離せなくなる。
九尾狐伝～不滅の愛～
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『九尾狐伝～不滅の愛～』は、山の神とされるキツネの霊獣・九尾狐が主人公。かつて恋に落ちた人間の少女の転生を600年間待ち続け、現代社会で再会する。伝説の生き物がいる神話の世界と人間の世界を、前世と現世で見事にマッチさせたオリジナリティあふれる世界観だ。
初恋だけ3度目
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『初恋だけ3度目』は、初恋を実らせるため3度生まれ変わった人気WEB小説家の男性が主人公。ところが、今度の初恋相手が生まれ変わったのは男性という、BL展開でロマンティックなストーリーが繰り広げられる。
美人骨
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中国ドラマでも前世から続く愛のテーマはヒットジャンルの一つとなっている。『美人骨』は、前編24話、後編30話と時代を変えてつづられる壮大さ。『美人骨～前編：周生如故～』は、北魏の時代の将軍とその弟子となる名門世家の娘の純愛を描くが、美しくも衝撃のラストが視聴者を騒然とさせた。
『美人骨～後編：一生一世～』は、人気声優となったヒロインと大学准教授となった男性の縁がつづられ、前世と現世をたどる愛の物語を堪能できる。
永遠の桃花～三生三世～
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『永遠の桃花～三生三世～』は視聴回数500億回越えが話題になった作品。三世にわたる一途な純愛と、そこに待ち受ける激動の運命が心を揺さぶる。
夕月花（せきげつか）～三世を駆ける愛～
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『夕月花（せきげつか）～三世を駆ける愛～』は、愛する者と平和を守るためヒロインが過去に戻るという、タイムリープ要素を加えたファンタジー時代劇。敵対関係にあった相手と思いを通わせるようになるロマンティックさと、ミステリー、また時空を超えるたびに変わるストーリー展開の面白さが見どころだ。
この6作品をみても、前世の繋がりというテーマが、そのストーリー展開の可能性の大きさに満ちていることが分かる。韓国ドラマでは、非婚主義やBLといった絶妙に現代性も取り入れながら、前世の繋がりがあることで恋模様を甘く、切なく見せてくれる作品がそろっている。中国時代劇ドラマでは、前世からの純愛をファンタジックかつ壮大に見せてくれる。前世で繋がりがあるかもしれないと思うと、今の縁を大切にしたくなる。ファンタジックさの中にあるそんなメッセージ性も魅力だろう。
（文・神野栄子）
Rakuten TVで視聴する
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