そして、Rakuten TVで配信している宝塚歌劇団の作品から、おすすめ作品をセレクトしてもらった。配信リストにはないながらも、宝塚入団前の思い出の一作品も。それぞれのセレクト理由や思い出を語ってもらった。
(文:岩村美佳)
――Billboard Live YOKOHAMAでは初めてのライブと伺いました。Billboard Liveでのライブへの想いをお聞かせください。
大阪のBillboard Liveさんに何回か出演させていただいていますが、お酒を飲みながら、お食事をしながら、音楽を聞いていただけて、おしゃれな感じなので、横浜も初めて出演させていくことを楽しみにしています。
――お酒を飲みながら、お食事をしながら、お客様に聞いていただく環境は、他のコンサート会場でのライブと、姿月さんご自身は何か違いがありますか?
特に自分のパフォーマンス的には変わりませんが、お客様がよりリラックスして聴けるのではないでしょうか。
――姿月さんが構成も考えられていると伺いましたが、特に重点的に考えたことはありますか?
今年5月に札幌でコンサートをさせていただきましたが、それを短縮した形で作らせていただいています。自分が現役時代に出演させていただいたミュージカルナンバーを歌わせていただいたりしています。
――特に聴いていただきたいポイントはありますか?
今年が35周年のフェスティバルという感じで、いろいろな形でのコンサートをさせていただいております。5月に札幌、7月の宝塚ホテルを経て、8月にBillboard Liveに行かせていただきます。札幌は2,000人以上入る大きなホール、宝塚ホテルではディナーショー形式、Billboard Liveさんはライブ感覚でお酒を飲んで、お食事しながら観ていただくという、三者三様で形式が違うので、同じ曲でも違うように聴こえるんじゃないかなというところを、楽しんでいただければと思います。
――何か具体的に決まっている曲を伺ってもよろしいですか?
『エリザベート』の「愛と死の輪舞」「闇が広がる」、『ジキルとハイド』の「This is the moment」は歌う予定にしています。Billboard Liveさんでミュージカルの曲を歌うことは、今まではありませんでしたので、珍しいかもしれません。
――「This is the moment」はどうして選ばれたのでしょうか?
「This is the moment」は、作品には出演していませんが、宝塚現役時代にディナーショーなどで歌っていたので選曲しています。いつもはひとりで歌っていたのですが、今回は出演者がひとりではないので、いつものコンサートとは選曲が違うのかもしれません。
https://news.tv.rakuten.co.jp/wp-content/uploads/2022/08/0518hitaru_0043.jpg 撮影:n-foto 原田直樹/会場:札幌文化芸術劇場hitaru
――スペシャルゲストとして風花舞さんがご出演されますが、風花さんをお呼びになったのは、どんな想いがありますか?
月組の時に同じ組で、よくダンスなどを一緒に踊ったり、バウホール公演『たけくらべ』で相手役をさせていただいたり、新人公演でもご一緒させていただきました。退団してからコンビとしてやるのは初めてですが、35周年のフェスティバルということで、懐かしい仲間にお声掛けさせていただきました。
――今ご一緒に歌われたりするのでは、何かパフォーマンスの違いの面白さとか、今だからこそというところはございますか?
以前はどちらかというと、一緒に踊ったりすることが多かったのですが、今回のように一緒にしっかりと歌ったりするのは、珍しいかと思います。お互いに年齢やキャリアを重ねましたし、よりパフォーマンスが向上なさっているのではないでしょうか。私はソロでコンサートをすることが多いので、デュエットをする機会は退団後はそんなにないんです。
――そうすると、デュエットは新鮮ですか?
そうですね。ソロコンサートの時にはできないことなので。
――天羽珠紀さん、美翔かずきさんもご出演されますが、姿月さんがオファーされたのですか?
はい。ダンスとコーラスをお願いしています。ふたりともダンスも歌も実力がおありの方なので、お声掛けさせていただきました。
――Billboard Liveでのパフォーマンスに、コーラスやダンスを入れたいと思ったポイントはお聞かせください。
いつもでしたらバンドメンバーが4〜5人いるのですが、今回は演奏がおひとりなので、その分歌やコーラスが入ると華やかになりますよね。
――ご出演されるに当たって、御三方とどんなお話をされましたか?
大勢が出演する舞台では三人と退団後もご一緒していますが、今回のような少人数では初めてなので、喜んでくださっています。
――皆さんが参加されるナンバーで、伺っていい曲名はありますか?
天羽さんと美翔さんは、コーラスや「闇が広がる」のお相手などですね。風花さんは、「エメ」(『ロミオとジュリエット』)を歌うかもしれません。「エメ」はきれいな曲ですよね。
――風花さんも踊られるんですか?
踊らないわけではないですが、現場に行って広さを見させていただいてからの判断になります。Billboard Liveさんならではの歌のライブに近いものにしたいと思っています。
――音楽監督・キーボードの宮﨑誠さんとはどのようなお話をされていますか?
すべて私が決めているので、前奏や出ハケ部分とか、パフォーマンスに対してこういう音を出してくださいとかは、すべてオーダーして弾いていただいています。
――キーボード一本で歌うのはいかがですか?
打ち込みは元々していただいて、そこに生の演奏を入れているので、豪華になると思います。
――ご来場して現場で聞かれる方と、配信でご覧になる方、両方のお客様に向けて、楽しんでいただきたいポイントやメッセージをお願いします。
本当はなるべく会場にいらしていただきたいですが、配信でご覧いただく皆さんが会場に来れるような日常になったらいいなと思っています。
https://news.tv.rakuten.co.jp/wp-content/uploads/2024/04/0518hitaru_0086.jpg 撮影:n-foto 原田直樹/会場:札幌文化芸術劇場hitaru
姿月さんのおすすめ作品はこれだ!
『エリザベート―愛と死の輪舞―』(’96年雪組・宝塚)
『エリザベート―愛と死の輪舞―』(’98年宙組・宝塚)
――RakutenTVで配信している宝塚作品から選んでくださったのが、『エリザベート―愛と死の輪舞―』の初演の雪組公演(’96年雪組・宝塚)と、姿月さんがご出演された宙組公演(’98年宙組・宝塚)。そして配信にはないのですが、麻実れいさんが主演された『うたかたの恋』(’83年)も選んでくださいました。
『うたかたの恋』は受験前に拝見していて、その時にはまだ宝塚受験なんて全然考えていなくて、ただのいちファンとして全部の組を観させていただきました。幼いながらも曲がきれいだなぁと思いながら観ていた印象がすごくあります。麻実れいさんと遥くららさんを拝見しましたが、素晴らしくて。今となれば『うたかたの恋』のルドルフが、『エリザベート』のルドルフと繋がっていることを考えると、すごいことだなと思って選びました。
――特に印象的な場面などはありますか?
主題歌などは覚えようとしなくてもすぐに覚えられるようなメロディーであったり、歌詞であったりですね。
エリザベート-愛と死の輪舞-(’96年雪組・宝塚)
92917 (c) 宝塚歌劇団 https://tv.rakuten.co.jp/content/92917/
――では次に、初演『エリザベート』(’96年雪組・宝塚)を選んでくださったのは、どんな想いがありますか?
一路(真輝)さんがトートをされた雪組さんの『エリザベート』を、客席で観させていただいたのですが、本当に素晴らしい作品で、素晴らしい音楽に衝撃を受けた作品のひとつでもありました。公演なさった初演の方たちは、とても大変だっただろうなと思います。
――初演に出てらっしゃる方々と、初演について何かお話されたことはございますか?
花總(まり)さんが出ていらっしゃいましたが、花總さんとはその後ご一緒させていただきました。初演の時のお話はあまりしませんね。自分がやるとは思ってなくて観ていましたが、観ているのとやるのは全然違いましたので、大変でした。本当に難しいので驚きました。
エリザベート-愛と死の輪舞-(’98年宙組・宝塚)
281097 (c) 宝塚歌劇団 https://tv.rakuten.co.jp/content/281097/
――『エリザベート』を宙組でというお話が来た時には、まず姿月さんはどう思われたでしょうか。
まさか自分が、宙組でやるとは思っていませんでしたので驚きました。
――実際に稽古がはじまって、難しさや面白さなどはいかがでしたか?
小池(修一郎)先生がすごく細かく演出をなさっていました。先生が組によっていろいろ演出を変えてらっしゃるので、仰ることを聞いて、できるようになるようにお稽古しました。
――小池先生は宙組の上演に当たって、どんな演出をされたのでしょうか?
いろいろありましたね。ただ舞台に出てくるだけでも、出方が変わったり、お衣裳とか、髪型とか細かく見ると全部組によって違うので。
――トートはそれぞれの個性によっても違うと思いますが、トートを演じる上で小池先生からのリクエストなどはありましたか?
リクエストというよりも、小池先生の演出というのは、舞台への出方であったり、お相手とのやりとりであったり、座り方や、手の握り方であったり、組によって全て違うので、どの組でも先生がお考えになられたのではないでしょうか。
――初演でご覧になった花總さんと、トートとエリザベートとして組んでみて、いかがでしたか?
彼女は経験をしていらした分、先生からのまた違う新しい『エリザベート』という作品作りになるので、彼女は彼女で大変だったと思います。私は初めてという意味での大変さでした。その大変さが重なりあっていましたね。
でも、お相手が変わるとみんな自然に変わるものだと思います。そして、宙組の時には、他に星組での経験者と雪組での経験者がいたので、初めての人と経験したことがある人がミックスしての公演で、いろんな意味で大変だったと思います。
――宝塚や東京での公演で、印象に残っていることがありましたらお聞かせください。
東京での公演は(TAKARAZUKA)1000days劇場といって、演奏がすべて録音だったので、生演奏ではないところの難しさがありましたね。
――やはり録音の音に合わせていかなければいけない。
そうですね。指揮者の方がいなくて、生の演奏ではないことが、なかなか珍しいことでしたので。
――その後、『エリザベート』ガラコンサートに何度もご出演されています。常に進化されていく舞台を拝見していますが、歌うたび、もしくは上演するたびに、姿月さんがこの作品の魅力を、特に感じていることや、新しい発見はありますか?
何回やっても難しいです。楽譜が難しいですね。
――同じ曲を何度も歌っていくなか、ご自身の技量がどんどん上がっていくみたいな実感や手応えはございますか?
譜面は前も今も一緒なので、譜面通りに歌っていますが、スキャットとかは昔から自由なところは自由なので、私なりの解釈でやっています。
私は退団してから歌のコンサートやライブを中心に活動してきたので、そういう意味では歌をやっていて良かったかなとは思います。いろいろなテクニック的なものもありますし、ガラコンサートはハンドマイクを使って歌います。ヘッドセットとハンドマイクですと、マイクの使い方も違いますよね。在団中は、ハンドマイクで歌うことはほとんどないので、そこは違うと思います。
――ありがとうございました。最後に、姿月さんからみた、『エリザベート』の’96年雪組と’98年宙組公演の見どころがありましたらお聞かせください。
『エリザベート』は良い楽曲であることと、組によって違います。演出や、お衣裳も、皆さん全然違うので、いろいろと新しいものを考えて作ってらっしゃると思います。それぞれご覧いただければと思います。
(撮影:n-foto 原田直樹/会場:札幌文化芸術劇場hitaru)
作品情報
姿月あさと 35th Anniversary Festival -Singin’ with Dance 風の姿-
with Special Guest 風花舞
数々の舞台で培われた卓越した歌唱力と豊かな表現力でオーディエンスを魅了し続けている元・宝塚歌劇団初代宙組トップスターの姿月あさとが、初登場となるビルボードライブ横浜の舞台でデビュー35周年のアニバーサリーライブを敢行!スペシャルゲストとして元・宝塚歌劇団月組トップ娘役の風花舞を迎え、表情豊かな歌と色鮮やかなダンスによる魅惑のステージを演出。
■出演:
姿月あさと(Vocals)
Special Guest:風花舞(Vocals, Dance)
天羽珠紀(Vocals, Dance)
美翔かずき(Vocals, Dance)
宮﨑誠(Keyboards, 音楽監督)
ライブ配信日時:8月18日(木) 配信開始:17:30 / 開演予定:18:00
販売期間:8月5日(金) 12:00 ~ 8月18日(木) 19:00
配信会場:Billboard Live YOKOHAMA
Rakuten TVで視聴する
92917,281097