マフィアの息子と同じ世界中で200万人に1人という“黄金の血”の持ち主だった孤児のサンは、幼少期にそのマフィアに養子として引き取られ、いつか息子のボディガードとなるべく、学校に行かず、友達も作らず、武術だけを磨いてきた。そんなある日、マフィアである父親が同業者とモメたことで、息子・スカイの命が狙われることになる。そこでサンに白羽の矢が立ち、大学に通うために一人暮らしをいているスカイの家に住み込み、ボディガードとしてだけでなく、家政婦としての能力も発揮する。サンは家事も料理も完璧で、まるでスーパー執事。こうして、おかしな同居生活がスタートする。
だが、1人で伸び伸びと暮らしていたスカイは内心穏やかではない。親の干渉を逃れるために進学したのに、急にボディガードを押しつけられて大憤慨。しかもサンはまるで小姑のように口うるさいため、当初のスカイは彼を煙たがっていたが、幾度となく命を救われているうちに心を開き始める。そして、サンの生い立ちや友達がいないことを知ったスカイは、これまでの人生のぶんも楽しんでもらおうとデートスポットを貸し切って、サンをおもてなし。まるでカップルのように甘く楽しい時間を過ごすが、そこにもスカイの命を狙う魔の手が忍び寄り、シーンは一気にシリアスムードに転調する。
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この激しい落差は、今作の特徴の一つだ。タイならではのゆったりとしたスピード感で甘いひとときを過ごしていたかと思えば、いきなり殺し屋が現れて、流血騒ぎに発展。毎話、ドキドキとハラハラが繰り返され、気持ちの休まる間がない。しかし、だからこそ先が気になり、やめられなくなってしまうのだ。
物語では、回を追うごことにスカイとサンの心の距離が縮まり、物理的な距離も近くなっていく。そうして、守る者と守られる者であると同時に、互いを思い合う関係になっていくのだ。サンはスカイを助けるたびに「僕の命はあなたのためにある」と伝え、スカイはそれを聞くたびに、うれしいようなせつないような表情を浮かべるが、このセリフには実は2つの意味が隠されているように見える。つまり、ボディガードとして体を張って守るだけでなく、“Golden Blood”の持ち主として、文字通り、命をかけて守る日が来るかもしれないということだ。そう思うと、新たなハラハラ感が生まれ、最終回への歩みを早めたくなるはずだ。
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マフィアの息子×ボディガードという荒っぽい設定とは思えない、繊細さを秘めたスカイとサンを演じるのは、『ラブ・バイ・チャンス/Love By Chance』シリーズでサッカー部のキャプテンを演じていたGunことナパット・ナ・ラノーンと、モデルとしても活躍するBoatことターラー・ティパー。細身で品のあるGunは、ケンカはからっきしなお坊ちゃん役がピッタリで、今作でBLドラマに初挑戦したBoatは水泳で鍛えた美ボディがボディーガード役にハマっており、見た目にもバランスのよいカップルになっている。
主従関係から恋人へと発展した2人が、“Golden Blood”という宿命の下に晒されたとき、一体どうするのか? スカイとサンの行く末をぜひ見守ってほしい。
(文・及川静)