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独創的な世界観で描かれる壮大なラブロマンスを核に、アクション、ミステリー、ファンタジー、人間ドラマが交錯した『九尾狐伝~不滅の愛~』。後に続編が誕生した人気の要因は、物語の面白さもさることながら、この世のものとは思えないイ・ドンウクの神秘的な美しさが作品の世界観にハマったことが大きい。
イ・ドンウクは現在、42歳。モデルもこなす184センチという長身と、アジア人離れした端正なルックスと白い肌で、ドラマ『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』の死神役で大ブレイク。「国民の初恋」と称される13歳年下の人気女優ペ・スジとの公開恋愛も大きな話題となったモテ男だ。本作でイ・ドンウクが演じるのは、山の神として自然を司るキツネの霊獣・九尾狐(クミホ)のイ・ヨン。赤髪、韓服の九尾狐を演じるイ・ドンウクのビジュアルがまた、神々しい。そのルックスからか時代劇を演じることが稀な彼の韓服姿は、貴重だ。
山の神・イ・ヨンはある日、山で人間の少女アウムと出会う。孤独な少女はイ・ヨンに懐き、少女から女性に成長し2人は恋に落ちるが、神と人間の恋が許されることはなく、アウムの死で別れを迎える。イ・ヨンはアウムの転生と引き換えに、神の身分を捨てて人間界へ。600年間彼女の転生を待ち続け、ついにアウムとそっくりなジア(チョ・ボア)とめぐり逢う。ジアは子ども時代に経験した両親失踪事件を追うためにミステリー番組のプロデューサーとなったが、彼女が番組で追う花嫁失踪事件の容疑者としてイ・ヨンが現れた。そしてジアは、不思議な力を持つイ・ヨンが、子ども時代に自分を救ってくれた人物だと知る。
韓服も魅力的だが、誰もが振り返る美貌、そしてタワマンに住み、高級車を乗り回すスタイリッシュでクールな現代のイ・ヨンもまたカッコいい。かと思えば、初恋を一途に追い求めるいじらしさや、チョコミントアイスクリームに目がなく、映画『トイ・ストーリー3』を熱弁する子どものような一面もあるギャップには、キュンとするはず。また、地獄でペナルティを償うシーンでは、とても40代には見えないシックスパックの完璧ボディも披露しているが、これはヒロインでなくても、恋に落ちる。
ヒロインのライバル(?)といえるのが、イ・ヨンの弟、イ・ラン(キム・ボム)だ。『花より男子〜Boys Over Flowers』のF4メンバーとして大ブレイクしたキム・ボムの除隊復帰作としても話題に。訳アリの兄弟だけに素直になれない弟イ・ランの、兄に対する愛情がこじれにこじれていてもどかしい。恋人と弟を天秤にかけられ、何度もピンチに陥るイ・ヨン。物語の後半にはラブロマンスよりもイ・ヨンとイ・ランのブロマンスから目が話せない展開となり、ついには兄弟を主人公にした続編『九尾狐伝1938』が制作されるほどの人気となった。
兄弟の物語意外にも、来世出入国管理事務所(三途の川)を切り盛りする閻魔大王の妹夫婦、ロシアから密輸された女狐のロマンス、食堂の女主人、ジアの職場の後輩や公園で出会った子どもなど、イ・ヨンのまわりの人物の魅力的なサイドストーリーも見どころとなっている。特に閻魔大王の妹・奪衣婆(キム・ジョンナン)は、あの世とこの世を繋ぐキーパーソンとなるが、ウォン・カーウァイ監督の『花様年華』にインスパイアされた彼女のファッションも毎回見逃せない。もちろん敵も、かなり魅力的なキャラクターとなっている。
過去と現代、神話の世界と人間の世界をクロスオーバーさせるファンタジーロマンス作品で、イ・ドンウクの人間離れした美しさを堪能してほしい。
(文・坂本ゆかり)
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