1. TOP
  2. コラム
  3. 主演映画『マッチング』で見せる土屋太鳳の表現力

主演映画『マッチング』で見せる土屋太鳳の表現力

主演映画『マッチング』で見せる土屋太鳳の表現力
(C)2024『マッチング』製作委員会
映画、ドラマに活躍が続く土屋太鳳。多種多様なキャラクターを演じ、各作品の世界を彩ってきた。Rakuten TVで6月20日より配信がスタートした主演映画『マッチング』では、マッチングアプリをテーマに恋愛に消極的だった女性に迫る恐怖を全身全霊で表現している。

1995年2月3日生まれの土屋太鳳は、2008年公開の『トウキョウソナタ』で映画デビュー。2011年の連続ドラマ『鈴木先生』(テレビ東京系)とその続きとなる劇場版『映画 鈴木先生』(2013年)で物語のキーマンとなる女子生徒役で注目された。そして2014年上半期の連続テレビ小説『花子とアン』でヒロインの妹に続き、翌年上半期の連続テレビ小説『まれ』でヒロインに選ばれて、一躍幅広い世代に知られる存在となった。

土屋の出演作を振り返ると、実にさまざまな役に挑戦していることが分かる。作品数が多いので映画だけに絞ってみても、人気コミックを原作にした『orange -オレンジ-』(2015年)や『青空エール』(2016年)、『兄に愛されすぎて困ってます』(2017年)のような王道ヒロインがあれば、『累 -かさね-』(2018年)ではW主演した芳根京子とキスを交わしたら外見が入れ替わるというダークな難役をこなし、そのほかシリアスなもの、日本女子体育大学で舞踊学を専攻した身体能力を生かしたアクションでも観る者を引き付けてきた。

https://im.akimg.tv.rakuten.co.jp/content/77/21/477712/chapter_l_0002.jpg (C)2024『マッチング』製作委員会 https://tv.rakuten.co.jp/content/477712/

そして今回の『マッチング』は、『ミッドナイトスワン』(2020年)を手掛けた内田英治が監督と脚本を務めるオリジナル作品。現代において身近になったマッチングアプリから始まる恐怖を描くサスペンス・スリラーだ。

土屋が演じるのは、ウエディングプランナーとして働く主人公・輪花。式当日の顧客から無理難題を言われて笑顔で受けつつ、見えないところで文句言っている様子や、仕事帰りに父・芳樹(杉本哲太)と居酒屋で待ち合わせ、枝豆を食べながら“焼酎水割り梅入り”をジョッキでゴクゴク飲む姿から、さっぱりとした性格なのかと思っていると、ちょっと違っているよう。酔って帰宅して芳樹に自分が結婚してほしいか問い掛けたとき、芳樹が「(恋愛が)苦手なんだろ」と答えたところから、輪花が何かを抱えていることが分かる。

土屋はそれを低いテンション、低いトーンの声で想起させる。多彩な役をこなしてきているものの、どちらかというと真っ直ぐな性格だったり、はつらつとしていたり、何かに向けて頑張っていたりというようなイメージが強いかもしれない。本作の主演決定発表時、内田監督は「土屋さんのとことんイメージを裏切ってくる極限の表現をぜひ見て欲しいです」とコメントを出していたが、まさにその通りの演技がこのあとも続いていく。

同僚であり、親友でもある尚美(片山萌美)に勧められたマッチングアプリに酔った勢いで登録。すると、マッチング率97%の吐夢(佐久間大介)とマッチング。会ってみることにするが、ゴム長靴を履いていたり、不可解な会話内容だったりに、輪花は眉をひそめるのを隠しもしないのだ。そのイヤそうな表情がなんともうまい。

https://im.akimg.tv.rakuten.co.jp/content/77/21/477712/chapter_l_0001.jpg (C)2024『マッチング』製作委員会 https://tv.rakuten.co.jp/content/477712/

そうしているうち、アプリ婚した夫婦を狙った連続殺人事件が輪花の身に迫る。怪しげな吐夢に恐怖を感じるなかで、不幸がこれでもかと輪花に起きる展開。とある悲しみの絶叫シーンは、俯瞰でとらえたカメラワークながら、真に迫っていることを感じて思わず息をのむ。抱えていた思いを吐露する場面では痛切さをヒシヒシと表しながら、危機的状況に立ち向かう強靭さをのぞかせ、まさかの真実が明らかになる場面では、見ているこちらと同じようなリアクションで感情を乗せる。その感情を乗せた“目”の演技にも魅了された。

主演としてイメージを裏切る熱演を見せる土屋。同様にアイドルとしてのイメージを払拭するような暗い男・吐夢を演じた佐久間、輪花を助けるアプリ会社のプログラマー・影山役の金子ノブアキ、このところ怪演が話題になる斉藤由貴も存在感を放ちながら、ラストまで予測不能な物語を引っ張っていく。

(文・神野栄子)

『マッチング』の作品ページはこちら

Rakuten TVで視聴する

477712,375514,242414

URLをコピー
ポスト
シェア
送る
Rakuten TV 声優チャンネル
宝塚歌劇LIVE配信一覧
BL特集
  • 年月別アーカイブ