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ーー『怪物』というタイトルについてですが、ストーリーや展開を通じ、人の心の奥に潜む狂気や、容易に人は怪物になり得る、というような深く重いテーマ性を感じました。
安田:私たち全員が“怪物”になり得ると思いますし、誰か1人を“怪物”にさせることもできる。社会や組織っていうのは。怪物自体が怖いんじゃなく、むしろ怪物を生み出そうとする人たちが怖い。
私はあなたとは違う常識を持っています、あなたの考え方は異質です、そういう人たちは孤独でいいんです、孤独になりなさい…そういったなかから怪物は生まれ、もっともっと怪物になっていくでしょうね。怪物自体に対する怖さというよりも、怪物を生み出そうとすることの怖さを私は感じます。
ーーなるほど。
安田:じゃあどうすれば怪物が生まれなくなるか?難しいと思います。人は社会を築いて生活していかないといけない。でも、そこに怪物が生まれない理由は絶対にない。全員が手と手を取り合って生きていくことを理想とはするけれども、じゃあこうしたらいいんだよね? という、答えがなかなか出てこない。
ーー非常に難しいですね…。
安田:そのなかで自分は生きているんだ、というような考え方を、僕は今なんとなくこう、みなさんと会話しながら感じてます。
ーー水上さんはどういうお考えをお持ちですか?
水上:“狂気”はコントロールするしかないですよね。今、安田さんがおっしゃったように、システムや社会の環境としてコントロールするしかないですし、それを0にすることは僕も無理だと思います。
それはもう本当に無理な話であって、個人個人で見たとしても絶対に狂気はあると思うんですよ。だからこそ『怪物』のような作品が面白いと思えるのではないかと。だからといって、これを見習えっていうことではないですし、そこはやはり悪というか怪物を社会に生まれさせないために、教育だったり概念だったりいろいろなものがあると思っていて。
ーー自分自身も容易に持ちえるであろう“怪物”を制御し、共存していくしかないと。
水上:すごく個人的な話をしますけど、役者としてはやっぱりその、魔物のような、怪物のようなものは絶対に(内面に)あるべきだと思います。それがない役者は僕は見たくないです。
でも、それは実生活で犯罪を犯してもいい、というのではまったくなくて、コントロールしなさい、そうじゃないと芝居でも表現できないでしょう? と僕は思います。社会もそうだし、他の人もそうだし、自分の中の怪物との向き合い方、じゃないかなと思いますけどね。
安田:僕らに必要なのはやっぱり“熱量”であって。
われわれ俳優はいろんな役をやらなきゃいけない。そのときに参考にするべきものが“熱量”です。その中の1つとして“狂気性”というものはあるかもしれません。
ーーところで話は変わりますが、お二人がオススメするエンタメ作品をぜひ教えてください。
安田:僕は、ホントに勉強不足で。やっぱり自分が子どもの頃に見た映画っていうのが印象に残っているんですよ。『E.T.』『ロッキー』『ルパン三世 カリオストロの城』。だって無条件に自転車が空を飛んだら(※『E.T.』の有名なシーンの一つ)嬉しいじゃないですか。
水上:壁を見たらもう走りたい(※『ルパン三世 カリオストロの城』冒頭のカーチェイス)ですよね(笑)。
安田:そうそうそう。自転車が空を飛ぶシーンにジョン・ウィリアムズの曲が流れたら最高だし、名作には絶対、名曲がある。シルベスター・スタローンがリングで戦ってる時に「ロッキーのテーマ」が流れなかったらがっかりですよ。
連続ドラマW 怪物
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