タイBL界にヴァンパイア・ブーム到来？『My Golden Blood』でのヴァンパイアの大きな特徴とは？

Shane（ナチャポン･チェワパンヤロイ）＆Opal（クリッサパートーン･チャワンワッチャラーゴーン）主演でオカルト好きの大学生と風変わりな青年の恋を描く、キュートなヴァンパイアストーリー『1000 Years Old』や、Frank（タナットサラン・サムトンライ）&Lee（ロンシー・リー）主演で描く、現代の人間界に舞い降りたヴァンパイアたちのコミカルな奮闘記『OMG! Vampire』、はたまた2025年３月から撮影を開始したBoun（ノッパナット・ガンタチャイ）&Prem（ウォルート・チャワリットルティウォン）主演の『REVAMP THE UNDEAD STORY』など、2024年以降のタイBL界ではヴァンパイアものがたて続けに制作されている。

その中で、あのGMMTVが制作したのが『3 Will Be Free』で主人公を演じて人気を博したJossと、『Be My Favorite』でクリス演じる主人公を思いがけず好きになるピーセーン役が記憶に新しいガウィンがメインカップルを務める『My Golden Blood』だ。タイトル通り、ガウィン演じるトンがヴァンパイアを狂わす“ゴールデンブラッド（黄金の血）”の持ち主で、そんな彼をJoss演じるヴァンパイアのマークが守るという話なのだが、今作はヴァンパイア界にルールがあり、そこが大きな特徴だ。

不死身であるヴァンパイアたちは、その人生経験を生かして莫大な財力を持つ実業家になる者もいれば、警察官やカフェ経営者など、それぞれに正体を隠して人間社会に溶け込んで生活している。そして、人間の命を奪うことは禁止され、ヴァンパイア界の頂点に立つ女帝があらゆるコネクションを通じて生産した合成血液で生きながらえている。しかし、鮮血を求めるヴァンパイアにとっては禁欲生活を強いられているとも言える。そんなヴァンパイアたちのなかに、“ゴールデンブラッド”を持つトンが出て行ったらどうなってしまうかは想像に容易いだろう。

ところが、第1話で“ゴールデンブラッド”のことなど何も知らないトンがとあるセレブのパーティーにバイトに行くと、割れたグラスで手を切り、出血してしまう。そこで彼の前に現れるのが、女帝の片腕として働いているヴァンパイアのマークだった。トンは全く気付いていなかったが、マークはトンが田舎の養護施設にいた当初から見守り続けている守護天使のような存在で、まさにこの時も野蛮なヴァンパイアたちからトンを守ろうと必死だった。

ただマークもヴァンパイアのため、“ゴールデンブラッド”の匂いを嗅げば、自ずと目の色が変わってしまう。だが、どうにか本能を抑えてトンに寄り添うのだった。側から見ているとトンはマークをはじめとする周囲の人にとても大切にされているのだが、周りから内緒にされていたことが多すぎて混乱気味。育った養護施設や親友のことも信じられなくなり、波乱の人生の幕開けとなっていく。

トンは全12話の中でどんな道を歩み、マークはどうやって彼を守っていくのかが、今作最大のポイントとなりそうだ。また、タイBLドラマの『Only Friends』でクラッシャーのボストン役だったNeo（トライ・ニムタワット）演じる親友のトンクラーとの友情の行方や、同じく『Only Friends』でボーイング役だったMond（タナチャイ・ウィチットウォントーン）演じるセレブヴァンパイア・ナカンの動向も気になるところ。ナカンは欲望に忠実なキャラクターのため、強力な“ゴールデンブラッド”を手に入れると現在のヴァンパイア界の均衡を崩しかねない。『Only Friends』に続いてヒール役となるMondの暴れっぷりにも注目したい。

（文・及川静）