女性が華々しく生きる「ミュージカル化された映画作品」５選

ヨーロッパ最古の王室のアン王女

ローマの休日

映画界でまだ無名だったオードリー・ヘプバーンを一躍世界的スターにした、1953年のウィリアム・ワイラー監督作品。オードリー作品の中でも日本で特に人気の同作は、1998年に大地真央主演で、2016年には宝塚歌劇団で当時雪組のトップだった早霧せいなと咲妃みゆ主演でミュージカル化されている。
ヨーロッパ最古の王室の王位継承者であるアン王女（オードリー）と、ローマの街角で偶然、彼女と知り合ったアメリカ人記者のジョー・ブラッドレー（グレゴリー・ペック）によるたった１日の恋物語だが、なんといっても一番の魅力はアン王女のお茶目っぷり。実は彼女の正体に気付いているジョーの心配をよそに、髪を短く切ってしまったり、ベスパで暴走したり、追ってくるSPをギターで撃退するなど、自由を謳歌する姿に自然と笑顔になってしまう一作だ。

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大富豪のお抱え運転手の娘・サブリナ

麗しのサブリナ

1953年、マンハッタンの国立劇場で初演されたサミュエル・テイラーの戯曲「サブリナ・フェア」の原作を元に、ビリー・ワイルダーが監督した映画『麗しのサブリナ』（1954年公開）。ミュージカルと映画はほぼ同時期に制作されたため、映画と舞台では異なったストーリーになっているのが面白い。
大富豪のお抱え運転手の娘・サブリナ（オードリー・ヘプバーン）が御曹司と恋に落ちるシンデレラストーリーなのだが、序盤ではプレイボーイの次男・デイビッド（ウィリアム・ホールデン）に恋して玉砕。そこで父親が彼女をパリの料理学校に通わせ、その間に出会った粋な男爵から最先端のファッションを教えられ、磨かれていく過程が大きな見どころ。その後、帰国したサブリナにデイビッドだけでなく、堅物長男のライナス（ハンフリー・ボガート）も恋して、三角関係に。2人の間で堂々と振る舞うサブリナが、実に魅力的だ。

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ロンドンの花売り娘だったイライザ

マイ・フェア・レディ

1913年にウィーンで初演された戯曲「ピグマリオン」をもとにしたブロードウェイミュージカル「マイ・フェア・レディ」を、ジョージ・キューカー監督がオードリー・ヘプバーン主演で1964年に映画化。同年のアカデミー賞主要8部門を独占した名作だ。
ロンドンの街中で花を売り歩いていたイライザは、言語学の教授ヒギンズ（レックス・ハリソン）から「下品な言葉遣いを直せば一流のレディになれる」と言われ、彼から言葉や礼儀作法のレッスンを受けることに。綺麗な発音の習得に苦戦し、「今に見てろ！」と奮起する姿がとってもチャーミング。猛勉強の末に美しいレディへと成長した後、実は教授が彼女を巡って友人と賭けをしていたことを知って、堂々と彼を批判する姿が清々しいのでぜひ見てほしい。

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シカゴ出身の3人組「ザ・ドリームス」

ドリームガールズ

1981年にブロードウェイのインペリアル・シアターで開幕し、1982年にトニー賞6部門に輝いた名作ミュージカルを、映画『シカゴ』の脚本家、ビル・コンドンが2006年に監督・脚本を手がけ映画化。1960～70年代に活躍した伝説のR&Bグループ「ザ・スプリームス」をモデルに、女性3人組ボーカルグループの栄光と挫折を描く。
仲良し３人組のエフィー（ジョニファー・ハドソン）、ローレル（アニカ・ノニ・ローズ）、ディーナ（ビヨンセ）は、音楽業界での成功を狙う野心家・カーティス（ジェイミー・フォックス）にスカウトされたことで、瞬く間に注目を集める存在に。ステージ上で見せる３人の重厚感あふれる歌声は鳥肌ものだが、華々しい舞台の裏で徐々に不和が広がっていく。その末にエフィーが歌う苦悩の歌は、涙腺を震わすほど力強く必聴の一曲だ。

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マーチ家の４姉妹

ストーリー・オブ・マイライフ／わたしの若草

同作はルイーザ・メイ・オルコットの自伝的な小説を元に、グレタ・ガーウィグ監督、エマ・ワトソン、ティモシー・シャラメ、メリル・ストリープ出演で2020年に映画化されたもの。「若草物語（Little Women）」はミュージカル作品としても人気で、アラン・ニーが脚本を手掛けた舞台が2005年にマンハッタンで初演され、その後も北米を中心にイギリス、オランダ、アルゼンチン、日本など各国で上演されている。
物語の主人公は、南北戦争時代に力強く生きるマーチ家の4姉妹。しっかり者の長女・メグ（エマ）、勝ち気で作家志望の次女・ジョー（シアーシャ・ローナン）、シャイな三女・ベス（エリザ・スカンレン）、おしゃまな末っ子・エイミー（フローレンス・ピュー）。女性が表現者として成功すること、自分らしく生きることが難しい時代に作家になる夢を一途に追い続けたジョーを中心に、自分が信じる道を突き進もうとする4姉妹の生き方に勇気づけられること請け合いだ。

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（文・及川静）