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『プー あくまのくまさん』は、イギリスの作家A・A・ミルンによる原作「クマのプーさん」のパブリックドメイン化を受けて2023年に公開されたホラー映画。
仲良しだったクリストファー・ロビンが成長し、森を去った後、取り残されたプーとピグレットは、極限の飢えと捨てられた孤独に追い詰められ、人間に憎しみを抱くようになる。100エーカーの森で凶暴化したプーが、大人になって再び森を訪れたクリストファー・ロビンに復讐。そして森を訪れた少女たちを無表情で血まみれにしていく様は、見ている者を恐怖に陥れる。かわいらしいプーさんの印象と異なる不気味な見た目もかなり怖いが、血の量もハンパないスプラッタームービーに。
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『シンデレラ』はシャルル・ペローの童話をもとに、1949年にディズニーがアニメーション化。王子に見染められて玉の輿に乗る物語は女の子の憧れとなり、代表的な童話のプリンセスに。映画『シン・デレラ』は、女の子の憧れ『シンデレラ』の物語を徹底的にひねり、ダークファンタジーホラーの領域に落とし込んだ意欲作といえる。
殺りくの舞台は、『シンデレラ』のハイライトとなる舞踏会。まま母と2人の姉に家に置き去りにされたシンデレラに魔法をかけてくれたフェアリーゴッドマザーは、なんと地獄の妖精。希望を胸に舞踏会に駆けつけたシンデレラを待っていたのは、姉と結託した王子の裏切りと嘲笑だった。シンデレラは、「復讐」のための魔法を手に入れ、幸せの切符となるはずの「ガラスの靴」を凶器に血まみれの殺りく劇を繰り広げる。
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『邪悪な国のアリス』は、ルイス・キャロル原作「不思議の国のアリス」の持つ狂気と幻想性を、徹底的にホラーとして昇華させた。
本作でアリスが迷い込むのは、「不思議な国」ではなく、出口のないループと無限に続く悪夢が支配する「絶望の国」。白ウサギやチェシャ猫、帽子屋たちも、アリスを助けるどころか、彼女を欺き、傷つける存在に変貌するが、とりわけ印象的なのは、アリス自身の変化だ。純粋な「探求者」として旅を始めたアリスは、裏切りと暴力にさらされ自分自身すら信じられなくなる。そして「私は誰なのか」という根源的な恐怖に向き合わされることとなる。
紹介した前2作がスプラッターだったのとは異なり、こちらは心をえぐる作品だ。童話を単なる子どもの空想ではなく、現代社会を映すブラックミラーとして機能させ、「現代人のアイデンティティの揺らぎ」を描いている。低予算ホラーの多い中、圧倒的な映像美の中で展開される世界観にも注目してほしい。童話を知っているからこそ、その裏返しの残酷さが骨身に染みる一作となっている。
[レンタル]440円〜 [購入]2200円〜
誰もが知る物語から創作が行えるパブリックドメインは、クリエイターたちに新たな武器を与えた。これらの作品に共通しているのは、「裏切られた期待」というテーマだ。童話は「善が勝ち、悪が滅びる世界」「純粋さが報われる世界」を教えてくれたが、現実はそう上手くはいかない。『プー あくまのくまさん』『シン・デレラ』『邪悪な国のアリス』が描くのは、その理想の裏に潜む「絶望」と「裏切り」、そして「自己崩壊」のドラマだ。このような作品が求められるのは、現代社会が「純粋な希望だけでは生きられない」ことを多くの人が自覚し、リアルな世界に置き換えてみたくなるからなのかもしれない。
童話ホラーは、私たちが生きるこの時代の「不安」や「希望」を物語という鏡に映し出し、「大人たちのための物語」として新たな扉を示唆してくれる。
(文=坂本ゆかり)
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