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主人公のネイサン・カイン(クエイド)は、サンディエゴの銀行で副支店長を務めるマジメな男。ただ、彼は生まれつき“痛み”を感じない“無痛症”だった。正確には先天性無痛無汗症(CIPA)で、痛みも熱さも全く感じないというもの。“ノボカイン”は「局所麻酔剤」という意味で、学生時代につけられたニックネーム。
無痛体質のため、ケガをしても自分では気づくことがないので、幼い頃からケガをしないように注意深くしてきた。それゆえに内向的で、趣味はオンラインゲームという“孤独”な生活を送っている。そんなネイサンを変えるきっかけとなったのが、新人窓口係のシェリー(アンバー・ミッドサンダー)。彼女にひとめぼれし、無痛症であることを理解してくれた彼女と親密になり、人生が大きく変わろうとしていた。舌を噛んでしまうから固形物を食べないネイサンに、チェリーパイをすすめ、思い切ってそれを食べるシーンも印象的だ。初デートで遭遇した、かつてのいじめっ子に対するシェリーの対処も…。どうやったのかは、実際に見て確かめてもらいたい。
初めて本当の幸せを感じていたネイサンだったが、クリスマス・イブに、サンタクロース姿の3人組が銀行を襲い、大金を奪ってシェリーを人質に逃走した。気弱で消極的な性格のネイサンだが、シェリーを助けるためにパトカーを奪い、追跡するという思い切った行動に出る。格闘技や武術の経験もなく、スーパーヒーローのような力も持たない、戦闘能力ゼロのネイサン。しかし唯一の“武器”である無痛を生かし、大奮闘する。強盗のひとりとレストランの厨房で戦う場面では、熱々のフライパンを手でつかんだり、熱した油の中に落ちた銃を素手で拾ったりと、見ている側が悲鳴をあげそうなシーンが続くが、ネイサンは平然としている。もちろん重度のやけどを負い、身体は傷だらけに。他にも、タトゥー店で投げ飛ばされて鏡にぶつかり、粉々になった破片が突き刺さったり、強盗の家で仕掛けの矢が刺さったり、宙吊りになったりと災難の連続。クリスマスに家へ侵入し、仕掛けにかかる場面では、『ホーム・アローン』を思わせるコメディー要素も感じさせる。
強盗を追う中で、痛みは感じていないが、身体はどんどんボロボロになっていく。しかしネイサンはこの追跡中にいろんな経験をし、少しずつ成長しているのが見える。何よりも、シェリーを助けたいという強い思いが彼を成長させているのだろう。
ジャック・クエイドはあるインタビューで、役づくりをする上で『ダイ・ハード』や『LIFE!/ライフ』を観たと語っている。
61911 『ダイ・ハード』 https://tv.rakuten.co.jp/content/61911/
『ダイ・ハード』(1988年)は、ブルース・ウィリス主演の世界的なヒットを記録した名作で、こちらもクリスマス・イブに起きた事件を描いている。ニューヨーク市警の刑事ジョン・マクレーンは別居中の妻ホリーに会うためにロサンゼルスに訪れる。日本系企業のクリスマス・パーティーの席でホリーと再開したが口論になってしまう。そこへ武装集団が乱入し、会場を占拠してビルを封鎖。ホリーを含めた出席者が人質になり、マクレーンは人質を救うため一人で奮闘する。刑事である彼は体力も銃の扱いも心得ているが、くつろいで素足になっていたところで事件が発生したため、割れたガラスの上を裸足で歩くなど痛々しいシーンも。「愛する人(妻)のため」というところは『Mr.ノボカイン』のネイサンと通じるものがある。
108843 『LIFE!/ライフ』 https://tv.rakuten.co.jp/content/108843/
『LIFE!/ライフ』(2014年)は、ジェームズ・サーバーの小説「ウォルター・ミティの秘密の生活」を原作に実写映画化された作品で、ベン・スティラーが主演を務めた。「世界を見よう、危険でも立ち向かおう。それが人生の目的だから」というスローガンを掲げる伝統的な雑誌「LIFE」の編集部で、ネガフィルムの管理をしているウォルター(スティラー)。同じ職場で働くシェリル(クリステン・ウィグ)に恋心を抱いているが、告白する勇気が無く、彼女が登録しているパートナー探しのサイトに登録してアプローチしようとするほど臆病だ。そんなある日、「LIFE」誌の廃刊が決定する。冒険家でフォトジャーナリストのショーン・オコンネル(ショーン・ペン)は、「25番目のフィルム」を最後の表紙に使ってほしいと希望したが、送られてきたネガには25番のフィルムがなかった。ショーンは常に居場所を転々としていて、今どこにいるのか分からない。しかし、彼に 聞かないと25番の在りかが分からない。空想癖のあるウォルターは、普段、スーパーヒーローのような活躍をしたり、勇敢な冒険者となったりすることはあったが、25番のフィルムを探すため、本当に冒険に出ることとなった。海に飛び込んでサメに襲われそうになったり、険しい山を登ったり、これまで経験したことのないことを一気に味わうことになる。そんなウォルターが頑張れたのは、シェリルという存在があったから。ここにもネイサンと共通する部分が垣間見える。
『Mr.ノボカイン』は、アクションとラブストーリーが大きな軸になっていて、参考にした作品もそれは同じ。特に『LIFE!/ライフ』はコメディー要素も強く、共通した部分が多いように感じた。“愛する人のために”を原動力に挑み、戦い、そして精神的に成長する物語を楽しんでもらいたい。
もう一つ、『燃えよスーリヤ!!』(2018年)というインドの映画があり、この主人公スーリヤ(アビマニュ・ダサーニー)もどんな痛みも感じないという無痛症である。スーリヤは幼い頃に祖父から渡されたカンフー映画に衝撃を受けて、カンフーの特訓を積んできたので、子供の頃からケガが多かった。スーリヤが離れ離れになっていた幼なじみが危険にさらされていると知って、悪の組織と戦うというストーリーで、戦い方は違うが『Mr.ノボカイン』同様、痛みゼロの主人公の奮闘が楽しめる作品として、こちらもオススメする。
(文・田中隆信)
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