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まずは、最新作『鬼平犯科帳 血闘』(レンタル:440円〜)を含む、“令和版”「鬼平犯科帳」シリーズから。「鬼平犯科帳」は、江戸時代の火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)の長官・長谷川平蔵の活躍を描いた作品で、悪人を的確な取り締まりで容赦なく取り締まることから、「鬼の平蔵(鬼平)」と恐れられる存在であった。1969年に初めてテレビドラマ化されて以来、多くの俳優が“鬼平”を演じてきたが、ここに来て、また一人“鬼平”がハマり役となったのが十代目・松本幸四郎だ。
474054 『鬼平犯科帳 本所・桜屋敷』(C) 日本映画放送 https://tv.rakuten.co.jp/content/474054/
令和版シリーズの第1作『鬼平犯科帳 本所・桜屋敷』(レンタル:440円〜)では、平蔵が若き日に同じ道場で汗を流していた旧友・岸井左馬之助(山口馬木也)と再会し、二人が憧れた女性おふさの消息を追うことになり、恩師につながる因縁と悪事も明らかになっていく。若き日の平蔵が描かれるシーンもあり、この作品を見れば平蔵の生い立ちや性格などもよく分かる。しかも若き平蔵を幸四郎の長男である八代目・市川染五郎が演じており、雰囲気もよく似ている。
その続きとなるのが劇場版『鬼平犯科帳 血闘』(レンタル:440円〜)だ。平蔵が若い頃に世話になった居酒屋の娘おまさ(中村ゆり)が密偵になりたいと申し出てくる。平蔵はそれを拒否するが、おまさは平蔵が“芋酒屋の主人”と“盗賊”の二つの顔を持つ鷺原の九平(柄本明)を探していることを知り、独断で捜索を行う。それをきっかけに、悪党の網切りの甚五郎(北村有起哉)の企てを知ることとなり、トラブルに巻き込まれていく。劇場版ということもあって、鬼平らしい人情的な要素はもちろん、緊迫した殺陣も大きな見どころとなっている。
『鬼平犯科帳 でくの十蔵』(レンタル:440円〜)は、不器用で“でくのぼう”と揶揄される同心・小野十蔵(柄本時生)がメインの物語。この作品は“人情”の比重が大きく、平蔵の人間味あふれる姿もたっぷりと感じることができる。そして令和版シリーズのシーズン1を締めくくるのが『鬼平犯科帳 血頭の丹兵衛』(レンタル:440円〜)である。捕らえられた盗賊・野槌の弥平一味に属する小房の粂八(和田聰宏)は、かつて自分のお頭だった盗賊・血頭の丹兵衛(古田新太)が残虐な盗みを働いたと知るが、「殺さず、犯さず、貧しき者から盗まず」という三箇条を掟とする本格派の盗賊だったお頭がそんなことをするワケがないと主張し、偽物の正体を暴くために密偵になることを平蔵に申し出る。粂八はその偽物を捕まえることができるのか? これも人間の心情や変化などが描かれた深みのある作品に仕上がっている。ここまで見て、令和版シリーズにすっかりハマってしまった。そんな人には『鬼平犯科帳 老盗の夢』『鬼平犯科帳 暗剣白梅香』(いずれもレンタル:440円〜)も配信済みなので、一気見するのもオススメだ。
101574 『必殺仕掛人』(c) 1973松竹株式会社 https://tv.rakuten.co.jp/content/101574/
“鬼平”と並ぶ、池波作品の人気キャラと言える“藤枝梅安”。彼が登場するのが「必殺仕掛人」シリーズだ。必殺シリーズ映画版第1弾『必殺仕掛人』(レンタル:330円〜、購入:2,200円〜)で梅安を演じるのは田宮二郎である。江戸の鍼医者・藤枝梅安は殺しの代行を行う“仕掛人”という裏の顔を持ち、暗躍していた。本作は小説「おんなごろし」と短編の「梅雨の湯豆腐」をあわせたものを原作にしている。映画「必殺仕掛人」シリーズ第2弾の『必殺仕掛人 梅安蟻地獄』(レンタル:330円〜、購入:2,200円〜)は、梅安を緒形拳が演じ、淡々としているが冷徹さもあり、緒形ならではの“凄み”を感じさせるものになっている。もう一つ、『必殺仕掛人 春雪仕掛針』(レンタル:330円〜、購入:2,200円〜)も緒形による梅安で、過去の因縁を抱えつつ、あくどい女盗賊と対峙する。緒形だけでなく、岩下志麻の演技にも注目してもらいたい。
仲代達矢主演の『雲霧仁左衛門』(レンタル:330円〜、購入:2,200円〜)は、盗賊・雲霧仁左衛門を主人公にした作品。仁左衛門は“頭脳の盗賊”といわれるほど頭がキレていて、威厳も感じられる。盗賊という悪党ではあるが、庶民には手を出さずに権力者のみを標的にしているもの人気の理由と言える。この作品は『極道の妻たち』などを手掛けた五社英雄監督が映画化し、仲代をはじめ、岩下志麻、長門裕之、あおい輝彦、倍賞美津子、丹波哲郎、松坂慶子など豪華キャストが共演。入り組んだ人間関係が池波作品らしい部分で、映像のインパクトの強さは五社監督らしい部分と言える。
鬼平、梅安、仁左衛門。キャラの違う個性的な主人公と人情や人間関係にも重きを置いたこれらの作品で、池波正太郎の世界を味わってほしい。
(文・田中隆信)
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