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夢咲ねねさん独占インタビュー!ミュージカル『October Sky-遠い空の向こうに-』出演

夢咲ねねさん独占インタビュー!ミュージカル『October Sky-遠い空の向こうに-』出演
元NASA技術者ホーマー・H・ヒッカム・Jr.の自伝小説「ロケットボーイズ」が原作の、ロケットに夢をかけた少年たちを描くミュージカルが、アメリカでの2度のトライアウト公演を経て、日本初上陸する。米ソ冷戦時代のアメリカで、小さな炭鉱町に生まれ、炭鉱夫になることを求められていた主人公が、人口衛星の打ち上げを見たことにより、その姿に魅せられ周りの人を巻き込みながら、ロケット制作を志す。

1999年には、ジェイク・ギレンホール、クリス・クーパーら出演で映画化されている。ロケット制作に励む4人のロケットボーイズ(甲斐翔真、阿部顕嵐(7ORDER)、井澤巧麻、福崎那由他)のロケット作りに興味を持ち、彼らの夢のサポートをする科学の先生ミス・ライリー役を演じる、元宝塚歌劇団星組トップ娘役の夢咲ねねさんに、作品の印象や、新たな役に取り組む思いを聞いた。

そして、Rakuten TVで配信している宝塚歌劇団の作品のなかから、おすすめ3作品をセレクトしていただき、それぞれのおすすめポイントや思い出を語ってもらった。

(写真・文:岩村美佳)

ーー『October Sky-遠い空の向こうに-』出演が決まって、どんなことを感じたかお聞かせください。

あらすじを読んだだけでも、すごく素敵な作品だなと思い、調べるうちに多くの方に愛されている作品だと知りました。そのあとに作品に携わる側として映画を拝見したのですが、それを超えて感動して、観てよかったと心から思えた作品でした。この時代に高校生がロケットを飛ばすことは、とても難しくて、夢のまた夢のようなもの。実現させて、さらにNASAの技術者になられたなんて、深すぎるなと思いました。その作品に出演することができる。しかも、私が演じるライリー先生は、彼女がいたからこそ彼らは勇気を持てた、一歩踏み出すことができたという物語のキーポイントになる役なので、その役を演じられることは、すごくありがたいことだと思いました。

ーーライリー先生は、夢咲さんにとって新鮮な役ではないかと思いますいかがでしょうか?

そうですね。生徒の役は、最近結構させていただきました。そのときに教師の役も、すごく面白そうだな、いつか演じられたらいいなと思っていたので、ライリー先生のお話を頂いて、ご縁も感じました。夢が叶うというか、新しい挑戦だなと思いました。

ーー主人公たちが高校生で、彼らを見守る、影響を与える立場の役も新鮮ですよね。

キーパーソンになるような役は新鮮ですね。だからこそ、ちゃんと演じたいなと思いますね。

ーー理系の科学の先生というのは、いかがですか?

私自身は、学生時代は理数系が苦手だったんです。でも、実験はすごく好きでした。苦手意識があると、どうしてもそれがでてしまうと思いますが、実験が好きだったという自負のもと、前向きに取り組んでいけたらいいなと思っています。

ーー宇宙にロケットを打ち上げる物語ですが、宇宙や空について思うことはありますか?

宇宙は、まだまだ答えがでていないものですよね。ときどき考えすぎて眠れなくなることもあります。気になると調べてしまったりするんですが、結局わからないままなんですよね。

ーー何を調べたのでしょうか?

宇宙には行き止まりがあるのかな、果てはあるのか、とか。

ーーどんなときに気になって、調べましたか?

本当に、ふとしたときです。例えば「○○ムーン」を見ているときに、「あれは何座かな?」と気になって、その星座を調べると、星のひとつひとつに名前があって、その星を調べていくうちに……と、どんどん広がっていくんですよね。あとは月の謎など、いろいろな伝説も100%の答えはないので、宇宙は不思議だなと思いますね。「でも、私たちは存在しているんだ」と、謎の域に入りそうになるので、そこで調べたり考えたりするのはやめるんですが。

ーーでは、普段考えることがない世界ではなく、科学や宇宙にも興味があったんですね。

数学は答えがありますが、科学や宇宙には答えがないから、夢やロマンがあると言われるのは、そこも大きいですよね。大人になっても解決できないことだから、すごいですね。

ーーそこに思いを馳せてロケットを打ち上げることは、本当に夢の塊みたいな感じですね。

実際、多分、このライリー先生は、きっと宇宙にも興味があるから科学の先生になっていると思いますし、そういう「なぜ」を常に持っている方なのかなと思います。その「なぜ」についても、この少年たちが「わからない」で終わるのではなく、「なぜ」の先、向こう側にどんどん興味を広げさせていくというのが、すごく素敵だなと思います。

ーー共演者の方々と楽しみにしていることや、コミュニケーションをとったことなど何かエピソードはありますか?

まだお稽古が始まっていないので、どういう感じになるのか楽しみです。畠中(洋)さんとは『グレート・ギャツビー』でご一緒しましたが、言葉選びが難しいですが、“危険すぎる旦那さん”の役でした。畠中さんの出すエネルギーがすごくて、毎回稽古場で魅入ってしまって。毎回その場面だけは絶対に見たいと思っていたので、今回またご一緒させていただけるのが、すごく嬉しいです。あとは、まだお会いしたのは2回目ですが、主演の甲斐さんともお話させていただきました。キラキラされていて、役にぴったりだと思います。夢を持っている人って、目がキラキラしていますよね。

ーーこの作品の音楽
については、どう思われますか?

まだ少ししか聴いたことがないのですが、甲斐さんのレコーディングで、1曲だけ応援という形でレコーディングに参加させていただきました。まだ曲だけで、どういう歌詞なのかなどは分からないのですが、曲を聴いていて前向きになれる。きっと、そういう場面で使われるんだろうなと分かるくらい素敵な曲でした。初演ですから、歌詞がのると、またきっと違うのかなと楽しみです。

ーー演出の板垣(恭一)さんとは、何かお話しされましたか?

板垣さんの作品は観させていただいたことはありますが、まだお会いしていないんです。初めてご一緒する演出家の方なので、またいろいろと新しい発見や新しい扉を開いてくださるのではと楽しみにしております。

ーー今回、座組みや作品について、ほかに楽しみにしていることはありますか?

出てくるキャラクターたちは、結構自分の思いで動く人が多いと思うんです。でも、私の役は見て、ピンポイントで一言、光となるようなことを、要所で言う人だなと感じているので、お稽古場で皆さんがどのような熱量でぶつかり合うのかが、すごく楽しみです。それを見て、感じて、いろいろと自分の中でも作っていけたらいいなと思います。

ーーそういう意味でも、新しい役を演じる機会ですよね。

確かに。いつもぶつかり合う渦中にいますからね(笑)。

ーーお客さまにお伝えしておきたいことはありますか?

いまのこのような時代に、すごく前向きになると思います。いくつになっても夢を持つことは素敵なことだなと改めて感じて、自分自身も、すごく感化された素敵な作品です。きっと観に来てくださる方も、何かしらの熱い思いを受け取っていただける作品になるんじゃないかと思うので、そのためにも私たち自身が熱量をもって作品を作り上げていかねばならないんですが、その熱量をぜひ体感しに、劇場にいらしてほしいなと思います。


夢咲さんおすすめ3作品は、初演雪組『エリザベート-愛と死の輪舞-』星組『バビロン-浮遊する摩天楼-』星組『めぐり会いは再び 2nd~Star Bride~』

ーーRakuten TVで配信している宝塚歌劇団の作品から、おすすめ3作品をセレクトしていただきました。膨大なリストのなかから選んでいただいたのが、初演雪組『エリザベート-愛と死の輪舞-』、星組『バビロン-浮遊する摩天楼-』、星組『めぐり会いは再び 2nd~Star Bride~』です。その理由や思い出をお聞かせください。


エリザベート-愛と死の輪舞-(’96年雪組・宝塚)

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――最初に初演雪組『エリザベート-愛と死の輪舞-』ですね。

私が宝塚を初めて観たのが中学生のときでした。そのときにどハマりして、「絶対に、私はこの世界に入りたい」と強く思ったのですが、どういう風に宝塚に入っていいのかわからなくて。当時、学年の音楽担当の先生が、紫吹淳さんの大ファンでご相談したら、「ほか作品のビデオもあるから観る?」と言われて、その中にあったのが雪組の初演の『エリザベート-愛と死の輪舞-』でした。ほかの作品とは全然違っていて、あのときに、あの作品の毛色ってなかったですよね?

ーー当時の上演発表の話によると、ある種の事件だったのではないでしょうか。

そうですよね。1回目は呆然として終わってしまいました。「何だ、この作品……」みたいな。見入っちゃったんですよね。もうそこから何度もリピートしました。やはり初演のキャストの方々も、神がかっていて、すべての役が、その役の人物に見えてしまうくらいドラマチックで、私にとっても大事件でした。

ーー「この世界に入りたい」と思ったのと、また違う衝撃があったんですね。

衝撃でしたね。いつかあの作品に出たい、と思っていました。

ーー2005年月組公演の新人公演や、先日上演された『エリザベート TAKARAZUKA25周年 スペシャル・ガラ・コンサート』でも演じられて、願いが叶いましたね。「いつかあの作品に出たい」が叶ったのは、いかがでしたか?

新人公演のときは、まだ2年目で本当に何もわかっていなくて。「お衣装や靴を履かせてもらえるの?」「袖でお水飲んでいいの?」と、そういうことに感動していました。「舞台のこんな中まで、スタッフさんがついてくるの?」とか。いつの間にか終わっていたような感じでした。本当に怖いものなしで、あのときの自分を殴りたいくらいなんですが(笑)。その後、いろいろな作品に出させていただいて、学年も年齢も上がって、舞台の恐ろしさというものを痛感している中で、もう一度演じるのは怖かったですね。でも、共演の皆さんが、同期や下級生が多かったので、とても助かりました。

ーー89期スペシャル公演みたいでしたね。

はい、ありがたいことに!


バビロン-浮遊する摩天楼-(’02年星組・宝塚)

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ーー2作品目ですが、『バビロン-浮遊する摩天楼-』が選ばれていてすごいと思いました!

嬉しいです!私が本科生のときに、1学年上の上級生さんが、初舞台の次の公演だったんです。私は本科生でしたから、時間にも余裕があるので、舞台を結構観にいったんです。1学年上の上級生さんが大好きだったので。そのショー作品『バビロン-浮遊する摩天楼-』を観て、もうプロローグから鳥肌が止まらなくて。とうこ(安蘭けい)さんの声から始まるんですが、すごくいい曲で、普通のショーとは違って妖しく美しい。暗い羽根扇みたいなところから始まって、おしゃれですよね。そのときの星組の組子さんたちが、作品にマッチしていて神がかっているんです。DVDも買いました。柴田(侑宏)先生の『ガラスの風景』もよかったですが、荻田(浩一)先生の『バビロン-浮遊する摩天楼-』は、どの場面もよくて、大好きな作品です。作品リストを拝見して、「ある!」と思って。妹(愛加あゆ)も大好きですね。

ーーいま観ても面白い作品ですよね。

はい。荻田先生すごいです。

ーー夢咲さんが相手役を務められた、柚希礼音さんが当時下級生でしたね。

豹柄の男を演じられていたと思います。

ーー香寿たつきさん、渚あきさん、安蘭さんなど、いまもご一緒する機会がある皆さんが出演されています。

退団後に皆さんと共演させていただいたことがあるのですが、『バビロン-浮遊する摩天楼-』のことは、「大好きなんです」と熱い思いをお伝えしています。ご本人たちが一番知っているのに、私がその魅力をお伝えするという(笑)。携帯にも曲が入っているくらいに大好きです!


めぐり会いは再び 2nd ~Star Bride~(’13年星組・東京・千秋楽)

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ーー3作品目は、夢咲さんがご出演された『めぐり会いは再び 2nd~Star Bride~』です。思い出や見どころなどお聞かせください。

宝塚作品の中で、続編がある作品は、なかなかないと思います。作・演出をされた小柳(奈穂子)先生と、1作品目の『めぐり会いは再び』で久しぶりにご一緒したのですが、多分前回ご一緒したのが、彩輝直さんが主演の月組公演『エリザベート-愛と死の輪舞-』だったと思うんですよね。演出助手をされていて、新人公演も小柳先生が担当されました。そのときの小柳先生は、私が何もできなかったので結構厳しくご指導していただいた記憶がありましたので、「また小柳先生にビシバシされるのかな」と思っていたら、全然雰囲気が変わられていて。すごくかわいらしい、おとぎ話のような作品で、それぞれの生徒に合ったキャラクターを生み出してくださって、あのときの星組にすごくマッチしていました。お客さまも「あの役がすごく好き」と、いまだにおっしゃってくださることが多いんです。

ーービジュアルも含めて、とてもかわいらしかったです。

ありがとうございます。『めぐり会いは再び』、続編『めぐり会いは再び 2nd~Star Bride~』を作ってくださって、本当に感謝しています。続編もドタバタ劇ですが、その中にも観ていてほんわかする温かいものが生まれて、すごく素敵な作品だなと思います。曲もすごく素敵で、ドラントさん(柚希)とシルヴィアちゃん(夢咲)が、お互いを想ってすれ違っていると歌う曲があるんですが、その曲がすごく好きです。ぜひ読者の皆様にも3作品をご覧いただきたいです!

ーーありがとうございました!


夢咲ねねプロフィール

1984年7月4日生まれ。富山県出身。2003年に宝塚歌劇団へ入団後、月組に配属。2008年に星組へ組替え。2009年、星組トップ娘役就任してから、2015年宝塚歌劇団退団するまで数々の作品に出演。
宝塚歌劇団を退団以降は、名作と言われるミュージカル作品をはじめとしミュージカル「1789-バスティーユの恋人たち-」やミュージカル「笑う男 The Eternal Love -永遠の愛-」 などでヒロインを務め、好評を博す。

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