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それは“神”なのか“悪魔”なのか。カルト教団が絡むPOV&田舎町ホラー4選

それは“神”なのか“悪魔”なのか。カルト教団が絡むPOV&田舎町ホラー4選
(C) 2001 Castelao Productions, S.A. All Rights Reserved.
ホラー映画といえば、幽霊やゾンビといった異形のものが取り上げられがちだが、真に怖いのは人間なのかもしれない。いき過ぎた信仰心を煽るカルト宗教、閉塞的な環境の中での集団心理、日常に根付いた土着信仰。それらに取り憑かれた人々の狂気を描いたホラー映画を4作品ピックアップ。
目次

カルト教団が絡むホラー4選

サクラメント 死の楽園

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1978年に起きたカルト教団“人民寺院”の集団自殺事件をモチーフにした、POV形式のモキュメンタリーホラー。過激な取材スタイルで知られるVICE社に、カメラマンのパトリックが訪れる。連絡が途絶えていた妹から届いた手紙を頼りに、「エデン教区」という名の共同体の更生サークルにVICE社のサム、ジェイクとともに向かった。そこは老若男女が仲良く生活する、自然に囲まれた穏やかな場所。しかし住民に取材をしていくうちに、彼らは違和感を感じ取るのだ。やがて共同体のリーダー“ファーザー”へインタビューを行う。

違和感というモヤモヤした霧が晴れる前に、静かにやってくる狂気。確立されたコミュニティの中に異物が入ってきたとき、一気にバランスが崩れていくさまが生々しい。“一体どうしてこうなった?”と、観ている側も思わず呆然と立ち尽くすような、ザラザラとした後味の残る作品だ。


SAFE HEAVEN/安全な天国
(オムニバス『V/H/Sネクストレベル』内)

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新進気鋭のクリエイターが結集したホラーオムニバス「V/H/Sシンドローム」シリーズの第二作。失踪した青年を探してほしいと母親から依頼を受けた私立探偵の男と助手の女。その青年が滞在していたという古い一軒家に忍び込むと、そこには大量のビデオテープと血痕が残されていた。手がかりを求めて助手の女はビデオを再生する。

再生されるビデオテープの1本1本がPOV手法を使ったオムニバスストーリーになっているのだが、今回オススメするのが3本目の「SAFE HEAVEN/安全な天国」。新興宗教「天国の門」を取材することになったクルーが、森の奥深くにある施設を訪ねる。信者たちから“父”と呼ばれている司祭を取材していくのだが、そこで様々な異変に気づく。どことなく『サクラメント 死の楽園』と同じモチーフを感じさせられるストーリー展開。宗教の不気味さ、集団心理の怖さに、取材クルーのいびつな人間関係も加わり、阿鼻叫喚のカオスな世界へいざなわれる。


ミッドサマー

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2019年に公開されるなり、その得体の知れぬ不気味さで一気に話題を集めた『ミッドサマー』。家族を不慮の事故で失った主人公・ダニーは、恋人や友人とともに、スウェーデンの奥地で開かれる「90年に一度の祝祭」を訪れる。白夜のため太陽の沈まないホルガ村で、優しい住人たちの手厚い歓迎を受けるダニーたちだが、祭りが進むにつれ、想像を絶する祝祭の儀式に巻き込まれていく。

表情から感情が汲み取れない住人たちの不気味さもさることながら、やはり物語の鍵となるのは主人公・ダニーのメンタルだ。気がつけば彼女のメンタルに振り回され、気持ちがどんどん重くなっていく。ラストシーンの彼女の表情にも注目してほしい。


DAGON ダゴン

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「クトゥルフ神話」を創造したハワード・フィリップス・ラヴクラフトのホラー小説「インスマウスの影」を原作に、SF&ホラー映画を多数手掛けるスチュアート・ゴードンが監督を務めたモンスター・ホラー。ボートでバカンスを楽しんでいた4人は、嵐に巻き込まれボートが座礁。救助を求めて沿岸の港町に辿り着くが、その港町は古くから“ダゴン神”を崇拝する町だった。

陰鬱とした町並み、海の軟体動物系モンスター、ラヴクラフト小説の世界観を再現した映像はとても丁寧に作り込まれていた。グロテスクでありながら、切なさも美しさもあるラストシーンも見どころの一つ。

(文・大窪由香)

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